日比野隆司・日本証券業協会会長

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「日本の株式市場は世界の成長を取り込んできており、今後も右肩上がりが期待できる」

 相互関税を始め、米トランプ政権の政策で株式市場は一喜一憂しがちだが、長期的目線では「日本企業の『世界で稼ぐ力』は信じられるし、デフレの厳しい中で鍛えられている」として日本株の潜在力を評価。

 足元で証券業界の不安要素になっているのが、犯罪グループによる「口座乗っ取り問題」。

 だが、証券各社による「多要素認証」の必須化などのセキュリティ強化や、投資家の危機意識の醸成などもあり、2025年6月は被害件数が減少。ただ「ゼロになるかというと、ウェブの世界は『イタチごっこ』の面がある。時代とともに常に努力を怠るわけにはいかない」と強調する。

 各社補償を進めているが、起きている事象は個別性が強く、業界統一の対応が難しいのも現実。この問題を受けて、日証協はインターネット取引の対策に関するガイドラインの改定に向けて動いており今後、内容を詰めていく方針。

 24年の「新NISA」開始以降、日本の株式市場は長年実現してこなかった「貯蓄から投資へ」に向けて動き出しているが、今後さらに流れを後押しすべく「全世代を対象にした商品の充実、職域ベースでのNISAの拡大、さらには取り組みを地方に広げることで、投資人口を増やすことができるのではないか」

 銀行と証券の間の垣根「ファイアウォール規制」については緩和方向で議論が進んできたが、メガバンクグループで複数、違反事案も起きた。「規制を守る体制をしっかり確立した上での議論だと考えている」

 日比野氏が大和証券グループ本社社長に就任したのは2011年のことだった。リーマンショックの傷も癒えない中で東日本大震災も発生、厳しい環境下でのスタートだったが「マーケットに依存する経営との決別」を掲げ、「ストック性収益」の拡大を進め、経営基盤を固めた。

 今回も会長として厳しい状況の中での船出。そのカジ取りにかかる責任は重い。