【日本M&Aセンター会長に聞く】3社に2社が後継者難、事業承継に向け、どう手立てを打っていくか?
国とも一体となり中小企業向けM&Aを
── 日本M&Aセンターは今年、創業30周年を迎えましたね。10月には持ち株会社体制にしたわけですが、この狙いから聞かせて下さい。
分林 今回、当社は10月1日からホールディングカンパニーに移行します。狙いはグループ経営の強化です。もちろん、事業会社としての日本M&Aセンターが中心にはなりますが、他にグループに8社があります。
プライベート・エクイティ・ファンドを運営する「日本投資ファンド」や、PMI( PostMerger Integration =買収後の経営統合支援)のコンサルを行う「日本PMIコンサルティング」、中小企業M&Aにおける企業価値評価を行う「企業評価総合研究所」などがあります。
その中で、上場を含めた次の展開を考えているのが、2018年に設立した「バトンズ」という会社です。年商1億円以下の企業を中心に、オンラインで事業承継マッチングのサービスを展開していますが、今年6月に成約が累計1000件を突破したんです。
── 事業承継がオンラインで決まる時代になっていると。
分林 決まります。1店舗だけ運営しているような飲食店など、300万円、500万円という単位でM&Aが可能な個人商店に近い小規模の企業を、起業をしたい人達などが欲しているんです。
── 事業承継はもちろんのこと、結果として起業家を育てることにもつながりますね。
分林 そうです。今、日本では3社に2社という割合で後継者がいません。私が起業した91年頃は、82.5%の企業で経営者のお子さん達が継いでいましたが、足元ではお子さんが継ぐケースは26%、親族を含めても35%しか継いでいません。
そして年間約5万社が、後継者がいないがために廃業しているんです。ですから日本M&Aセンターが中心となり、他にM&Aキャピタルパートナーズ、ストライクという上場しているM&A仲介会社3社プラス2社の計5社が理事となり、10月にも中小企業M&Aを手掛ける企業による自主規制団体を設立する予定です(10月1日設立)。
中小企業庁としても、こうした活動を支援したいという考えがありますから、業界の登録制度も開始します。登録企業が手掛ける案件では着手金や成約報酬の一部を、国として後継難問題を解決するための補助金制度を一定の枠内でつくろうという構想です。
── 国とも一体となって、中小企業向けM&Aを推進していくと。
分林 ええ。中小企業庁も、廃業する企業を救うためにもM&Aが必要だと考えておられます。そして我々自身も、さらに質の高い業界にしていくために必要なことだと思っています。
M&Aへの誤解を解いていくことも重要です。特に我々が手掛けている中小企業向けのM&Aではマッチングが重要です。どの企業同士が組めばシナジー効果が出て会社が成長できるか、社員を大事にしてくれるかという見極めが大事で、ここが合わない企業とは組めません。
それを仲介してベストのマッチングをするのが我々の仕事です。あまり知られていませんが、実は米国でも中小企業のM&Aには仲介会社が入っています。こうしたことも、もっと知ってもらいたいと思います。
