物理キーボードスマホ「Cosmo Communicator」の存在意義を探る! キーボードと日本語入力環境を試す
●Cosmo CommunicatorにHDMI変換ケーブル同梱版が登場!
リンクスインターナショナルは6月27日、英プラネットのAndroidスマートフォン「Cosmo Communicator」シリーズのHDMI変換ケーブル付きパッケージ「Cosmo Communicator with HDMI」を発売しました。本体価格は8万8000円(税抜)です。
本体となるCosmo Communicatorは、2019年12月に発売されたQWERTYキーボードを搭載したスマートフォンです。
iPhoneの登場以降、スマートフォンと言えばタッチパネルでの操作を行う機種を表すようになりました。
しかしかつては「物理キーボード」を搭載して、通信ができるPDAのような機種を表していました。
Cosmo Communicatorを開発したプラネットの開発陣は、かつてPDAの名機と評された「PSION」(サイオン)を開発したエンジニアによって生み出されたモデルです。
いうなれば「PDA直系」とも言える製品でもあり、そのデザインやスタイルもPSIONを彷彿とさせるものです。
今回日本での販売他代理店のリンクスインターナショナルから評価機を貸し出しいただきましたので、本体や基本的な操作についてのレビューなどを行います。
「Cosmo Communicator with HDMI」パッケージ
Cosmo Communicatorを開発したエンジニアたち
●横画面利用に特化した特殊なスマートフォン
パッケージには以下のものが同梱されます。
・Cosmo Communicator本体
・取扱説明書
・メーカーロゴシール
・クリーニングクロス
・SIM用ピン
・USBケーブル(USB Type-C→USB Type-A)
・USB Type-A用ACアダプター
・USB Type-C→HDMI変換ケーブル
今回のパッケージの最大の特徴であるHDMI変換ケーブルは専用のデザインとなっており、付属していないバージョンと価格的な差はないため、実質的な無料オプション品となります。
本体および付属品一覧
USB Type-C→HDMI変換ケーブル
本体はクラムシェル型(折りたたみ型)となっており、閉じるとメインディスプレイとキーボードが隠れる仕様です。
メインディスプレイはタッチパネル方式の5.99インチ・2160×1080ドットのOLED(有機ELディスプレイ)が採用されており、非常に見やすい発色です。
メインディスプレイ背面(天板面)にはサブディスプレイと指紋認証を兼ねた操作キーなどがあり、閉じた状態でも
・指紋認証機能
・電話機能(アドレス帳からの発信および受話)
・カメラ機能(サブディスプレイを使用した静止画および動画のセルフィー撮影)
・音楽再生機能
・録音機能
・ライト機能
・各種設定
・電源操作
これらの機能が利用できます。
本体サイズは幅171.4mm×高さ79.3mm×厚さ17.3mm
本体重量は約326g。金属パネルで覆われておりずっしりと重い
本体を開くと、往年のPDAユーザーには懐かしいモバイルノートPCスタイルのスマートフォンとなる
背面のサブディスプレイもタッチパネルになっている
何も機能を利用していない場合、サブディスプレイにはメールの着信履歴やシステムメッセージなどが表示される
当然ながら、本機は横画面(ランドスケープモード)での利用が主体となります。
そのためホーム画面やプリインストールされるアプリケーションも全てが横画面用となっており、一般的なAndroidスマートフォンとは使い勝手はかなり変わります。
Android標準のナビゲーションバー(ホームボタンやタスクボタンなど)は、画面右側に表示される
●筆者を悩ませた日本語入力環境
キーボードは本体サイズギリギリまで大きく取られており、キーサイズも大きく慣れればブラインドタッチも可能です。基本的にはテーブルに置いて使うスタイルを推奨しますが、両手で持って親指で打鍵するスタイルでも使うことができます。その場合、手の小さな人では中央付近のキーが押しづらくなるのがネックかも知れません。
また、キーサイズを大きくするためにキーの数が大幅に減らされている点も注意が必要です。
英字入力時にはあまり支障はありませんが、文字数の多い日本語入力を行う際は、さまざまなところでShiftキーやCtrlキーを併用する必要があります。
