近い将来に大規模噴火を起こすと言われる富士山

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 コロナ禍の日本に追い討ちをかける、九州地方の記録的豪雨。しかし恐ろしいのは水害だけではない。今年4月、コロナ禍の陰で注目されなかったものの、日本政府は富士山の噴火について恐るべきシミュレーション結果を発信していたのだ。近い将来に大規模噴火を起こすと言われる富士山、そのあまりに甚大な被害とは。

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 4月、政府は富士山が噴火した場合の「降灰シミュレーション」を発表した。東京大学名誉教授で山梨県富士山科学研究所所長の藤井敏嗣氏が解説する。

「このシミュレーションによって、前回の宝永噴火(※1707年)と同じ規模の噴火が起これば、数時間で富士山に近い山梨や静岡のみならず、首都圏一帯にまで大きな影響が出ることがわかった。実際に富士山が噴火すれば、桜島の噴火で降る火山灰の約200年分が、たった2週間で堆積してしまうのです」

近い将来に大規模噴火を起こすと言われる富士山

 シミュレーションはいくつかのパターンが用意され、たとえば9月に、風向きの変化の大きい南風が吹けば、西は愛知や岐阜、北は新潟や福島などにまで被害が及ぶという。

「噴火開始から数時間で、首都圏の交通機関はほとんど機能しなくなることが分かりました。レールの上に火山灰が0.5ミリ積もっただけで鉄道は運行できなくなる」(同)

 さらに、エンジンに火山灰が入ると墜落の恐れがあることから、噴火初日で主要空港は閉鎖。シミュレーションが記載された報告書によると、東京湾一帯の火力発電所や、その送電網が火山灰によってダウンし、「首都圏大停電」が起こるリスクもあるほか、雨が降って灰に水分が加われば木造家屋が倒壊する危険もあり、まさに八方塞がりの状況に陥るというのだ。

 日本地震予知学会会長で東海大学教授の長尾年恭氏も警鐘を鳴らす。

「世界中に火山はありますが、今度の富士山噴火は人類が初めて経験する災害になると思います。国は被害総額を2兆円と試算していますが、これは農作物など直接的な損失のみ。交通機関がストップするなど火山灰の影響により経済が被る損失は想定不能だとしています」

 7月9日発売の週刊新潮では、噴火発生に伴う被害の詳細に加え、未曽有の危機を生き延びるためのサバイバル術を紹介する。

「週刊新潮」2020年7月16日号 掲載