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大分市佐賀関で発生した大規模火災の混乱の中、福祉車両を使って住民約30人の避難を支援したとして28日、社会福祉法人のスタッフ9人に警察から感謝状が贈られた。

【写真をみる】佐賀関大規模火災、発生時の現場 避難者を車両に案内するスタッフ 感謝状贈呈式

延焼迫る現場…港周辺は混乱

火災が発生したのは、2025年11月18日午後5時40分ごろ。住民の約6割を65歳以上で占める佐賀関地区で、火の手は瞬く間に広がった。

こうした中、住民の避難を支えたのが社会福祉法人「大翔会」のスタッフだった。

「特に足が不自由な方は歩いての避難が難しいのではないかと考え、現地にいたスタッフがすでに車を出していた」と、宿利友也施設長は当時を振り返る。電話で一報を受けた宿利施設長も、約1時間かけて現場へ急行した。

現地では延焼が広がり、火の手が迫る緊迫した状況だった。車いすを利用するなど移動が困難な住民や、事態を十分に把握できない人もおり、家から避難してきた人たちで港周辺は混乱していた。

「無我夢中だった」緊迫の6時間

火災発生直後から、「大翔会」のスタッフは福祉車両による支援活動を開始した。福祉車両5台を使い、消火活動が行われるすぐそばで「バスが出ていますよ!乗りますか」と大きな声で呼びかけ、住民を約1キロ先の佐賀関市民センターに開設された避難所まで運んだ。

車両での往復を繰り返し、車いす利用者を含む約30人を安全な場所へと導いた。活動が終了したのは深夜24時すぎ。6時間に及ぶ救出劇だった。

宿利施設長は「とにかく無我夢中でした。自分たちの身の安全も守らないといけないし、搬送している方が無事に避難できるか、その後どういった状況になるかなど、さまざまなことを考えながら行動していました」と語る。

火災の延焼は想像以上に速く、強い危機感を持って対応せざるを得なかったという。施設利用者の安否を確認しながらも、地域住民の避難支援にも力を注いだ。

福祉車両で避難した住民からは、「自分では長い距離を歩けないので助かった」と感謝の声が相次いだ。

「特別なことではない」地域への思い

こうした活動が評価され28日、大分東警察署から社会福祉法人「大翔会」のスタッフ9人に感謝状が贈られた。

宿利施設長は「特別なことをしたという感覚はありません。人命を守り、住み慣れた地域の方が無事でいてほしいという気持ちだけでした。地域のつながりを深めることができた点でも、すごく良かったと思っています」と話す。

火災による延焼範囲は広かったものの、人命被害が最小限に抑えられたことに、宿利施設長は安堵の表情を見せた。

火災から2か月以上が経過した現在も、避難生活を余儀なくされている住民は多く、佐賀関地区を離れて生活している人もいるという。

宿利施設長は「地域やコミュニティから離れて生活していることに、不安を感じている方が多くいます。地域のつながりを維持するため、社会の一員、地域の一員として、今後も積極的に活動していきたい」と語った。