【春闘】大手で“満額回答”ラッシュも「冬ボーナス削減」「来春賃上げ抑制」の可能性?イラン情勢の影響『数か月後』やってくるか…人手不足の中小は「防衛的賃上げ」に動く?
3月18日は春闘「集中回答日」
長引く物価高・混迷化するイラン情勢…先が見通せない中、3月18日、春闘の集中回答日を迎えました。
【写真を見る】ホワイトボードにずらり!書き込まれた各社の「満額回答」
日立は満額回答で、ベースアップは過去最高となる1万8000円。トヨタ自動車は6年連続の満額回答で、最大で月に2万1580円の賃上げを決定しました。また、流通・外食・製造業の労働組合が加盟するUAゼンセンの会場でも満額回答が並びました。
去年を上回る回答も相次いだ今年の春闘。イラン情勢の影響はあったのか?賃金アップは“実感”できるのか?中小には波及するのか?第一生命経済研究所・新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストに聞きました。
大手は「満額回答」ラッシュ!各社のベースアップは?
イラン情勢・原油高騰・米トランプ大統領の動向…不安山積の中行われた今年の春闘に注目が集まっていますが、大手では「満額回答」が相次いでいます。
<春闘 大手の回答 ベア>
▼パナソニックHD 月1万8000円(前年1万3000円)
▼川崎重工 月1万6000円(前年1万5000円)
▼ニチレイ 月1万4000円(前年1万3000円)
▼三菱電機 月1万8000円(前年1万5000円)
▼イオンリテール 月1万5144円(前年1万2989円)
▼サッポロビール 月1万6000円(前年1万5000円)
「大手では高水準の賃上げが実現」3つの理由とは?
大手の「満額回答」について、第一生命経済研究所・新家義貴氏は「非常に良好な結果」「大手では高水準の賃上げが実現」と評価。主に3つの要因が考えられると言います。
1つ目が「人手不足の深刻化」。少子化に加え、若年層の転職が活発になっていて、若い労働者確保のために賃上げの機運が高まっていると言います。
2つ目が「好調な企業収益」。円安により輸出企業の収益が押し上げられ、過去最高益の企業が多くなっているそうです。
3つ目が「歴史的な物価高」。従業員の生活水準を上げようという企業側の責任感が影響しているようです。
「イラン情勢の影響ほとんどない」しかし数か月後には…
今回の春闘に「イラン情勢の影響はほとんどない」と新家氏は指摘。情勢が緊迫し始めたのは2月末で「企業が判断する時間がなかった」ということです。また、収益に悪影響が及ぶとすれば数か月先になると言います。
「先行き不安」だけで賃上げを抑制するのは難しいようですが、一方で、数か月後には原油高騰が企業コストに反映され、冬ボーナス削減の可能性も考えられると言います。
さらに、来年(2027年)の春闘で賃上げが抑制されるリスクにも言及しています。
春闘で賃金アップも「実感できる人は少ないのでは」
春闘での賃金アップは“実感”を伴うものなのか?
新家氏は「改善の兆しはあるが、少々の上昇では実感できる人は少ないのでは」と指摘。
物価の高止まりが続けば賃上げは相殺されるほか、過去の実質賃金マイナスが影響し、数%の賃上げでは“実感”を得にくいのではと言います。
2022年~2024年にかけて、実質賃金(前年比)は「26か月連続マイナス」を記録。プラスに転じる局面もありましたが、その後「12か月連続マイナス」となりました(厚労省資料より)。
「大手を参考に賃上げ方向」中小企業には波及する?
大手で好調だった今年の春闘。中小企業には波及するのでしょうか?
新家氏によると、バラつきはあるものの「大手を参考に賃上げ方向」に動くと予想。ただ、「一部零細は抑制の可能性」があると言います。
一方、人手不足がより深刻な中小企業が「防衛的賃上げ」に動く可能性にも言及しています。
「値上げ容認」の雰囲気の中…取引停止リスクに直面する企業も?
新家氏によると、近年は値上げを認める社会的雰囲気が形成され、収益改善への環境が整いつつある=「価格転嫁の定着」が起きているそうです。
一方、懸念されるのが「二極化」。価格転嫁によって賃上げ原資を確保できる一方、値上げによる取引停止リスクに直面する企業も考えられると言います。
「経済政策や収益も、消費者の豊かさにつながることが重要」
今後のポイントについて、「企業利益だけでは不十分」と新家氏は指摘。「経済政策や収益も、消費者の豊かさにつながることが重要」と言います。
他の懸念点としては、行き過ぎた円安による物価上昇や、イラン情勢の長期化により物価上昇の鈍化が妨げられる可能性などを挙げています。
(2026年3月19日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
