湾岸タワマンに”異変”…!成約激減が示す「値上がりの限界」と住まい選びの新常識

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「湾岸タワマン」の下落傾向が鮮明…!

令和8年公示地価が発表され、住宅地は投機と実需が混在し、底堅く推移していることが鮮明となった。

前編『なぜ「住宅地」だけが上がるのか…!今年の「公示地価」が暴いた「不動産二極化」の現実』では、都心「稀立地(マレリッチ)」に需要が集中し局地的な価格上昇が起きていること、それ以外の上昇率の鈍化や下落という二極化の構造を見てきた。

この局面において、いかにして住まいを選べばよいのか、住宅市場の変化をさらに読み解いていこう。

まず、マンション市場、とりわけ都心や湾岸エリアの高額タワーマンションについては、需給の変化を示唆する動きがみられる。価格上昇が続く一方で、実需との距離が広がり、購入検討者の動きに慎重さが見られ始めたのだ。

その背景には、価格が上昇した局面において、需要側の選別が強まるという不動産市場の一般的な調整過程があると考えられる。

実際、三井のリハウスが公表した「東京ベイエリア マンションマーケットレポート」によれば、平均成約単価は上昇を維持しているものの、成約件数は減少傾向にあり、価格と取引量の間に変化が生じている。

具体的には、月島エリアでは成約件数が前期比で約半減(48.3%減)し、平均成約単価も12.2%下落した。汐留・浜松町エリアでも成約件数は38.5%減少しており、一部の高額取引が単価を押し上げる一方で、全体としては取引の慎重化が進んでいる様子がうかがえる。

勝どきエリアでも平均成約単価は下落に転じた。

また、「晴海フラッグ」の転売市場においても、売り手側の価格設定に変化がみられ、これまでの強い上昇期待から、より現実的な水準を探る動きへと移行しつつある。

これらの動きは、価格上昇局面の中で需給の調整が進みつつある可能性を示唆している。

多様化する「住まい選び」

こうした市場環境の変化を背景に、住宅選択のあり方にも変化がみられる。

近年、タワーマンションへの需要は引き続き一定程度、存在する一方で、価格水準や維持コスト、居住面積などを踏まえ、異なる選択肢を検討する動きも広がっている。

LIFULL HOME'S総研が発表した2026年の住宅トレンド予測によれば、タワーマンションへの過度な集中やステータス志向から脱却する「卒・タワマン所有主義」が主流になるという。

同じ2億円を出すなら、割高感が拭えない70平方メートルの湾岸タワマンよりも、100平方メートル超の広さに駐車場を備え、教育環境にも恵まれた戸建てを選ぶ。子どもが成長し、私立中学への進学などを真剣に考える高収入層ほど、こうした変化に敏感だ。

こうした動きを受け、大手デベロッパー各社も都市部における小規模戸建て開発に取り組み始めている。利便性と居住性の両立を意識した商品設計が進み、住宅市場における選択肢の一つとして存在感を高めている。

小社(タカマツハウス)のデータでも、戸建て思考が進む傾向が確認できる。

分譲物件全体では、完成前の成約率は約30%、完成後1ヵ月以内を含めても40%程度にとどまるが、一方で、駅徒歩5分圏内の物件に限定すると、完成前42%、完成後1ヵ月以内63%と成約率は大きく上昇する。さらに、1億円を超える価格帯の物件では、完成前50%、完成後1ヵ月以内67%と、より早期の成約がみられるのだ。

もっとも、これらのデータから直ちに市場全体が戸建てへとシフトしていると結論づけることはできない。成約動向は、立地や価格帯、さらには購入者のライフステージによって大きく異なるからだ。ただし、実務の現場では、駅近など利便性の高い立地において戸建ての需要が相対的に強いというのが実感だ。

「維持コスト」は大丈夫?

さて、ここまで見てきたように「地価の上昇」は、マイホーム購入を検討するうえで重要な指標となるが、それだけではない。「建築コスト」の上昇にも注意を払うべきだ。

近年は、資材価格や人件費の上昇が続いており、国土交通省の建設工事費デフレーターを見ても、住宅建築コストは上昇基調にある。この傾向は短期的に大きく反転するとは考えにくい。

住宅に関するコストは、取得時の価格だけでなく、維持管理費や修繕費、エネルギーコストといったランニングコストにも及ぶ。したがって、住宅選択においては、「購入可能かどうか」だけでなく、「長期的に維持可能かどうか」という観点がより重要になりつつある。

省エネルギー性能や耐久性といった要素は、こうした観点から評価される項目として位置づけられる。

「マイホーム選び」に外せない視点

このように、地価上昇、価格調整の兆し、建築コストの上昇といった複数の要因が重なる中で、住宅市場は一方向ではなく、多様な選択が併存する局面にある。

パワーカップルの増加などを背景に、通勤利便性や生活効率を重視する動きは引き続き強く、駅近や都心アクセスの良い物件への需要は根強い。一方で、居住空間の広さや生活環境を重視する選択も一定程度存在する。

こうした中で重要となるのは、住宅の資産性のみならず、ライフスタイルや将来的なコスト負担を含めた総合的な視点だ。

住宅は単なる投資対象ではなく、生活基盤としての側面を持つ以上、その最適解は個々の条件に応じて異なる性格を持っている。

マイホーム選びには、自らの状況に適した判断軸を持つことが、これまで以上に求められている。

さらに連載記事『住宅「50年ローン」は有りか無しか?人生を左右する「超長期返済のリスク」をプロが徹底解説します!』でも、最新の住宅事情について解説しているのでぜひ参考にしてほしい。

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