7月21日、「楽天市場」出店店舗向けのイベント「楽天EXPO」で講演をおこなった三木谷浩史・楽天グループ会長兼社長(写真・Motoo Naka/アフロ)

 8月10日、楽天グループは2022年度第2四半期決算を発表した。携帯電話の基地局建設の先行投資などが響き、1〜6月期の純損益は1766億円の赤字となった。赤字額は中間決算として過去最大。モバイル事業の営業赤字は2593億円だった。

 5月に「月額0円プラン」の廃止を発表した楽天モバイルの契約数は、6月末時点で477万件と、4月末と比べて23万件減少した。三木谷浩史会長兼社長は、解約したユーザーのうち8割が「0円(月間データ利用量が1GB未満)ユーザー」だったことを明かし、こう述べた。

「最初は大盤振る舞いしないといけなかったが、これからは適正な売り上げをあげていくため、大きな舵を切った。今後も一定の離脱があるかもしれないが、収益の改善がおこなわれていくと思っている」

 とはいえ、楽天グループの見通しは明るくない。

楽天モバイルは2020年4月の本格参入以降、基地局建設などの負担で赤字が拡大する一方、回線数は増え続けていました。ところが、最大の売りにしてきた『0円プラン』がなくなり、他社への流出が増えたとみられます。楽天モバイルの0円プランは8月まで、さらにポイント還元による実質0円は10月まで継続されるため、11月までは契約数が減少し続けることが予想されます」(ITライター)

 7月4日、楽天グループは、子会社の楽天銀行が東京証券取引所へ新規上場申請をおこなったと発表した。具体的な上場時期などは未定だが、同じく傘下の楽天証券も上場準備を進めている。

「最大の懸念は、グループ全体の財務にあります。2022年6月期の社債および借入金は約2兆5370億円。楽天グループが、楽天銀行と楽天証券の上場を狙うのは、苦境にあるモバイル事業の赤字を埋め、設備投資を続けるための資金を確保する目的があると見られています。『親子上場』が疑問視される風潮の中で、あえて楽天銀行を上場させるのは、資金繰りが苦しいことの裏返しといえます」(同)

 楽天銀行が上場を発表したときも、ネット上では懸念する声が上がっていた。

《楽天Gとして有利子負債が莫大だからその穴埋めが目的に見えます》

《止まらないモバイルの赤字をなんとか小手先で辻褄合わせしても構造改革にはならないと思いますが》

 楽天グループに重くのしかかる「2兆5000億円」の借金。11月までは楽天モバイルの契約者数減少は続くとされているが、楽天側はこれについて「11月で契約数が下げ止まる」との認識のようだ。はたして、どちらの表現が正しかったことになるのか……。