LAS VEGAS, NEVADA - SEPTEMBER 25: (R-L) Alexander Volkanovski of Australia strikes at Brian Ortega in their UFC featherweight championship fight during the UFC 266 event on September 25, 2021 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)

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(写真左より)アレクサンダー・ヴォルカノフスキー、ジョン・チャンソン、アルジャメイン・スターリング、ピョートル・ヤン/Getty Images

 日本時間の4月10日(日)、アメリカ・フロリダ州ジャクソンビルのVyStarベテランズ・メモリアル・アリーナで『UFC273』が開催される。

 メインイベントは、王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーが、『コリアン・ゾンビ』ことジョン・チャンソンを迎え撃つフェザー級タイトルマッチ。さらに正規王者アルジャメイン・スターリングと暫定王者ピョートル・ヤンによるバンタム級王座統一戦も組まれている。

 このダブルタイトルマッチの見どころを、「世界のTK」高阪剛に語ってもらった。

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アレクサンダー・ヴォルカノフスキー/Getty Images


--『UFC273』のメインイベントは、もともとヴォルカノフスキーとマックス・ホロウェイの3度目の対戦の予定でしたが、ホロウェイの負傷欠場により、ランキング4位のジョン・チャンソンが挑戦者に抜擢されました。
「これはホロウェイが出られなくなった時点で、多くの人が『代わりはジョン・チャンソンしかいない』と思ったんじゃないですかね。『コリアン・ソンビ』の異名が付けられるくらいタフで打たれ強く、どんな相手であろうと立ち向かっていく、何かをしでかしてくれそうな期待が持てる選手ですから。そういう意味でホロウェイ欠場の副産物ではありますけど、すごくいいマッチアップだと思いますね。」

――しかし、下馬評ではヴォルカノフスキーが圧倒的に有利と言われています。
「これは仕方がないです。ジョン・チャンソンにかぎらず、今のヴォルカノフスキーを崩すのは難しい。それぐらいの強さを王者になる前から見せていますから。」

――UFC10戦全勝、MMA20連勝中ですからね。
「そのヴォルカノフスキーの鉄板ぶりを支えている要因はいくつもあると思いますけど、一つ挙げると右のパンチが、ストレートにしてもオーバーハンド気味のフックにしても、ものすごく強いんですよね。それを対戦相手も知っていたり、感じていたりするので『右を打つぞ』というフェイントだけで、すごくプレッシャーをかけられるんですよ。」

――相手が必要以上に反応してくれると。
「だから右のフェイントに引っかかって、逆に左フックをもらってしまったりとか、連打を打たれることが多い。ヴォルカノフスキーと対戦する選手は、強い右をもらわないのは当然として、それを餌に使っているであろう他の攻撃にどう対応するかが求められるんです。」

――また、ヴォルカノフスキーの無尽蔵のスタミナも相手にとっては脅威ですよね。
「そうですね。前回のブライアン・オルテガ戦もそうですけど、時間が経つほど強くなるという不思議な体力の持ち主なんですよ。序盤でフラッシュダウンしたりすることもあるし、テイクダウンの攻防などでかなり体力を使っているはずなのに、なぜかラウンドを重ねるごとに強くなる。あれは超サイヤ人ですよ(笑)。」

――途中で金色の戦士に変身してるんじゃないか、と(笑)。
「オルテガ戦では、ギロチンチョークや三角絞めでタップアウト寸前まで追い込まれながら、なんとか抜け出したじゃないですか。でも、一度窮地に陥ってなんとか耐え凌いだ後って、体力的にも精神的にもものすごく消耗するものなんですけど、ヴォルカノフスキーはすぐにプレッシャーをかけて前に出てましたからね。あの異常な体力と精神力を見せられたら、対戦相手は恐怖感を抱くんじゃないかと思いますよ。」

――そんなヴォルカノフスキー相手に、ジョン・チャンソンはどんな戦いが考えられますか?
「ジョン・チャンソンは殴り合い上等のイメージが強いと思いますけど、じつはすごく目がいい選手なんですよ。試合の序盤で相手の打撃の軌道を見切って、すぐに打ち返すとか、カウンターを入れるとか、タックルを合わせるとか、そこのセットアップがすごく早いんです。打たれたらすぐ打ち返すから殴り合いになるんですけど、リーチも183cmと長いので、アウトボクシングでポイントを稼ぐこともできる選手だし、そこからのラッシュで仕留めることもできる。」

