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2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正・施行されてから、定年を65歳や70歳までに引き上げる企業が増加しています。そのようななか「人間には、60歳を超えても成長する機会が、まだまだたくさん残されている。『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』と感じている」と語るのは、外務省主任分析官の経験を持つ作家・佐藤優さんです。そこで今回は、佐藤さんの著書『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』より一部引用・再編集し「定年後が一番楽しい」を手に入れるための方法をご紹介します。

【書影】知の巨人がたどり着いた人生の最終結論とは?佐藤優『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』

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定年後の結婚はどうなる

定年後の人たちが結婚する際、互いの財産がどれだけあるかによって、子どもたちの相続にダイレクトに響く。結婚は自分たちだけの意思で成立するが、それによって、のちに子どもとの関係が悪化する可能性もある。

よほど慎重にやらないと夫婦関係も親子関係も崩壊してしまい、老後の人生が台なしになることすらある。

また、どちらかに介護すべき親がいる場合、どのように面倒を見るか、そうした問題もある。

高齢になって結婚相談所で相手を探す人のなかには、自分の親の介護などを任せたいがために登録している人もいるらしい。介護を外部のサービスに頼むと、それなりにおカネがかかるので、結婚相手に任せてしまおう、そうすれば、おカネがかからない、というわけだ。

こうした悪辣な人物もいるため、注意が必要だ。

恋愛感情だけで突っ走ってはいけない

そのため、定年後の結婚は、恋愛感情だけで突っ走ると、必ず失敗する。若いころのように甘いものではない。互いの生活を一緒に守っていくという生活防衛が、第一の目的となるのだ。

結婚とは、互助システムかもしれない。一種の生活共同体を作る営み。逆に言うならば、互いに信頼関係があり、助け合って生きていくということであるならば、結婚という形にとらわれる必要もない。

近くに住んでいる者同士であれば、籍を入れずとも、互いに行き来しながら、互いを高め合うこともできる。

そのため定年後の結婚は、恋愛感情だけで突っ走ってはいけない。そうすると、失敗することが多いはずだ。

先述した通り、結婚は、互いの生活を守るための生活防衛とも言える。親の介護や自分たちの老後対策が第一の目的だと考えて、常に頭を冷やすべきだろう。

夫婦の必要条件

しかし愛する人がいたら、もちろん結婚したらいいと思う。

結婚の形態は、自分の姓に相手を入れる、相手の姓に自分が入る、日常は戸籍上の姓ではなく旧姓を名乗るなど、お互いでよく相談して、いちばん納得できるようにすることを勧める。


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私の友人に、あえて籍は入れずに同棲のままという形をとる大学教授がいる。子どももいるが、「結婚は私事であり、国家とは関係ないので、籍は入れない」というのだ。こういう考え方も成り立つだろう。

また、相手が離婚に応じてくれないため、籍を入れずに別の人と事実上の結婚生活をしている例もある。

結婚の形態は重要ではない。

ただし夫婦は、寝食を共にしてセックスをするだけのものではない。互いに愛し合い、相手の気持ちを斟酌(しんしゃく)して行動することが、間違いなく夫婦の必要条件である。

私自身も、一回目の結婚には失敗した。その経験を語ると、離婚は極力経験しないほうがいい。

離婚は、結婚の3倍くらいのエネルギーがかかると感じたからだ。

田原総一朗氏のプラトニック高齢ラブ

それでは、どうすれば離婚しないで済む相手を見つけることができるか? まずは数ヵ月、同棲をしてみることだ。

こうして一緒に生活していると、恋人時代には気づかなかった相手の癖や性格が見えるようになる。そのうえで一緒にやっていけると感じられたら、結婚するのだ。

生活を一緒にするということは、二人だけで生活していくことができる経済基盤を前提とする。こうしたことをすっ飛ばして結婚すると、あとで深刻なトラブルが発生する。家計に対する考え方をしっかり話し合うことだ。

そして、離婚をするときも要注意だ。私も体験した。繰り返して強調しておくが、結婚の3倍ほどのエネルギーが必要となる。

ただし恋愛でも趣味でも、他者からの評価を気にして生きるのをやめることだ。定年後は人目を気にすることも組織の評価を慮る必要もないからだ。

「20代の恋は幻想である。30代の恋は浮気である。人は40代に達して、初めて真のプラトニックな恋愛を知る」──ゲーテは、こう語る。

実際、私が書籍のために対談した田原総一朗氏のケースでは、そのお相手は高校の同級生だ。

1934年に生まれた田原氏は90歳を超えており、お相手も同様だ。そして二人は一緒に風呂に入ったりはするが、いわゆるプラトニックな関係であり、そうして互いに人生を豊かにしている。

定年後の人たちの恋愛には、バラエティに富んだパターンがあるはずだ。

※本稿は、『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。