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アメリカと中国が月を目指して競争するなか、その裏でイーロン・マスクとジェフ・ベゾスによるもうひとつの宇宙レースが現在進行形でバッチバチ中です。

NASA が進める「アルテミス3」は、アポロ以来となる有人月面着陸を目指す象徴的ミッションです。2021年、NASAは月着陸船(HLS)の開発を SpaceX に委託。 当初は2024年の実施が想定されていましたが、開発の遅れなどを受けて現在は2028年へと延期。さらに2023年には Blue Origin が第2の月着陸船開発企業として選定され、2社体制での競争が始まりました。

ウサギとカメ、どっちが勝つ?

マスクはかねてから火星移住を最終目標に掲げ、「月は通過点にすぎない」とも語ってきました。一方のベゾスは、Xに暗闇からこちらを見つめるカメの写真を投稿。Blue Originの象徴はカメ。これはイソップ寓話「ウサギとカメ」へのオマージュで、ゆっくりながらもコツコツと歩みを進めるカメ(Blue Origin)がウサギ(SpaceX)を追い抜くぞ、というメッセージが込められています。

スターシップ方式は巨大ロケットと軌道上燃料補給

SpaceXが開発するStarship HLSは、超大型宇宙船「Starship」を月着陸仕様に改造するものです。 Starship は地球低軌道で複数回の打ち上げを行い、宇宙空間で燃料を補給してから月へ向かう設計になっています。 この「軌道上燃料補給」は将来的な火星探査を見据えた重要技術ですが、同時に極めて複雑です。大規模な燃料移送はまだ実証段階にあり、技術的ハードルは高いままです。 アルテミス3の延期には複数の要因が絡んでいますが、HLSの開発進捗もその一部とされています。

Blue Originの新計画は燃料補給を使わない道

米メディア Ars Technica が確認した内部資料によると、Blue Originは軌道上燃料補給を使わない構成を検討していると報じられています。 無人デモでは3回、有人ミッションでは4回のNew Glennロケットの打ち上げを想定。 最初の2回で「トランスファーステージ」と呼ばれる推進段を地球低軌道に投入し、3回目で小型の月着陸船「Blue Moon MK2-IL」を軌道投入します。有人ミッションでは、4回目の打ち上げが必要。月周回で Orion とランデブーし、宇宙飛行士が着陸船へ乗り移る計画になっています。 燃料補給を回避できる一方で、複数機の高精度ドッキングや深宇宙での軌道制御といった、これまで同社が実証していない高度な技術が必要になります。 どちらの方式も、簡単ではありません。

勝負は「早さ」だけではない

アルテミス3の契約は単純な“早い者勝ち”ではありません。 NASAはすでに2社体制を採用しており、選定時には技術成熟度や安全設計、将来の拡張性などが評価基準になっていました。

大胆に攻めるウサギか、着実に積み上げるカメか、勝負はイソップ物語の「ウサギとカメ」並みに先が読めないかもしれません。

Source: Ars Technica

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