43歳で出産、15歳の娘をもつ漫画家ひうらさとるさんの子育て。「娘と自分は違う人間だから、好きに生きてほしい」
心も体も成長する思春期は、親子にとって大切な時期。ESSEでは子育てや美容にまつわる悩みをサポートします。「子どもがいる人生はうれしいおまけみたいなもの」と話す漫画家のひうらさとるさん。43歳で出産した娘さんは現在15歳。「理想はない」という子育てや、親子の関わり方を聞きました。

ひうらさんの子育て年表
漫画家ひうらさんの子育てのこれまでを見ていきましょう。
●0-6歳
手がかからずおしゃまさんだった幼少期
「育児は大変」と聞いて覚悟していましたが、よく食べるし眠るし、保育園に行くにもグズることがない、育てやすい子でした。仕事で海外に連れていくことも多かったですね。
●7-12歳
2歳前後で兵庫県の城崎に移住し、田舎暮らしに。低学年の頃は外で遊ぶことも多かったですが、小5くらいからは家で絵を描いたり、ゲームしたりすることも増えていきました。
●13-15歳
好きなことイヤなことがわかり進路を一緒に考えた中学時代
中学生になると、「スカートは履きたくない」など強い意志を示すことも。話題によって家族LINEと母娘の個別LINEを使い分け、密なコミュニケーションをとっています。
●現在
15歳の娘の母として娘というひとりの人間の人生を応援しています。
自分の思春期の頃とは、環境が大きく違います

「15歳の娘を育てていますが、自分たちが思春期だった頃に比べて、子どもたちを取り巻く環境はずいぶん違うと感じます」と語るひうらさん。
「今はSNSがあっていつでもだれとでもつながれますし、知りたいことはインターネットで調べればすぐ出てきます。そこで得た情報の使い方も、デジタルネイティブの今の子たちは私たちよりずっと上手。なにが本当でなにがウソかを見分ける目もある程度もっているので、ネット回りのことは私はあまりうるさく言わないようにしています。
ただ、『情報』として知っていることも、実体験はまだまだ少なく、『じつはわかっていないこと』が多いのも思春期の頃。娘はこの春から親元を離れて暮らしていますが、先日帰省した際に、『新幹線代ってこんなに高かったんだね、今までありがとう』と言ってきたんです(笑)。新幹線には何度も乗っていますし、値段も知っていると思っていましたが、短い間ながら自分で生活費をやりくりして暮らしたことで、新しい世界が見えるようになったようです。
ひとり立ちさせるにはまだまだ心配はつきませんが、今、親ができるのは、こうして実戦の機会を与えたり、うまくいかない場合にフォローしたりすることかなと思っています」
娘と自分は違う人間。好きに生きてほしい

「高校生のうちに漫画家デビューする」と決め、自身の作風とマッチする媒体を研究、見事にその目標を果たしたひうらさん。
「10代の頃から漠然と、『自分は会社勤めが合わなそう』と感じていたので、早くから“自分の生業”を探していたんですね。今思えばわりと要領もよく、行動力もあった方かも(笑)。
でも、娘に同じようなやり方を求める気はありません。これは不思議なのですが、娘がおなかにいるときから『あぁ、この子は自分とは別の人間で、今はたまたま私が預かっているだけなんだな』と感じていました。それは生まれてからも同じで、娘は、私なら『そんなのサッとやっちゃえばいいのに』と思うこともじっくりと考えてから答えを出す。
歯がゆく思うこともありますが、待っていれば自分なりの方法を見つけ、対処していくタイプなのだなと気がつきました」
ひうらさんがそう言いきれるのは、過去になにかつまずくたび、「なにがイヤなのか」「どうしたいのか」を丁寧に話し合ってきた親子の歴史があるから。
「幼い頃は本人がうまく言語化できないこともありましたし、こちらの思いがちゃんと伝わったのかと悩むこともあったのですが、何年かたってから不意に、『あのときにこう言ってくれてよかった』と言ってくることがあるんです。これはジワジワと効いているんだなって(笑)。『あの時間はムダじゃなかったんだ』と思うと、何年か越しにホッとしますね」
子育てに理想はない。娘の人生があるだけ

夫も含めた家族3人で旅行に行くことも多いという仲のよいひうら家。娘さんは思春期の今も、将来のことや人間関係について思いのほかオープンに話してくれるのだそう。
「悪い男に引っかかりそうになったら?」と質問してみると、「それもまた勉強ですから(笑)」とひうらさん。頭ごなしに否定しない話の聞き方は、家庭内での話しやすい雰囲気につながっているのかもしれません。
「娘の人生は娘のものだから、失敗も経験だと思います。それに、子どもはすごいスピードで成長しているから、気がつくともう思っていた人間じゃなかったりするんですよ。
一度、今までのやり方が合わなくなって悩んだことがあるのですが、ある人に『それは娘さんが成長して、サイズが合わなくなったからですよ』と言われて納得しました。
私は高齢出産だったこともあり、もともと子育てに理想がないんです。同世代とは子育ての段階が違うし、地方暮らしだから東京の“普通”からも距離がある。私にとって、娘は人生のうれしいおまけみたいなもの(笑)。娘が自分の人生を好きに生きられる大人になるまで、サポートしていければと思っています」
ひうら家のひとコマ

東京から関西に移住してしばらく経った4歳の頃。当時の娘は旅行にも連れていくほど「ぽぽちゃん」のお人形がお気に入りでした。

中学3年の終わりに家族でニュージーランドへ旅行。このあと娘は独立して東京で暮らすことになったので、いい思い出になりました。