例えば日本語で長音符「ー」を入力するには、「Fn+Shift+ー(0キー)」を押さなければいけません。
長音符はカタカナ表記などで頻繁に使うものでもあり、入力に慣れないうちはキーを探してしまいます。また両手持ちでは非常に入力しづらい配置です。
非常に特殊なキー配列。まずはこの配列の「癖」を掴まないといけない
実利用時に筆者を最も悩ませたのは日本語入力の方法です。
QWERTYキーボードを用いた日本語入力では、
・ローマ字かな入力
・かな入力
この2種類が考えられますが、本機にプリインストールされている
・Planetキーボード
・Gboard
これら2つのIMEアプリは、ともに物理QWERTYキーボードを用いた入力でローマ字かな入力ができません。
一般的に、日本語入力時にかな入力を用いる人よりもローマ字かな入力による日本語入力を行う人のほうが多いと思われるだけに、プリインストールされたIMEで対応していないのが非常に惜しまれます。
本機最大の売りである物理キーボードでの日本語入力が、出荷状態では酷く使いづらいという本末転倒な状況に……
「NTT」と入力したつもりが「みかか」となる、かな入力定番のミス。ローマ字かな入力の環境が欲しい
ただし、この問題はGoogle PlayストアからIMEアプリ「Google日本語入力」をダウンロードして使用することで解決できます。
Google日本語入力をダウンロードしたあと、「設定」→「システム」→「言語と入力」→「仮想キーボード」を選択し、「キーボードの管理」でGoogle日本語入力のみが使える状態にします。
これによって、
・英字入力
・ローマ字かな入力
この2つを切り替えられるようになります。
まずはこれを導入しなくては話にならない
なお、英字入力とかな入力の切り替えは、標準状態で
・「Fn+英数」もしくは「Fn+かな」で切り替え
・「Fn+半角/全角」でのトグル操作
これら2つの操作方法が用意されています。
これに加えて、Google日本語入力を用いてローマ字かな入力を行う場合、
・「Ctrl+Shift」によるトグル操作
この操作が追加される形となります。
また、かな入力状態になっている場合、Google日本語入力のトグル操作が無効となる点も注意が必要です。
日本語入力環境の構築に戸惑う。筆者は解決するために1日悩んだ
日本語入力環境の設定ですが、一度、環境を整えてしまえば、あとは非常に快適に利用ができます。
オフィスアプリや各種ビジネスアプリも一通りプリインストールされており、Google系のマネージメントアプリを利用してきた人なら環境の移行や導入もそれほど難しくないでしょう。
気になる点があるとすれば、プリインストールアプリのいくつかが標準状態で英語表記であったり、英語表記のみであったりする点です。
この問題も、
・アプリ内の設定で日本語化が可能(一部は英語表記のまま)
・「Note」などは英語表記のみだが基本操作がアイコン化されており実利用状はあまり問題にならない
・WordやExcelといったオフィスアプリは標準で日本語対応
・スケジューラーやメーラーなどはGoogle Playで使いやすいアプリを導入すればOK
・そのほかのアプリについてもウェブアプリなどの利用で代替可能
このように、設定などを変更することで快適に利用することができます。
標準スケジューラー「Agenda」のセットアップ画面。いきなり英語だらけで少々躊躇するが、設定から日本語表記に変更が可能
プリインストールされている「Word」を使ってみた。思った以上に入力しやすく十分実用的だ
●玄人好みの「現代版PSION」
Cosmo Communicatorのキーボードデザインや利用スタイルから、真っ先に「これはPSIONだ」と感じられた人は、間違いなく筋金入りの古参モバイラーだと言えます。
本機はそういったコアなモバイルユーザーを対象にした機種であり、一般のスマートフォンのように敷居が低い製品ではありません。
しかしそれだけにCosmo Communicatorは、物理キーボード搭載スマートフォンが非常に少ない中で、希少価値と存在意義の非常に大きい機種であると感じます。
一般的なスマートフォンとしての利用ではなく、飽くまでも超小型のノートパソコンとしての利用がメインとなるでしょう。
今回は本体の特徴やキーボードおよび日本語入力環境についての解説を行いましたが、次回は、
・カメラ機能の使い勝手
