キーワードは“会話を生む接客”!──英語の学びなおしで海外客が増えたワケ
都内でハンコの専門店を営むBunさん(仮名・60代)。Bunさん
最近、とある工夫で、海外からのお客さまの来店が急増したそうです。
その秘訣は、「会話を大切にする接客」。
Bunさんは昔から英語がペラペラだったわけではありません。
40年間遠ざかっていた英語を57歳から学びなおし、海外の方への接客を臆せずに行った結果、お客さまの満足度のみならず、その集客数にも影響があったといいます。
都内でハンコの専門店を経営する60代。57歳からNHK英語講座「ラジオ英会話」を5年、その後は「ラジオビジネス英語」を4年ほど学習。現在はNHKテキストとNHK語学テキスト音声を併用している。
※本インタビューは2026年1月に実施しました。
海外のお客さまとの会話の起点は“漢字選び”
──Bunさんのお店では、海外のお客さまの名前を漢字で表記したハンコを売っているのですよね。
はい、まずはここが会話の起点になります。漢字って、音が同じでもいろいろありますよね。1つの音に対して候補をいくつか見せて、「この字はこういう意味です」と説明し、一緒に選ぶんです。
(左)Bunさんが販売している海外の方向けのハンコ。(右)同じ「ド」の音であっても「努」「怒」「度」「土」などのバリエーションがあることを紹介。
(左)Bunさんが販売している海外の方向けのハンコ。(右)同じ「ド」の音であっても「努」「怒」「度」「土」などのバリエーションがあることを紹介。
おすすめする漢字を選ぶためには、お客さまのことを知る必要があります。ここで1つ、英語での会話が生まれますよね。
来店客が動画を撮ってシェアしたくなるしかけ
──「とんとん相撲」のセットが! 何に使うのでしょうか?
ハンコができあがるまでの待ち時間に、お客さまと勝負をするんですよ。僕に勝ったら、ちょっとしたプレゼントを渡します。
このゲームはとても盛り上がりますし、「日本らしい」ということで、皆さんが動画に撮るんですね。それをTikTokなどに上げてくれて、それを見た人が来店するので、集客効果もあります。
動画に撮ってもらうことを狙っていたわけではないのですが、楽しんでもらった結果、撮って共有したくなるのだと思います。
ひと組に1時間。回転率より「記憶に残る店」
──Bunさんは、ひと組のお客さまと1時間ほど一緒に過ごすこともあるそうですね。効率だけを考えれば、決して楽な接客ではありません。
会話しながらハンコを作ると、思い出になるんです。だから今でも、来てくれたお客さまのことは覚えていますよ。
ひと組ひと組、お客さまの写真を指しながらエピソードを話すBunさん
やはり、英語でやりとりができることが大きいと思います。英語でコミュニケーションが取れることで、国境を越えたお付き合いが続いているんです。
私の英語は完璧ではありませんが、英語で交流ができる日本人もなかなかいないので、少し話せるだけで印象に残るのでしょうね。
お客さまとの会話の中では、おすすめの飲食店や、スーパーで買えるお土産などを教えることもあります。そういった何気ないやりとりも含めて、海外のお客さまにとっては、「現地の日本人とこんなに話した」ということ自体が、思い出になっているのではないでしょうか。
