「カツラでローン地獄」被害額3千万円も!?その悪辣な販売手口

写真拡大 (全3枚)

近年、男女ともに「薄毛」に悩む人が増加しています。そんななか絶大な支持を集めるアイテムこそ「カツラ」です。しかし、薄毛ビジネスには、かつらを使って消費者を食いつぶす、極めて悪どい商法があることをご存じでしょうか。※本記事は、青山セレスクリニック(青山院・川口院)理事長の元神賢太氏の著書『専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本』(2017年刊行)より一部を抜粋・編集したものです。

お手軽・優秀な「カツラ」は、想像を絶する高額商品

以前の記事『「生えなかった…」被害女性続出、薄毛ビジネスのひどい実態』では、巷にあふれるヘアケア商品・サービスには発毛効果がないことを解説しました。このような薄毛ビジネスに関しては、実際にトラブルが起きることも決して珍しくありません。

まず多いのが、高額なカツラの販売にまつわるトラブルです。カツラ自体は非常に古い歴史を持つものとして認知され、愛用している人も大勢います。かぶったその瞬間に髪が増えて、好みの髪型にするのも思いのまま。昔も今も、薄毛対策に有効なアイテムのひとつです。

特に女性は、薄毛隠しではないおしゃれ用のウィッグなどにも親しみがあるので、カツラやウィッグをつけることに男性ほど抵抗感がないかもしれません。今は有名女優を起用した女性用ウィッグのCMも多く放送されているので、ますますなじみ深いものになっています。

ただし、カツラにはメリットがある一方、デメリットも数多くあります。それは後述することとして、ここでは薄毛ビジネスとしてのカツラの問題に触れておきます。

カツラそのものは優れた商品だが…販売方法に大きな問題がある

カツラそのものには問題はありませんし、カツラを売るビジネス自体が悪いのではありません。その販売方法に問題がある場合があるのです。

カツラの値段は頭を覆う面積によってさまざまで、平均すると50万円程度のものが多く、高いものでは100万円ほどの高価なものもあります。しかし、その実際の値段については不透明な場合が多く、広告などでは「1日●●円から」「1回●●●円」といった表現が目立ちます。

そもそもカツラは、とても手軽で薄毛隠しの効果の高いアイテムではありますが、使うにはとても高額なお金がかかります。

カツラは、一度だけ、ひとつだけ買ってOKというものではありません。メンテナンスをするときのために、ひとつではなく交代用にいくつか購入する必要があります。また使い続けるうちに古くなると、買い替えもすすめられます。すると数年で80万〜100万円は軽くかかり、もし一生カツラをかぶり続けるとなると、その費用は莫大なものとなってしまうのです。

強引な勧誘と洗脳的なトークで気づけばローン地獄へ…

しかし、一般のユーザーにはそうしたからくりや、費用の総額がわかりづらく、実際にカツラを求めて店舗を訪ねて、初めてその高額さに驚く、といった場合がとても多いようです。

そこで「こんなに高くては無理」と断ろうとしても、カツラメーカーの営業のセールストークは巧みです。「こんなに素晴らしいカツラなら絶対に人にバレません。明日から人生が180度、明るく変わりますよ」などと心をそそるトークでカツラをすすめられます。それでも二の足を踏んでいると、強引な勧誘が何時間も続き、しまいにはそれが脅しのようになることすらあるといいます。

すると本人も「このカツラをつければ、薄毛の悩みにさようならできる。つけなければ、暗い人生のままだ」と思い込んでいってしまうのです。このようにして高額なカツラを売りつける販売方法は非常に問題があると思います。

こうして実際にカツラを買ってしまうと、高額なローン地獄に陥る人も少なくありません。国民生活センターによれば、発毛・増毛サロンやカツラの契約に関するトラブルについて寄せられた相談は、2008年度には1275件。金額は100万〜500万円が192件で、500万円を超えたものも数件、3000万円というものまであります。

これだけのお金を払ったとしても、そもそもカツラは髪を増やすわけではなく、薄毛を隠しているだけ。育毛や発毛サロンに至っては、いくらせっせと通っても、ほとんど髪が増えることはありません。それなのに、いかに無駄なお金が支払われているかということです。

もし、カツラの購入を考えた場合には、ローンを組むそのときだけでなくメンテナンスも含めて、どれほどのお金が必要になるのかをまずよく考えることが大切です。さらに、マインドコントロール的ともいえる勧誘システムに惑わされないよう心がけることも忘れてはなりません。

高額なカツラを購入させる…巧妙な仕掛け「増毛法」

また、カツラについては、初めからカツラを売るのではなく、“増毛法”からつなげる販売システムも問題になっています。“増毛法”とは、自じ毛もうに人工毛を結びつけて髪を増やすもので、“結着増毛”とも呼ばれます。これは元からある自分自身の髪の毛に、人の手によって人工毛を結びつけていく方法です([図表]参照)。

[図表]結着増毛

この増毛法は施した直後はとても見栄えがいいのですが、1週間から10日ほど時間がたつと、見た目に問題が起きてきます。それは当然のことながら自毛が伸びてくるからです。自毛が伸びると、それに結びつけられた人工毛までがいっしょに浮き上がってきてしまうのです。こうなると、結ばれた毛同士が玉のようになって目立ったり、枝毛のように見えたりしてしまいます。

これではとても見た目が悪いので、また同じ増毛法を受けなければなりません。髪が伸びるごとにそれを繰り返していくので、それは終わりなき闘い。増毛サロンに通い続けなければならない面倒さに加え、当然、費用もどんどんかさみます。

デメリットはさらにあります。増毛法を行うと、人工毛を結びつけられた自毛に負担がかかってしまうのです。もともと健康だったはずの自毛はダメージを受け、切れやすくなってしまうこともしばしば。“増毛”で髪を増やすどころか、毛が傷められて減ってしまうわけです。これでは完全に本末転倒というものでしょう。

そんな苦労やショックの連続を経験した末、「もう増毛法はやめたい」と考える人が多いのは当然のことです。しかし…、そこからが本当の落とし穴です。

増毛法をやめたいと申し出た客に対して、メーカーが提案するのが、じつはカツラの購入です。「増毛法が合わないのなら、カツラがいいですよ」という言葉で、カツラをすすめるのです。

カツラをかぶることについては抵抗感がある人も少なくないし、購入を躊躇するほど高額な商品でもあります。そこで、いきなりカツラを売るのではなく、増毛からつなげていくわけです。

つまり、メーカーにとって、増毛法はカツラを売るための“仕掛け”や“誘導”に過ぎません。カツラ自体は悪いものではないとはいえ、こうした販売方法は非常に問題があると思うのです。

実際、国民生活センターには、こうしたカツラにまつわるトラブルや、育毛・発毛ビジネスに対する苦情などが多数寄せられているのが実情です。

元神 賢太

青山セレスクリニック(青山院・川口院) 理事長

船橋中央クリニック 院長