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埼玉県行田市で、産んだばかりの赤ちゃんの遺体を自宅の庭に埋めたとして、15歳の女子中学生が死体遺棄の疑いで逮捕された。

報道によると、女子中学生は「部屋に赤ちゃんを隠しておけないと思い埋めた」と供述し、容疑を認めているという。

3月16日、少女の父親が庭の雑草を処理するために土を掘り起こしたところ、へその緒などと一緒に埋められた赤ちゃんの遺体を発見し、110番通報した。

女子中学生は赤ちゃんを「1人で産んだ」と話しているといい、警察は司法解剖をおこなって死因の特定や詳しい経緯を調べている。

孤立出産の末に起きた痛ましい事件だが、ネット上などでは「保護やケアを優先すべきで、15歳の中学生をあえて逮捕する必要はあったのか」といった疑問の声もあがっている。

そもそも15歳の子どもを逮捕する必要はあるのか。また、今後この女子中学生はどういった手続きを受けるのか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。

●「逮捕はもう少し限定すべき」

──孤立出産した赤ちゃんを遺棄した容疑で、15歳の女子中学生を逮捕する必要はあるのでしょうか。

まず、赤ちゃんを遺棄したとされる事件は、他の事案でも逮捕されるケースが多いのが実情です。

ただ、私は、逮捕する事案はもう少し限定すべきであり、ほとんどの赤ちゃんの遺棄事件では、必ずしも逮捕する必要がないのではないかと考えています。

●逮捕の要件は「非常に緩やかに認められている」

──逮捕された背景には、どのような事情があると考えられますか。

逮捕は、逮捕の理由(嫌疑の相当性・刑事訴訟法199条1項本文)と逮捕の必要性(同法199条1項但書)がある場合に認められます。

逮捕の必要性とは、逃亡や罪証隠滅のおそれなどを指します(刑事訴訟規則143条の3参照)。しかし実務上は、逮捕の要件が非常に緩やかに認められています。

この刑訴規則では、考慮要素として「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情」が定められています。

特に未成年者が乳児を遺棄した場合には、法定刑も軽く(死体遺棄は3年以下の拘禁刑)、すでに遺体が発見されている状況では罪証隠滅のおそれも乏しいはずです。

また、本人の意思というより、環境的な要因が大きく、果たして身柄を拘束してまで捜査をする必要があるのか疑問に感じます。

虐待のおそれが明らかである場合など、逮捕はより限定的に用いるべきではないかと考えています。

●未成年でも大人と同じ手続き

──未成年を逮捕する際、特別に考慮されることはあるのでしょうか。

未成年者であっても、捜査段階では基本的に刑事訴訟法が適用されます(少年法40条)。ほぼ大人と同じ手続きになります。

近年は、勾留に代わる観護措置といって、鑑別所を利用するケースも徐々に増えていますが、実際には大人と同じように警察署に勾留されることがほとんどといっていいでしょう。

●今後の処分「正確に見通すことは困難」

──今後、この女子中学生はどのような法的手続きを受けるのでしょうか。

この女子中学生が最終的にどのような処分を受けるかについては、現時点で正確に見通すことは難しいでしょう。

先ほど述べたとおり、環境の要因が大きい場合には、保護処分を取るにせよ、保護観察や施設送致、あるいは児童福祉法上の措置が取られることが一応は考えられます。

ただ、少年審判では「やったこと(非行事実)」だけでなく、「矯正可能か」といった要保護性も審理の対象とされています。

報道だけで、この要保護性を判断するのは困難であり、憶測でコメントすることはできません。

どのような処分になるとしても、この女子中学生にとって適切な支援がされることを願っています。

【取材協力弁護士】
神尾 尊礼(かみお・たかひろ)弁護士
東京大学法学部・法科大学院卒。2007年弁護士登録。埼玉弁護士会。一般民事事件、刑事事件から家事事件、企業法務まで幅広く担当。企業法務は特に医療分野と教育分野に力を入れている。
事務所名:東京スタートアップ法律事務所
事務所URL:https://tokyo-startup-law.or.jp/