・各種アプリの利便性
・HDMI出力の利用方法
これらをレビューしたいと思います。
執筆 秋吉 健
リンクスインターナショナルは6月27日、英プラネットのAndroidスマートフォン「Cosmo Communicator」シリーズのHDMI変換ケーブル付きパッケージ「Cosmo Communicator with HDMI」を発売しました。本体価格は8万8000円(税抜)です。
本体となるCosmo Communicatorは、2019年12月に発売されたQWERTYキーボードを搭載したスマートフォンです。
iPhoneの登場以降、スマートフォンと言えばタッチパネルでの操作を行う機種を表すようになりました。
しかしかつては「物理キーボード」を搭載して、通信ができるPDAのような機種を表していました。
Cosmo Communicatorを開発したプラネットの開発陣は、かつてPDAの名機と評された「PSION」(サイオン)を開発したエンジニアによって生み出されたモデルです。
いうなれば「PDA直系」とも言える製品でもあり、そのデザインやスタイルもPSIONを彷彿とさせるものです。
今回日本での販売他代理店のリンクスインターナショナルから評価機を貸し出しいただきましたので、本体や基本的な操作についてのレビューなどを行います。
「Cosmo Communicator with HDMI」パッケージ
Cosmo Communicatorを開発したエンジニアたち
●横画面利用に特化した特殊なスマートフォン
パッケージには以下のものが同梱されます。
・Cosmo Communicator本体
・取扱説明書
・メーカーロゴシール
・クリーニングクロス
・SIM用ピン
・USBケーブル(USB Type-C→USB Type-A)
・USB Type-A用ACアダプター
・USB Type-C→HDMI変換ケーブル
今回のパッケージの最大の特徴であるHDMI変換ケーブルは専用のデザインとなっており、付属していないバージョンと価格的な差はないため、実質的な無料オプション品となります。
本体および付属品一覧
USB Type-C→HDMI変換ケーブル
本体はクラムシェル型(折りたたみ型)となっており、閉じるとメインディスプレイとキーボードが隠れる仕様です。
メインディスプレイはタッチパネル方式の5.99インチ・2160×1080ドットのOLED(有機ELディスプレイ)が採用されており、非常に見やすい発色です。
メインディスプレイ背面(天板面)にはサブディスプレイと指紋認証を兼ねた操作キーなどがあり、閉じた状態でも
・指紋認証機能
・電話機能(アドレス帳からの発信および受話)
・カメラ機能(サブディスプレイを使用した静止画および動画のセルフィー撮影)
・音楽再生機能
・録音機能
・ライト機能
・各種設定
・電源操作
これらの機能が利用できます。
本体サイズは幅171.4mm×高さ79.3mm×厚さ17.3mm
本体重量は約326g。金属パネルで覆われておりずっしりと重い
本体を開くと、往年のPDAユーザーには懐かしいモバイルノートPCスタイルのスマートフォンとなる
背面のサブディスプレイもタッチパネルになっている
何も機能を利用していない場合、サブディスプレイにはメールの着信履歴やシステムメッセージなどが表示される
当然ながら、本機は横画面(ランドスケープモード)での利用が主体となります。
そのためホーム画面やプリインストールされるアプリケーションも全てが横画面用となっており、一般的なAndroidスマートフォンとは使い勝手はかなり変わります。
Android標準のナビゲーションバー(ホームボタンやタスクボタンなど)は、画面右側に表示される
●筆者を悩ませた日本語入力環境
キーボードは本体サイズギリギリまで大きく取られており、キーサイズも大きく慣れればブラインドタッチも可能です。基本的にはテーブルに置いて使うスタイルを推奨しますが、両手で持って親指で打鍵するスタイルでも使うことができます。その場合、手の小さな人では中央付近のキーが押しづらくなるのがネックかも知れません。
また、キーサイズを大きくするためにキーの数が大幅に減らされている点も注意が必要です。
英字入力時にはあまり支障はありませんが、文字数の多い日本語入力を行う際は、さまざまなところでShiftキーやCtrlキーを併用する必要があります。
例えば日本語で長音符「ー」を入力するには、「Fn+Shift+ー(0キー)」を押さなければいけません。
