U-23日本代表の大岩剛監督が抱えるチーム作りの“苦悩”。五輪世代特有、選手選考の難しさ「誰を呼べるかは最後の最後まで分からない」
オリンピックイヤーを迎えたなか、どのようにチームを作っていくのか。最終予選までに残された活動機会は、3月中旬のインターナショナルマッチウィークのみ。同月22日にマリ(サンガスタジアム by KYOCERA)、同月25日に北九州スタジアムでウクライナと親善試合を行なうことが決まっているが、準備期間がほとんどないのは間違いない。
昨年9月下旬から実施されたアジア競技大会では、Jリーグで出場機会を得ていない選手と大学生を中心に構成し、決勝に進出。最後は、オーバーエイジの選手を3名組み込んだベストメンバーに近い韓国に1−2で敗れたものの、FW内野航太郎(筑波大)、DF山粼大地(広島)、GK藤田和輝(千葉)らが同大会で活躍した。
「ポジション争いに勝つ。それが大前提。ポジションは与えられるモノじゃないという話は毎回のように話をしている」と指揮官が口にした通り、彼らはアジア大会翌月の活動で代表入りを果たし、藤田がいきなり先発出場を果たすなど、選手層の拡充は着実に進んだ。
一方で、今冬に新潟でプレーしていたMF三戸舜介がオランダ1部リーグのスパルタに移籍するなど、海外組の選手が少なからず増えている。
A代表のアジアカップには、FW細谷真大(柏)、GK鈴木彩艶(シント=トロイデン)、GK野澤大志ブランドン(FC東京)が招集されており、同じ年に2度、大陸王者を決める大会に出場できるかという不安も抱える。
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昨年12月中旬にインタビューを実施した際の大岩監督の言葉からも苦悩が伺えた。
「いろんなシチュエーションを想像している。でもやっぱり、想像の域は超えないし、そればかりをやっていると、本質を見失ってしまう。なので、言い方が難しいけど、状況に応じて対応して、準備をしていくしかない。それはスタッフの中で話をしています。
おそらく今オフに移籍する選手が出るし、海外にいく選手もいるはず。クラブの状況も見えないので、視察に行ってお願いはしますが、あくまでもインターナショナルマッチウィーク外の大会。おそらく海外のクラブは交渉してもそれを前面に押し出してくると思うし、選手自身もクラブでの立ち位置を上げてほしいけど、上げれば上げるほど招集が難しくなる。ヨーロッパはリーグの最終盤で佳境ですからね」
だが、指揮官はどんな状況になっても戦えるようにチーム作りを進めてきた。3月にはある程度、最終予選で招集できるかの可否が見えてくるともいう。そのため、最終予選前に行なう3月中旬の活動では、U-23アジアカップに挑むメンバーを中心に構成できる予定で、最終的なスカッドリストを固めていく方針だ。
その一方でU-23アジアカップの組分けが決定。日本は中国、アラブ首長国連邦、韓国との対戦が決まり、各国から分析を進められている。そうした駆け引きもすでに始まっており、サインプレーやセットプレーの手の内を明かさないことも不可欠。そして、相手に情報がなく、大会直前のタイミングで活躍している選手の力も必要になる。大岩監督は言う。
「ずっと呼び続けている選手だけが、最終予選に行く確率が高いけど、ジョーカーではないけど、その時に旬を迎えている選手も必要で、台頭してほしいという思いもある。分析もされていないですし。誰を呼べるかは最後の最後まで分からないですけど、戦力をしっかり持っておくことは我々として大事だと思っている」
今まで呼ばれていない選手であってもチャンスはあるし、過去に招集されてインパクトを残せなかった者にも門戸は開かれている。
全ては結果次第――。2月に幕を開けるJリーグやすでに後半戦がスタートしているヨーロッパのリーグでプレーしている選手が、どのようなパフォーマンスを見せるのか。パリ五輪出場を掴むべく戦う、U-23世代の選手たちのプレーに期待したい。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
