スバル新「パフォーマンスE STIコンセプト」

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スバル新「“4WD”スポーツハッチ」が凄い!

 スバルは「ジャパンモビリティショー2025」において、ブランドのハイパフォーマンスを象徴する新たなコンセプトモデル、「パフォーマンスE STIコンセプト(以下、パフォーマンスE)」を出展しました。

 これまでのスバルのDNAを引き継ぎつつ、技術的要素も盛り込まれた同車のデザインについて話を聞きました。

しっかりと機能を踏まえながら

【画像】超カッコいい! これがスバル新「“4WD”スポーツハッチ」です!(23枚)

 今回お話をうかがったのは、スバル経営企画本部デザイン部担当部長/デザインディレクターの今井真一さんです。

 様々なデザインの先行開発を担当しているそうです。

【Q】パフォーマンスEのデザインコンセプトから教えてください。

【今井さん】その前に商品コンセプトの「エブリデイスーパーカー」というお話をさせてください。

 スバルとして、居住性や視界安全のような“ゼロ次安全”から得られる安心感がまず大前提としていますので、そこは必ず守ろうということから、今回のシルエットやプロポーションが生まれました。

 通常こういったコンセプトカーの場合、キャビンを絞ってより格好良さを表現していくものですが、このモデルはBEV(バッテリーEV)なので、空力性能を含めたモデル全体のパフォーマンスそのものを引き立てることが何より重要だと考えました。

 そしてそういった機能性の部分をいかに守りながら、スバルのヘリテージをどれだけ入れていけるかに注力したのです。

【Q】ではそのパフォーマンスとヘリテージという2つの要素を、どのようにデザインとして表現したのでしょう。

【今井さん】パフォーマンスとヘリテージという要素ですけど、これは2つではなくて1つだと思っているのです。

 それはSTIこそが、我々のパフォーマンスの象徴と考えているからです。

 その上で、スバルとSTIが培ってきたデザインによって、見てすぐに「これはSTIだよね」と分かってもらえる要素をいくつも散りばめました。

 フロントでは、STIのロゴがある部分。これまでスバルのSTIのクルマにはフォグ周りをカバーするものがありました。

 これは余計な空気をそこに当てない目的で取り付けたもので、また今回はBEVですので、空力はやはりとても大切です。

 そこで象徴的に同じ要素を、よりシンプルかつ現代に合わせてデザインしました。

 次にゴールドのホイールですね。これも我々スバルの象徴として常に扱われているものですが、今回は空力デバイスとして空気をホイールに入れないようにすることで、空力性能をすごく上げているんです。

 やはりBEVですから航続距離も大事で、エブリデイスーパーカーの“エブリデイ”の部分にもとても効いてきます。そういったところにも寄与するようなデザインに、象徴的なゴールドをあしらいました。

 そしてリアの大きなウィング。皆さんが期待するところですね。ただダウンフォースには効果は大きいのですが、空気抵抗としてみると悪い影響を及ぼしてしまい、航続距離に大きく影響してしまうのです。

 エブリデイ、つまり毎日ですから今回は象徴としてしっかりと形は作っていますけれども、横に渡すようなウィングにはしていません。

 そこでダウンフォースを生み直進安定性を向上させ、なおかつ航続距離を出すスムーズな空気の流れのバランスがどこで取れるかを空力チームと研究した結果、こういった翼端板といいますか、スポイラー形状になりました。

面の抑揚やキャラクターラインにも意味がある

【Q】サイドビューに目を移すと、光の移ろいが目に入りますね。

【今井さん】はい、これは機能的な部分ではありませんが、パフォーマンスの表現です。

 特にドアの周りは、パッと見はすごくソリッドな硬い面でできているように見えるのですが、リフレクションがドアに入っていった時に後ろ下がりの映り込みが出るように構成しています。

 もうひとつリアフェンダーの部分も、ホイールのセンターに向かうような映り込みが入るようにしています。これらはリアにトラクションがしっかりかかっていることを表現して、四駆らしさを見た瞬間に伝わるような表現として取り入れました。

 また大きなキャビンが付いていますので、後ろ上がりのキャラクターばかりにしてしまうと腰高に見えてしまうのです。そういったところを抑えて、フロントクォーターから見た時にものすごく腰の座った、いかにも地を這うようなデザインになるようこだわりました。

今回お話をうかがった、スバル経営企画本部デザイン部担当部長/デザインディレクターの今井真一さん

【Q】前後フェンダーの張り出しを強調するために、少しキャビンを絞っていますね。

【今井さん】はい、これも空力の最適なところまで絞って、しかし居住性は確保しながら、その限界がどこかを空力チームと一緒に決めています。

 キャビンをもっと絞ればフェンダーはより出てくるのですが、それをやらずにどれだけリアフェンダーを出せるかにトライしました。

 リアドアの後ろを見ると、上に面があるのですね。これが自然と出てくる仕組みとなっていてフェンダーがより張り出して見えるのです。

最適解がこのプロポーション

【Q】パフォーマンスEは、リアにハッチゲートを持ったボディタイプですので、空力的にちょっと弱くなる。しかし、セダンタイプにすると空気を断ち切りやすくなりますよね。それをあえてハッチバックにしたのはなぜですか。

【今井さん】最適解というところが一番かな。エブリデイのところで考えると、このシルエット自体が人中心の我々の考えから来ていますよね。

 しかしセダンタイプにすると、長がさらに伸びてしまいます。

 そうすると相当大きなクルマになってしまいますので、空力を維持しながら居住性も確保しつつ、なるべくコンパクトにしていこうと考えると、このタイプにたどり着くわけです。

※ ※ ※

 生真面目なスバルだからこそ、コンセプトモデルであっても空力要件やスバルならではのゼロ次安全にまでこだわり、デザインされているのは見事と言うほかありません。

 今後、パフォーマンスEに含まれている様々なこだわりが実車に投入されていくことでしょう。

 そういった視点で改めてこのモデルを眺めて見るのも面白いですね。