長音符はカタカナ表記などで頻繁に使うものでもあり、入力に慣れないうちはキーを探してしまいます。また両手持ちでは非常に入力しづらい配置です。
非常に特殊なキー配列。まずはこの配列の「癖」を掴まないといけない
実利用時に筆者を最も悩ませたのは日本語入力の方法です。
QWERTYキーボードを用いた日本語入力では、
・ローマ字かな入力
・かな入力
この2種類が考えられますが、本機にプリインストールされている
・Planetキーボード
・Gboard
これら2つのIMEアプリは、ともに物理QWERTYキーボードを用いた入力でローマ字かな入力ができません。
一般的に、日本語入力時にかな入力を用いる人よりもローマ字かな入力による日本語入力を行う人のほうが多いと思われるだけに、プリインストールされたIMEで対応していないのが非常に惜しまれます。
本機最大の売りである物理キーボードでの日本語入力が、出荷状態では酷く使いづらいという本末転倒な状況に……
「NTT」と入力したつもりが「みかか」となる、かな入力定番のミス。ローマ字かな入力の環境が欲しい
ただし、この問題はGoogle PlayストアからIMEアプリ「Google日本語入力」をダウンロードして使用することで解決できます。
Google日本語入力をダウンロードしたあと、「設定」→「システム」→「言語と入力」→「仮想キーボード」を選択し、「キーボードの管理」でGoogle日本語入力のみが使える状態にします。
これによって、
・英字入力
・ローマ字かな入力
この2つを切り替えられるようになります。
まずはこれを導入しなくては話にならない
なお、英字入力とかな入力の切り替えは、標準状態で
・「Fn+英数」もしくは「Fn+かな」で切り替え
・「Fn+半角/全角」でのトグル操作
これら2つの操作方法が用意されています。
これに加えて、Google日本語入力を用いてローマ字かな入力を行う場合、
・「Ctrl+Shift」によるトグル操作
この操作が追加される形となります。
また、かな入力状態になっている場合、Google日本語入力のトグル操作が無効となる点も注意が必要です。
日本語入力環境の構築に戸惑う。筆者は解決するために1日悩んだ
日本語入力環境の設定ですが、一度、環境を整えてしまえば、あとは非常に快適に利用ができます。
オフィスアプリや各種ビジネスアプリも一通りプリインストールされており、Google系のマネージメントアプリを利用してきた人なら環境の移行や導入もそれほど難しくないでしょう。
気になる点があるとすれば、プリインストールアプリのいくつかが標準状態で英語表記であったり、英語表記のみであったりする点です。
この問題も、
・アプリ内の設定で日本語化が可能(一部は英語表記のまま)
・「Note」などは英語表記のみだが基本操作がアイコン化されており実利用状はあまり問題にならない
・WordやExcelといったオフィスアプリは標準で日本語対応
・スケジューラーやメーラーなどはGoogle Playで使いやすいアプリを導入すればOK
・そのほかのアプリについてもウェブアプリなどの利用で代替可能
このように、設定などを変更することで快適に利用することができます。
標準スケジューラー「Agenda」のセットアップ画面。いきなり英語だらけで少々躊躇するが、設定から日本語表記に変更が可能
プリインストールされている「Word」を使ってみた。思った以上に入力しやすく十分実用的だ
●玄人好みの「現代版PSION」
Cosmo Communicatorのキーボードデザインや利用スタイルから、真っ先に「これはPSIONだ」と感じられた人は、間違いなく筋金入りの古参モバイラーだと言えます。
本機はそういったコアなモバイルユーザーを対象にした機種であり、一般のスマートフォンのように敷居が低い製品ではありません。
しかしそれだけにCosmo Communicatorは、物理キーボード搭載スマートフォンが非常に少ない中で、希少価値と存在意義の非常に大きい機種であると感じます。
一般的なスマートフォンとしての利用ではなく、飽くまでも超小型のノートパソコンとしての利用がメインとなるでしょう。
今回は本体の特徴やキーボードおよび日本語入力環境についての解説を行いましたが、次回は、
・カメラ機能の使い勝手
・各種アプリの利便性
・HDMI出力の利用方法
これらをレビューしたいと思います。
執筆 秋吉 健