写真はイメージ

写真拡大

観光庁は、ソフト面で高齢者や障害者らの受け入れ環境を整える観光関連施設を指定する「心のバリアフリー認定制度」を開始した。

 第1弾として全国66の宿泊施設や観光案内所を認定。赤羽一嘉・前国土交通相は認定に際し、「心のバリアフリーの裾野の拡大や底上げを図り、真の共生社会の実現に向けて取り組みを進めていきたい」と意気込みを語った。

 認定を受けるには、①筆談用のタブレット端末の貸し出しや、視覚障害者に対して配膳をアナログ時計に見立てて説明する「クロックポジション」などのソフト面の対応②障害者の接客に関する職員向け教育訓練を1年に1回以上実施③宿泊予約サイトやグルメ予約サイトにバリアフリー設備の情報を発信していること――のすべてを満たす必要がある。認定期間は5年で、条件を満たしていれば更新できる。

 認定されると、観光庁が作成した「認定マーク」を施設内で掲示したり、サイト上で利用したりできる。同庁関係者は「バリアフリーに力を入れている施設だというブランドになり、誘客につながる」とメリットを説明する。

 一方で観光分野を巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大で2019年に3188万人だった訪日外国旅行者数は20年に412万人にまで激減。緊急事態宣言の長期化で、国内旅行者の都道府県間の移動も抑制された。

 こうした中、厳しい経営環境に置かれる観光業界の関係者からは「今は認定取得どころではない」という声も聞かれるという。これに対し、先の関係者は「(ハード面の整備と比べて)費用面のハードルはそこまで高くない」と説明。「社会に制度が浸透し、施設が基本動作として心のバリアフリーに取り組むようになってほしい」と期待を込めていた。

【国土交通省】「観光公害」克服も課題に コロナ後の正常化に備え