山形放送

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近年、生産者の高齢化によりかさ不足に悩む山形花笠まつり。ベトナム、そして、山形県内の主産地・飯豊町での取り組みを追いました。

ことし2月、ベトナム。

「今の時間は帰宅ラッシュ」「見渡す限り。隙間もないくらいバイク」

ベトナム・ザイタイ村。山形市の尚美堂から委託を受け昨年から花笠まつり用のかさを作っています。

尚美堂・逸見良昭社長「山形のかさを編む技術とは違うが、技術の高さは引けを取らない」

ベトナムの職人の手で作られたかさは、およそ3500キロ離れた山形に向け、出発しました。
ここは、ハノイ市内の倉庫。ベトナムで作られたかさが次々と運び込まれていきます。花笠の製造・販売などを行う尚美堂の逸見良昭社長です。

尚美堂・逸見良昭社長「ことしの花笠用。うちで花の飾りつけをする。何と言っても皆さんの手に届くことを考えるとやってよかった」

ヤマトロジスティクスベトナム 藤田徹さん「エアー(空輸)だと1日2日だが海上だと20日くらいかかる。乾燥剤を入れた後、真空梱包して中の空気を抜くことでカビなどを防ぐ」

かさは、ベトナムを出発した後、新潟を経由して、山形へと運ばれます。作業を行う、ベトナム人のホアイさん。

ヤマトロジスティクスベトナム ホアイさん「とてもうれしいし誇りに思う。ノンラーはベトナムでとても伝統的なものの一つだから」

ノンラーは、ベトナムで伝統的に作られているかさです。国内の観光地や、街中でも、ノンラーを使う人の姿が見られます。

ホアイさん「ノンラーを山形県の伝統的なイベントに輸出される。ベトナムと日本に何か似たものを感じるし、お互いがより親密になる」

一方、花笠祭りを長年支えてきたかさの主産地でも、新たな動きが始まっていました。飯豊町中津川。祭りのかさのほとんどはここで作られてきました。かさの材料となるスゲ。田んぼで収穫した後は天日干しです。

かさ職人高橋かる子さん「天気が良ければ3日ほどで干しあがる」

かつて、60人を数えた中津川のかさ職人は、現在は、わずか5人です。祭りのかさ全てをまかなうことができなくなりました。

花笠生産組合長 高橋力夫さん「絶対なくしたくないと思い始めたのが講座」

生産組合では2024年からかさづくりの体験講座を始めました。

かさ職人「すごくきれい。上手だ」
学生「やった!」

参加しているのは、山形大学で花笠を踊る学生たちです。

山形大学・中川綾菜さん「花笠を踊っているものとして道具も大事にしたい。自分で体験してみたくて参加しました」

中津川のおばあちゃんからかさづくりを学びます。

山形大学・佐藤妃奈乃さん「単純に自分花笠が大好きで山形大学に入学したのも花笠を踊りたいから。花笠が踊れるのはかさがあるおかげ。自分が作れるようになって後輩にも教えられるようにしたい」

「できました!ここまで」
「これ使ってください。先生です」

花笠生産組合 高橋力夫さん「手間がかかって大変なんだけどばあちゃんたちは、お祭りのため、みんなのために、丁寧に丈夫なかさを作るんだという思いで作っていることを理解してほしい。第一歩だと思う」

3月5日。ベトナムを出港して20日ほど。

「ありがとうございます」

ベトナムで作られたかさが新潟に到着。山形へと届けられました。

尚美堂・逸見良昭社長「山形の地に届きほっとしている。伝統文化としてノンラー。山形では菅笠。地方が伝統文化を融合させながら新たなものを作っていく。今回の花笠でできたことは良かった気がする」

花笠を次の世代へ。ベトナム、そして、中津川で存続に向けた取り組みが続いていきます。