年金25万円、貯蓄5000万円…老後破綻する高額所得者が急増

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「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」で、3000万円不足するなどといわれていますが、実際のところはピンとこない人も多いことでしょう。この大問題をどう解決すればいいのでしょうか。この「リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきるはず…。本連載は長尾義弘著『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

晩婚世代を待ち受ける「三大費用」の悲劇

60歳までの人生に待ち受けるお金の試練

老後にまつわる問題は、できるだけ早く対応したほうが簡単に解決できたり、選択肢が多かったりするものです。

しかし、お金のこととなると、どうも思考停止に陥りがちです。定年や老後を控えたみなさんは、厳しい試練を乗り越えるべくたいへんな苦労をされた、あるいはいまもなお奮戦中だと思います。それが、なかば諦めの境地につながっているのかもしれません。

晩婚世代は三大費用と呼ばれるお金の試練が待ち構えているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

◆ 晩婚世代がくらうトリプルパンチ

このところ、初婚の年齢がどんどん上がっています。

1950年の平均初婚年齢は女性が23歳、男性が25.9歳でした。しかし、2016年には女性が29歳、男性が30.7歳となっています。

このように結婚が遅くなると、その後にお金のトリプルパンチを喰らってしまうことがあるのです。

「住宅費」「教育費」「老後の生活費」の3つを、「人生の三大費用」といいます。


 
20代前半で結婚すれば20代の半ばで子どもが生まれ、40代後半には教育費の支出が落ち着いてきます。また、20代半ばで住宅を購入して35年ローンを組んだとしたら、ローンの支払いは60代で終わります。

教育費と住宅費の支出が重なりますが、教育費の負担が最も大きくなるのは、子どもが大学へ進学する18歳のとき。年齢的には働き盛りの40代で、収入もいちばん多くなる時期です。ここを乗りきれば、つぎに待ち受ける「老後の生活費の準備」をするゆとりが生まれます。

ところが、結婚が30代後半となった場合、40歳で子どもを持ったら大学へ進学するころは58歳です。子どもの誕生と同時に住宅を購入して30年ローンを組めば、ローンの完済時期は70歳になります。

思いのほか大きい教育費と、定年を過ぎても残る住宅ローンの支払いに追われ、老後の生活費まで手がまわらないことも多いのが現実です。

2000万円の老後資金があれば30年間安泰

◆50代にやってくる役職定年


 
50代の試練は、これだけではありません。


 
55歳あたりになると「役職定年」が待っています。それまでついていた「肩書き」がなくなり、給与も2〜3割減ってしまいます。

長年勤めてきて最後にハシゴを外されたような気分にもなりますが、これは企業の人口ピラミッドがいびつになっているためです。

1989〜92年に入社したバブル世代は、社員人数が最も多くなっています。その後、1995〜2003年前後までが就職氷河期と呼ばれた時代で、社員人口はぐっと少なくなります。

役職定年は、このバブル世代をターゲットにしています。役職のポストは限られていますし、なにより会社にとっては人件費の負担が大きいからです。

そんな状態で、60歳の定年を迎えます。65歳まで再雇用が可能であっても、大半の企業では給料が半減するはずです。

老後の生活費を準備することができないまま、年金生活へ突入するケースもあります。

待っているのはイ錣咾靴ハ係紂

50代は試練の連続で「次なるステップを考える余裕なんてとても」といいたくなる気持ちはわかります。

たしかに50代というのは意外と収入が伸びなくて、支出の多さに呻吟するかもしれません。老後資金の準備ができればいいのですが、難しい状況ではあります。

しかし、なんの対策もしなかったら、その後はどうなるでしょう。

総務省の「家計調査」では、毎月5万5000円の赤字が出ています。年間で66万円になります。仮に2000万円の老後資金があると、単純計算で約30年もちます。ただ、65歳にリタイアすると30年後の95歳には貯金がゼロになってしまいます。

2000万円貯めることができないと、かなり厳しい現実に直面してしまうことになるのです。

なんの手だてもなく、老後生活に入っていくと老後破綻が待っているかもしれません。50代で老後資金を貯めるのが難しかった人でも、60歳から老後資金に備える方法があります。それは別項で詳しくお教えします。

高額所得者のほうが老後破綻に陥る理由

もっとアブナイのは高額所得者?!

じつは老後破綻は、資産の多寡とは直結しません。

意外なことに、高額所得者のほうが老後破綻に陥りやすいのです。現役時代と老後生活のギャップが大きいほどリスクは高まります。

たとえば、現役時代に1000万円を超える年収を得ていて、年金額は300万円、貯蓄も5000万円あったとします。これほど潤沢な資産があれば、普通は安泰な老後を送れます。

しかし、収入が多い人は生活も派手なまま続ける傾向があります。そして、生活レベルはなかなか落とせないものなのです。

現役時代と同じように年間800万円を使う暮らしを続けたら、年金との差額はマイナス500万円。赤字分を蓄えから取りくずしていけば、10年で貯蓄はゼロになります。あとは300万円で暮らすしかありません。このギャップが埋められず、破綻の道を突き進んでしまうわけです。

なお、生活レベルを落とせない心理は、なにも高額所得者にかぎらず、どなたにも当てはまる話ですので、覚えておいてください。

長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー
AFP
日本年金学会会員