「SD」「SDHC」「SDXC」は何が違う? 品質と価格は比例しない? microSDカードの速度や耐久性などの基礎知識

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「microSDメモリーカード」(以下、microSDカード)は、スマートフォンやタブレット、パソコン、デジタルカメラ、ミュージックプレイヤー、ゲーム機など様々な機器で利用されている外部メモリーだ。

我々のもっとも身近な記憶媒体といっても過言ではない。
しかしスマートフォンやパソコンなど、機器に入れてしまうと頻繁に取り外すことがないため、普段からその存在をあまり意識することも少ない。
中には、何年も触れることなく使い続けている人もいるのではないだろうか。

そんなmicroSDカードは、急速な進化と普及を果たしてきたため、数年前の常識が通用しない製品でもある。

そこで今回はあらためてmicroSDカードについて、購入時に注意する点や知っておきたい基礎知識を解説する。


■品質の高さと価格の高さは比例しない?
microSDカードを購入する際に、まず気にすることは「品質」だろう。
大事なデータを記録するための製品であるため、
・データが消えない
・壊れない
これらを気にする人がほとんどだろう。
その次に「価格」だ。


Androidスマートフォンユーザーの多くはmicroSDカードを使っていることだろう


「データが消えない」「壊れない」というのは、言い換えれば品質や製品への信頼性ということになる。
かつてのmicroSDカードであれば、
・サンディスク
・サムスン電子
・東芝
・パナソニック
・ソニー
これらの大手企業の高価な製品において「信頼性が高い」とされてきた。

しかし、技術の進歩や世界的な普及を経て、各メーカー製品の品質に大きな差がなくなり、価格もみるみる安くなっていった。

こうした価格下落はmicroSDカードに限った話ではないが、市場価格は品質のみならず生産数が影響する。需要が多ければ大量生産され、消費者は安く購入できるようになる。

さらに、別の側面もある。大量生産により生産数が安定することで、多くの事象やデータを収集・分析し、製品の改善や開発に役立てることができる。そして、製品そのものの完成度もどんどん高められていくのだ。

結果的に利用者となる我々は、良い製品を安く購入することができ、かつてのように品質の善し悪しを強く意識せず、販売価格で製品を選ぶことができているわけだ。

一方で、産業用の製品としては、耐久性や速度を高めた高品質製品が存在する。
通常製品でも壊れにくいものであっても、過酷な環境や特殊な状況で利用されることもある産業向けには、防水防塵性能や耐衝撃性能を高めた製品が提供される。
これらは通常製品に比べて高価な製品として市場に出回っている。


アドテックは産業用途向けのSDカードやmicroSDカードを製造販売している


一般的な用途であれば、それほど品質を意識しなくてもよくなったが、特別な産業用途や業務用途であれば産業向け製品を選ぶことで、より高い信頼性と安全性を得ることができる。

ただし、microSDカードに代表されるフラッシュメモリーには、
・寿命やデータの破損がいつ起きるかわからない
このことも常識として覚えておく必要がある。

用途を問わず、消失してはいけないデータは、クラウドサービスやほかの記録媒体などを活用してバックアップを取っておく必要があると認識しておくことが重要だ。


■microSDカードの基本的な性能
産業用向けは独自の耐久性やデータを保持するための専用コントローラを搭載するなど一般向けとは仕様が異なるが、記録媒体としての基礎的な部分や規格は同じだ。そんなmicroSDカードの基本となる性能を解説していこう。


microSDカードに記載されている内容


●カード容量
・保存可能なデータ容量。容量が大きいほどたくさん保存できる。

●カード規格
・microSDは最大2GB(ギガバイト)まで
・microSDHCは4GBから最大32GBまで
・microSDXCは64GBから最大2TB(テラバイト)まで
・microSDUCは最大128TBまで。規格は策定されているが製品化はされていない。

●UHSスピードクラス
UHSバスインターフェイス製品向けの速度規格で、ロゴマークは「U」の中に1か3を表示している。
・UHSスピードクラス1は10MB/s(80Mbps)
・UHSスピードクラス3は30MB/s(240Mbps)

●UHSの規格
バススピードモードを表す規格でそれぞれの理論値は以下の通り。
・UHS-Iは最大104MB/秒
・UHS-IIは最大312MB/秒
・UHS-IIIは最大624MB/秒

●SDスピードクラス
データ転送速度の目安として策定された。
・Class 2は2 MB/秒
・Class 4は4 MB/秒
・Class 6は6 MB/秒
・Class 10は10 MB/秒

USHスピードクラス、UHS規格、SDスピードクラスはいずれもデータ転送に関する速度を表すもので、クラスが上がるほど高速になる。

ただし、一般的な利用においてはあまり気にする必要はない。
より高速な転送速度を必要とする場合は、デジカメでの超高速連写や、高解像度での長時間ビデオ撮影などだろう。
そうした用途でなければ
・UHSスピードクラス1
・UHS-I
・Class 10
これらの規格品で十分に満足できるだろう。

逆にいえば、高速連写や4K、8Kといった高解像度でのビデオ撮影をしたい人にとっては、USHスピードクラスやビデオスピードクラスを意識、注目して製品を選んでほしい。

容量(SD/SDHC/SDXC/SDUC) | SD Association
バスインターフェーススピード | SD Association
スピードクラス | SD Association




執筆:S-MAX編集部 2106bpm