この記事をまとめると

■車検証には車両型式の手前に謎の英単語がついてる

■クルマによっては、モデルチェンジなどで車検時の扱いが変わる

■ガソリン車や電気自動車などでかなりの数の区分が存在する

これが変わると検査のときに何が変わるの?

 クルマ好きの間では当然のようにやり取りされる“型式”での呼び方。たとえば最後の型のスカイラインGT-Rは「BNR34」となるし、先代のスバルBRZであれば「ZC6」、そしてその兄弟車であるトヨタ86は「ZN6」という風に、車検証の型式の欄に記載されるもので呼ぶ行為だ。

 これは型式で言えばある程度クルマの仕様を絞ることができるため、わかっている者同士で会話する場合は非常にスムースに会話が進むのである。ただ単に「マークII」と言うと、どの世代のどんなマークIIを指しているのかわかりにくいが「JZX100マークII」と型式を付け加えることで、“8代目の1JZ型エンジンを搭載したマークII”というところまで絞れるというワケだ。

 しかしこの型式、車検証をよく見てみると何やらハイフンで区切られた前の部分に謎の英数字が付属しているである。前述した先代スバルBRZであれば、車検証には「4BA-ZC6」と書かれている。

※車検証はホンダ・シビックの車検証

 この車両型式の前についている英数字は、「自動車排出ガス規制の識別記号」と言って、その車両がどのレベルの排出ガス規制に適合しているかを表しているのである。

 たとえば、今でも高い人気を維持し続けているAE86の車検証上の型式は「E-AE86」となるが、これは「昭和53年度規制に適合させたもの」で「専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車」であることを指している。

同じクルマでも年式によって検査項目が変わる

 またモデル途中で識別記号が変わっているモデルも存在し、2代目ロードスターでは2002年7月のマイナーチェンジで識別記号が「GF」から「GH」に変更されている。これはマイナーチェンジ前のものが「平成10年アイドリング規制に適合させたもの」であるのに対し、マイナーチェンジ後のものは「平成12年規制に適合させたもの」となっており、ロードスターに置いては排気系のレイアウトに変更がなされているため、パーツの互換性がなくなるといったことが発生してしまうこともある。

 そして平成17年規制以降の車種に置いては、より複雑化したために識別記号が3桁となり、1桁目がどの排出ガス規制に適合しているのか、また低排出ガス認定のレベルはどのくらいかを荒らしており、2桁目が燃料の種類とハイブリッドの有無を、3桁目は乗用車なのか貨物なのか、といった用途や重量条件などを表すようになっている。

 そのため、4BA-ZC6となる先代スバルBRZを例に挙げると、「4」は平成30年規制に適合し、25%の低排出ガス認定を受けていることを指し、「B」はガソリン、もしくはLPGを燃料とする非ハイブリッド車であることを指し、「A」は乗用車かつ、平成17年規制のディーゼル車ではないことを指しているというワケだ。

 ちなみに排出ガス規制の適用を受けない自動車、つまり電気自動車や燃料電池自動車用の識別記号も用意されており、その組み合わせは多岐にわたる。さすがにここですべてを紹介するのは難しいので、気になる人は調べてみてはいかがだろうか。