ジョン・チャンソン/Getty Images

――ヴォルカノフスキーと背格好が似ている元ライト級王者フランク・エドガーもKOしてますしね。
「エドガー戦も打ち合っているように見えて、ちゃんと見切って当てているんですよね。じつはそういう冷静な試合運びができる選手なんです。『コリアン・ゾンビ』という異名から、打ち合って打たれ強いイメージが強いですけど、それだけだとジョン・チャンソンを見誤ると思いますね。」

――では、この一戦はどうなると思いますか?
「正直、真っ向勝負をしたら、さすがのジョン・チャンソンもヴォルカノフスキーには勝てないと思うんですよ。両者ともにタフなストライカーですけど、ヴォルカノフスキーはステージが違うと思うので。チャンソンがいちばん上回っているのは、最初のセッティングが早いこと。先手でパンチを効かせてペースを握って、反応の速さでヴォルカノフスキーの攻撃に対応していけば、勝機も見えてくるんじゃないかと。でも、しっかりペースを握れないと、後半伸びてくるヴォルカノフスキーに体力勝負に持ち込まれて、やられてしまう。だからジョン・チャンソンが、いかにこれまでのイメージと違う、クレバーな戦いかたができるかどうかでしょうね。」

アルジャメイン・スターリング/Getty Images


――続いて、正規王者アルジャメイン・スターリングと暫定王者ピョートル・ヤンによるバンタム級王座統一戦。両者は昨年3月、王者ヤン、挑戦者スターリングとして対戦し、ヤンが優勢に試合を進めたものの4ラウンドにヤンが反則の膝蹴りを入れてしまい、反則負けで王座が移動した因縁の再戦です。
「前回の試合だけを参考にするのはよくないですけど、あの試合を観た限りは正直、実力差があったなと自分は感じたんです。ヤンが途中で遊びだしたというか、『これ、いけるわ』って感じで、実力差を見せつけるかのようにコカすだけの大外刈りや、いなすような投げを2〜3回やってましたよね。そういうところで精神的なマウントを取ろうとしているのが見え隠れする試合だったので、スターリングは新たな技術や戦略なしで今回の試合に臨んだら、ちょっと勝つのは難しいかなと思います。」

――確かに前戦はとくに後半圧倒してましたからね。
「スターリングって、自分はすごく好きなタイプの選手なんです。アグレッシブだし、必ず一本極めにいこうとする。だからバンタム級のトップ3は、じゃんけんのような関係だと思うんですよ。スターリングはヤンに分が悪いけど、コーリー・サンドヘイゲンには完勝している。ヤンも前回、サンドヘイゲンに勝ってますけど、かなり手こずりましたからね。」

――スターリングにとっては、ヤンが『天敵』なんですね。
「ヤンは何をやっても崩れない。テイクダウンディフェンスを繰り返してもフィジカル的に落ちない強みがある。だからこそ前回、スターリングは削られてしまったとも言えるんですね。タックルを何度も潰されていたので。」

ピョートル・ヤン/Getty Images

――スターリングからしたら、なかなかテイクダウンできずに自分の体力が削られてしまったことが誤算だったわけですね。
「そう思います。だから今回は、崩れないヤンをスターリングが崩すための秘策を持ってきているかどうかが、ひとつ重要なポイントかなと思いますね。」

――前回のようなタックルを軸にするのではない戦いかたが求められると。例えば、どんなことが考えられますか?
「ひとつ挙げると、スターリングの『雑さ』が残っているパンチというものがうまく働く可能性があると思うんですよ。ヤンのようなちゃんとしたボクシングが得意な選手って、意外と無軌道でがむしゃらに殴ってくるパンチをもらってしまったりするんです。そこで一発効かせてから組みの展開に持っていけば、勝機が見えてくるかもしれない。そうやって崩れないヤンのペースを狂わすことができるかどうかだと思いますね。」

(聞き手・文/堀江ガンツ)

◆◆◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール◆◆◆
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC273 in フロリダ ヴォルカノフスキーVSコリアン・ゾンビ、スターリングVSヤン Wタイトルマッチ!』

4/10(日)午前11:00[WOWOWライブ]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)

4/15(金)午後2:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)

【対戦カード】
フェザー級タイトルマッチ/アレクサンダー・ヴォルカノフスキー vs ジョン・チャンソン
バンタム級王座統一戦/アルジャメイン・スターリング vs ピョートル・ヤン

【収録日・収録場所】
2022年4月9日(現地)/アメリカ・フロリダ州ジャクソンビル VyStarベテランズ・メモリアル・アリーナ

【出演】
解説:郄坂剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
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