「肺がんの結節影」がレントゲンで見つかる確率はどれくらい?【医師解説】

肺がんの結節影がレントゲンで見つかる確率はどれくらい?Medical DOC監修医が結節影のステージ分類・結節影を発症する原因などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「肺がんの結節影」がレントゲンで見つかる確率はどれくらい?【医師解説】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「肺がん」とは?

肺がんは、肺の細胞から生じるがんのことです。日本において死亡率の高いがんの一つです。初期段階では自覚症状が少なく、進行してから発見されることも多いため、早期発見が重要とされています。画像検査による診断が主な手段となっており、その中で「結節影」という影が見つかることがあります。

肺がんの結節影とは?

「結節影」とは、レントゲンやCT検査で確認される肺の異常陰影の一つで、大きさが直径3cm以下の丸い影を指します。この影の正体が良性か悪性かを見極めるためには、追加の検査が必要になります。結節影が肺がんによるものなのか、それとも炎症や良性腫瘍など他の原因によるものなのか、慎重な診断が求められます。

肺がんの結節影がレントゲンで見つかる確率はどれくらい?

胸部X線検査(レントゲン検査)による検出感度は60~80%程度といわれています。つまり、肺がんがある場合にレントゲン検査で見つかる確率は6~8割ということです。
また、レントゲンを撮った際に何らかの肺結節が見つかる検出率は2.1~6.2%となっています。これは、高齢者や男性、呼吸器疾患を合併している方、喫煙者に多い傾向があるとされています。
なお、令和3年度の肺がん検診受診者のうち、要精密検査となったのは1.5%でした。さらに、そのうちでも実際に肺がんであった方は1.77%でした。

肺がんの結節影のステージ分類はいくつ?

肺がんを疑う結節影がみつかった場合、さらなる検査を行い、肺がんそのものの大きさやリンパ節・他の臓器への転移の有無を調べます。

・ステージいくつかについて
肺がんの進行度は、以下のようにステージ分類されます。

lステージ0:ごく初期の段階で、がん細胞が粘膜内にとどまる
lステージⅠ:腫瘍が限局しており、転移がない
lステージⅡ:腫瘍の大きさが増し、近くのリンパ節に転移が見られることもある
lステージⅢ:より広範囲のリンパ節転移や、隣接する臓器への浸潤が認められる
lステージⅣ:遠隔転移(脳、骨、肝臓など)が発生している

肺がんの結節影が発見された場合、その進行度を評価するためにCT検査やPET-CT検査が行われることが一般的です。
なお、定義として結節影は3㎝以下なので、この大きさであってリンパ節や遠隔臓器への転移がない場合には、ステージIとなります。

肺がんの結節影を発症する原因

ここでは、肺がんの発症リスクとして考えられている要因について解説します。

喫煙

喫煙は肺がんの最大の危険因子とされており、特に小細胞肺がんや扁平上皮がんの発症リスクを大幅に高めることが知られています。タバコの煙には発がん性物質が多数含まれており、これらが長期間にわたって肺の細胞にダメージを与えることで、がん化のリスクが高まります。喫煙者だけでなく、受動喫煙によっても肺がんのリスクは上昇するとされており、家庭や職場などでの環境も重要な要素となります。結節影が見つかった場合、喫煙歴がある人は特に注意が必要であり、呼吸器内科で精密検査を受けることが推奨されます。
結節影の大きさや形状によっては、CT検査やPET-CT検査が行われることが一般的です。また、禁煙を検討している場合には、禁煙外来の受診も選択肢の一つとなります。長引く咳や血痰、息切れなどの症状がすでに現れている場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

アスベストなどの有害物質への暴露

アスベスト(石綿)や放射線、ディーゼル排気ガスなどの有害物質に長期間さらされることで、肺がんのリスクが高まることが知られています。特にアスベストは中皮腫や肺腺がんとの関連が強く、建築業や造船業、工場作業などで過去にアスベストを取り扱っていた人は注意が必要です。これらの有害物質は、肺の細胞に慢性的な刺激を与え、炎症や遺伝子変異を引き起こすことで、がんの発症につながる可能性があります。
有害物質に長期間さらされていた可能性がある場合は、呼吸器内科や職業病専門外来を受診し、定期的な肺のチェックを受けることがすすめられます。CT検査や肺機能検査を通じて、肺の状態を確認し、がんの早期発見につなげることが重要です。特に、胸の痛みや息苦しさといった症状がある場合は、すぐに受診しましょう。また、アスベスト曝露歴がある人は、中皮腫のリスクも考慮しながら、専門医の診察を受けましょう。

肺がん以外の呼吸器疾

肺がんの結節影は、肺結核や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎といった呼吸器疾患が原因となることもあります。これらの疾患は肺の組織に炎症や線維化を引き起こし、その結果、レントゲンやCT検査で結節影として現れることがあります。また、これらの病気を持っている人は、肺の細胞が慢性的なダメージを受けやすいため、肺がんのリスクも相対的に高くなります。急に息切れがひどくなったり、強い咳が続いたりする場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。

「結節影・肺がんの確率」についてよくある質問

ここまで結節影・肺がんの確率などを紹介しました。ここでは「結節影・肺がんの確率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肺に結節影が見つかった場合、経過観察はどのくらい行うのでしょうか?

木村 香菜(医師)

結節影の大きさや形状によって異なりますが、通常は3ヶ月~6ヶ月ごとにCT検査を行い、1~2年のフォローアップが推奨されます。サイズが変化しなければ良性の可能性が高く、経過観察のみとなることもあります。

編集部まとめ

肺がんの結節影はレントゲンやCT検査で偶然発見されることが多く、そのうちがんである確率は数%程度とされています。しかし、喫煙歴や家族歴がある場合、がんのリスクは高くなります。
結節影が発見された場合は、放置せず呼吸器内科を受診し、精密検査を受けることが重要です。また、定期的な経過観察を行い、変化がないかを確認することが大切です。

「肺がん」と関連する病気

「肺がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

呼吸器内科の病気

肺結核

間質性肺炎

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

石綿肺

上記のような肺の病気は、肺がんの危険性を高めることが報告されています。また、喫煙は肺がんのリスクとなる他、COPDの原因ともなります。

「肺がん」と関連する症状

「肺がん」と関連している、似ている症状は15個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

血が混じる咳

胸、背中、肩の痛み

突然起こる息切れ

声枯れまたは喘鳴

飲み込みにくくなる、または飲み込むときに痛みがある

ばち状指(指先が丸く平たく変形すること)

骨の痛み

顔、腕、首の腫れ

頭痛、めまい、手足の力が入らなくなったり、しびれたりする

黄疸

首や鎖骨付近のしこり

原因不明の体重減少

疲労感や脱力感

食欲不振

肺がんそのものが大きくなったり周りの神経や臓器に浸潤したりすることで起こる症状と、肺がんが他の臓器に転移することで起こる症状があります。その他にも、がんの進行そのものにより全身の症状が現れる場合もあります。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献

肺がん(国立がん研究センター)

肺がん 非小細胞肺がん 治療(国立がん研究センター)

肺がん 検査(国立がん研究センター)