ニセコの人口はすでに「16%が外国人」…インバウンド需要が生んだ「共生問題」の悩ましい実態
世界中から観光客が押し寄せる人気観光地となった、北海道・ニセコ。好景気に沸く一方で、外国人住人の爆発的な増加という課題も生まれている。いまニセコで何が起きているのか。地方観光地は、これから外国人とどう共生していけばよいのか。観光集客のスペシャリストで、著書に『観光ビジネス』がある内藤英賢氏が解説する。
地方観光地で増えている外国人住人
ニセコの外資進出の影響はホテル開発のみにとどまりません。
ホテル開発が進めば、そこで働くスタッフの人員も必要となります。
かつ、海外ゲストが増えるということは、英語対応ができるスタッフとなり、必然的に働くスタッフも外国人が増えていくことになりました。
事実、総務省の発表している公表データにおいても、ニセコエリアを指す倶知安町もニセコ町も16%が外国人住人となっています。
もちろん、インバウンドの増加に伴い、外国人住人が増えているエリアはニセコのみではありません。
ニセコと同時に語られることも多い、白馬村も外国人住人が13%と10%を超えてきています。
また、富士山のある河口湖町もまた外国人住人の増加しているエリアです。全人口の割合からすると、まだ4%ですが、10年で6倍に増えたというのがセンセーショナルに報道されました。
外国人の働き手が増えている理由
インバウンドが増えると、海外スタッフが増えるのには理由があります。
(1) 多言語(とくに英語)が話せる人材が必要になる
(2) インバウンド需要により街全体の稼働が上がるため、人手が不足するものの地方は既に人手不足のため、外国人に頼らざるを得ない
(3) インバウンド需要により事業者も収益が伸びるため、高賃金での募集を出しやすい。その結果として応募が増えて、稼ぎたい外国人の方の応募も増加する
実際、地方の旅館の採用の最前線でも、人手不足と言いながら、外国人の方の応募は多数というケースも確認できています。
このように今後も、インバウンドのマーケットの拡大と共に、そのエリアで外国人の働き手が増えるのは必然となってくるでしょう。
このこともまた、外資の開発とは異なる目線で賛否を生み出しています。
賛の部分では人手不足の解消につながっているのが第一でしょう。観光事業はどうしても人手が必要な事業ですので、慢性的な人手不足に陥っている地方観光地では、もはや外国人の働き手なしには回らないというのが実情です。
これは、インバウンドの多いエリアのみに限らず、インバウンドがいないエリアでも単純に働き手不足を補う形で、外国人の働き手が増えている状況です。
皆さんも、外国人スタッフの方が業務にあたっている姿は、どこの地方の旅館・ホテルに行っても目にしているのではないかと思います。
「共生の難しさ」をどう解決するか?
一方で否の部分は、文化や風習の違いによる共に住むとなった上での共生の難しさが、やはり日本人よりも高いという点でしょう。
とくに欧州では、移民問題は今や大きな政治イシューとなっており、日本でもすでに「日本人ファースト」を掲げる政党が出てきたりと、今後この分野は大きな論争を巻き起こすことになるでしょう。
直近でも、倶知安町で外国人労働者を巡り、農地に1200人規模の共同住宅地を建設することを北海道が許可を出し、大きな論争となっているところです。
ここでもまた、地方におけるインバウンドの増加とそれに伴う外国人スタッフの増加という今後、どこの地方でも起こりうる事象について、ニセコエリアは先進的な課題に当たっている状況です。
一概にどちらが正しいと言えない課題だけに、引き続きニセコエリアがどのような街の変遷をたどるのかは注目すべきかと感じます。
ビジネス関連記事をもっと読む→AI、データセンターによる電力需要急増で恩恵「原発関連銘柄5選」…三菱重工だけじゃない「日本企業」の名前
