「寝る前に日記をつける」「毎日ジョギングや筋トレをする」「食事に野菜を取り入れる」「23時までには寝る」など、何か新しい習慣を身につけようとしたものの、なかなか習慣が身についた気がしなくて挫折した経験がある人もいるはず。新たな習慣の形成には世間で言われている以上に時間がかかるとのことで、南オーストラリア大学の博士研究員であるベン・シン氏らが習慣形成にかかる時間や、習慣を身につけるのに役立つ「8つのヒント」について解説しています。

Time to Form a Habit: A Systematic Review and Meta-Analysis of Health Behaviour Habit Formation and Its Determinants

https://www.mdpi.com/2227-9032/12/23/2488

Forming new habits can take longer than you think. Here are 8 tips to help you stick with them

https://theconversation.com/forming-new-habits-can-take-longer-than-you-think-here-are-8-tips-to-help-you-stick-with-them-255118



世間ではよく、新たな習慣を身につけるには21日かかると言われており、この法則は「21日ルール」とも呼ばれています。21日頑張れば習慣が身につくと考えると気が楽になるかもしれませんが、残念ながら実際のところ21日で習慣を定着させるのは難しいとのこと。

そもそも21日ルールとは、美容整形外科医のマクスウェル・マルツ博士が1960年に著わした著書「サイコ・サイバネティクス」の中で報告した、美容外科手術を受けた患者は新しい外見に慣れるまで21日かかるというエピソードが元となっています。このエピソードが自己啓発本などに繰り返し引用され、やがて共通の認識になっていったそうです。

しかし、2009年の研究では「朝食後に水を飲む」「毎日果物を食べる」といった簡単な習慣でさえ、行動が自動的に行われるようになるまで中央値で66日かかることが示されました。また、シン氏らが習慣形成に関する複数の研究をレビューしたところ、習慣が自動化されるまでには平均して59〜154日かかることもわかりました。習慣獲得にかかる時間にはかなりの幅があり、中にはわずか4日で習慣を身につけた人もいれば、1年近くかかった人もいました。



習慣形成までの時間は、身につけたいのがどのような習慣であるのか、どれほどの頻度で繰り返されるのか、どれほど複雑な習慣なのか、習慣を身につけようとするのが誰なのかといったさまざまな要因に左右されます。たとえば、「食後に水を飲む」「毎日ビタミンサプリを飲む」といった簡単で手間のかからない行動は、「マラソンのトレーニングをする」といった難しい行動よりも早く習慣になる可能性があります。

しかし、どのような習慣であっても、「習慣の形成を積極的にサポートする介入」が有効であることもわかっています。シン氏によると、リマインダーアプリなどを利用して「毎日同じ時間に運動するよう通知する」「毎食後に水を飲むよう通知する」といった介入を行うと、行動を繰り返しやすく、そして忘れにくくして習慣形成に役立つとのこと。

シン氏らの研究では、「毎日の小さな行動であっても、一貫して繰り返すことで強力な習慣になり得る」ということが示されました。つまり、短期間で習慣を身につけて人生を変えられると思うのではなく、たとえ日々の進歩が実感しにくくても、行動が習慣化されるまで続けることが重要だというわけです。



シン氏らは科学的な研究結果を踏まえて、習慣を身につけるために役立つ「8つのヒント」を紹介しています。

◆1:時間をかける

数日や数週間で習慣を身につけられるかどうか判断するのではなく、少なくとも60日間にわたり一貫した行動を続けることを目指すことが重要です。また、必ずしも完璧である必要はなく、途中で1日や2日ほど行動できない日があっても、時計がリセットされるわけではありません。

◆2:簡単なことから始める

習慣化するには行動を継続するのが大事であるため、いきなり困難なことを習慣化するのではなく、毎日繰り返すことが現実的な小さく簡単なことから始めるのが重要です。

◆3:既存のルーチンに結びつける

新しい習慣をゼロから構築することは困難です。そのため、「歯を磨く前にデンタルフロスをする」のように、これまでやっていた「歯を磨く」という行動に「デンタルフロスをする」という新たな行動を組み込むと、行動を忘れずに繰り返しやすくなります。

◆4:進行状況を追跡する

カレンダーやアプリを使い、行動を実行できた日をチェックすることで、行動をどれほど継続できているのかが実感できます。



◆5:ご褒美を盛り込む

たとえば、「朝の散歩ができたら高級なコーヒー豆でコーヒーを入れる」「ジョギングの後にお気に入りのテレビ番組を見る」など、新たな行動にご褒美を盛り込むことで、行動にポジティブな感情が紐付いて習慣化しやすくなります。

◆6:朝に行う

朝に実践した行動は、夜に実践した行動よりも習慣化されやすい傾向があります。これはおそらく、1日の早い段階で人々のモチベーションが最も高く、気を散らすものが少ないためだと考えられているとのこと。

◆7:自分で選択する

新たな行動は誰かに押しつけられたものではなく、自分で選択したものであると、より習慣化しやすくなるそうです。

◆8:一定の状況で繰り返す

日々異なる状況やタイミングに行動を盛り込むのではなく、「毎日昼食後に散歩へ行く」「朝起きたらラジオ体操をする」といったように、毎日同じ状況で同じ行動をすることで習慣が身につきやすくなります。



シン氏らは、習慣の形成には一般的に2カ月以上かかるため、21日以内に変化が現れなくても諦めることなく、継続することが重要だと主張。「私たちの研究やその他の証拠は、安定した状況の中で意図的な行動を繰り返すと、本当に行動が自動化されることを裏付けています。時間がたてば、新しい行動は楽に感じられて深く定着します。そのため、もっと運動するにしろ、もっと健康にいいものを食べるにしろ、睡眠を改善するにしろ、重要なのはスピードではなく一貫性です。行動を継続してください」と、シン氏らはアドバイスしました。