フィンランド大使館の着席ディナーに潜入! 味覚で旅する「フィンランド食の物語」とは?
フィンランド大使館が、食を通じてフィンランドの歴史や文化を紹介するメディア向けの夕食会を開催。クックパッドニュース編集部も参加してきました! 「プレゼンやパンフレットではなく、味覚を通してフィンランドを感じてもらいたい。なぜなら、食は文化を理解する上でとても力強い手段だから」というコンセプトのもと、「家」「森」「学校」「ストリート」「レストラン」「マーケット広場」という6つのスペースを食で旅する、ほかにはないユニークなディナーでした。
フィンランドの未来のシェフたちが腕を振るう
このイベントは、フィンランドの料理学校の生徒たちが海外で知見を広め腕を磨くプログラムの一環で、今回はラセコ職業専門学校とトゥルク職業専門学校から選りすぐりのメンバーが来日。最年少18歳から最年長38歳までの精鋭たちが料理を手掛けました。
ウェルカムドリンクでいきなりフィンランドの風景が広がった
会場に入るとまずウェルカムドリンクが手渡されました。アルコールは「ファーマーズ・アップルパイ」、ライ麦ウイスキーとりんごジュースで作ったウイスキーサワー仕立てです。ノンアルコールは「ビルベリードリーム」、野生のブルーベリーとジンジャービアのモクテル。

「目を閉じて香りを吸い込んでみてください。フィンランドの森でベリー摘みをしたような気分が味わえます」という言葉に、思わず素直に従ってしまいました。
「家」「森」のスペース:パンと森の恵みがフィンランドを支えてきた
最初のスペースは「家」。じゃがいもフラットブレッドや群島パン、ライ麦クリスプブレッドの盛り合わせが登場しました。「何百年にもわたってフィンランドの食文化の基盤はパンでした。最も困難な時代に人々の命を支え続けた、神聖といってもいいほどの存在」と語られ、スウェーデンとロシアの間で育まれた東西の食文化が交わる歴史も教えてもらいました。

続く「森」のスペースでは、森のきのこスープと鹿肉のリンゴンベリー添えが登場。鹿肉を担当した生徒が「塩加減がちょうどよくなっているか、ずっと不安でした」と明かしてくれましたが、その出来栄えは絶品。国土の約7割が森に覆われたフィンランドで、キノコやベリー、ジビエは何世紀も人々を支えてきた食材です。
「学校」のスペース:オーツ麦が生んだ平等の味

料理を説明するフィンランド大使館の参事官
「学校」のテーマでは、フィンランドが1948年に世界に先駆けて学校給食の無償化を実施した歴史が語られました。当初、子どもたちに提供されたのは湯気の立つオートミール。「家庭の経済状況に関わらず、全ての子どもが1日1度は温かい食事を」という精神は今も息づいています。

この日出されたのはローストサーモンとオーツリゾット。フィンランド人は1人あたり年間12kg以上のオーツを消費するといい、今や食品輸出の成功例としても世界から注目されています。
「ストリート」「レストラン」:意外な組み合わせに驚きの連続
「ストリート」のスペースでは、戦後フィンランドで若者文化とともに生まれたグリルキオスキ(屋台)文化をテーマに、自家製ケチャップとハニーマスタード添えのフィンランドソーセージとフライドポテトが登場。夜遅くまで営業し誰でも温かく迎え入れてくれた庶民の食べ物が、ブルゴーニュのピノ・ノワールとあわせて提供されました。お口直しにはスプルース(もみの木に似た針葉樹)の新芽シロップのシャーベットが出され、「フィンランドの冬の森の静けさ」をイメージしたというその香りは、本当に清々しいものでした。

「レストラン」では、サロニエミ牧場のチーズ3種とオーツクラッカーに、なんと瑞風純米吟醸(新潟)という日本酒がペアリングされました。「日本酒にこんなに種類があるとは知らなかった!」と目を丸くしていた生徒たち。フィンランドの大使館専属シェフから日本の食材や発酵料理について学んだという彼らは、「こういったものがフィンランドにもっとあったらいいなと思っています」と話してくれました。フィンランドと日本、遠い国どうしの食文化が交わる、印象的な一皿でした。
「マーケット広場」:フィンランドらしさが詰まったフィナーレ
最後は「マーケット広場」。フィンランドコーヒー、揚げたてのドーナツ(ムンキ)、ブルーベリーアイスクリーム、そしてシナモンロールのカクテルで締めくくられました。

フィンランドには「シナモンロールの日」(毎年10月4日)があるほど、シナモンロールは暮らしに根ざした存在。アイスホッケーの優勝を祝うのも、選挙活動を行うのも、夏の到来を友人と踊って喜ぶのもマーケット広場。「友人たちとコーヒーとシナモンロールを楽しむ。これこそフィンランドらしい過ごし方です」という言葉が、温かく胸に残りました。
ディナーの後半、生徒たちに「伝統的な味は今も身近ですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきました。「今、様々な料理がミックスされてきているからこそ、伝統的なものがさらに大切になってきていると感じています」。フィンランド料理のベースは「素材の質と塩」。シンプルだからこそ、素材への真摯な眼差しが料理に宿っていました。
最後に、この日に出された「オーツのリゾット」の作り方をご紹介します。
材料
オートグローツ(全粒オーツ麦):120ml
エシャロット:1個(みじん切り)
白ワイン:60ml
野菜のブイヨン:120ml
生クリーム:80ml
バター:10g
レモン果汁:適量
パルメザンチーズ:適量
オリーブオイル:適量(炒め用)
作り方
1.エシャロットをみじん切りにし、オリーブオイルで炒める。
2.別の鍋で、野菜ブイヨンと生クリームを合わせて温めておく。
3.1のエシャロットにオーツ麦と白ワインを加えて火を入れて、アルコールを飛ばす。
4.3に、2を少しずつ加えながら混ぜる。オーツ麦がアルデンテ(少し食感が残る程度)になるまで、約10分間調理する。
5.レモン、パルメザンチーズを加えて混ぜ、塩で味を調える
みなさんもぜひ試してみてくださいね。
