「私は現場を預かる都知事だ。都民の命、そして健康、そして逼迫する医療現場を守るために、この1カ月、総力を挙げて何としてでも8割抑制を目指していきたい。目指さなければならない。そのように意を強くしている」(小池都知事)。緊急事態宣言の発令から3日、東京都の休業要請についての全容が明らかになり、11日午前0時から実施が始まった。また、東京都と隣接する神奈川県、埼玉県もこれらの基準に準ずることとなり、千葉県も11日になって足並みを揃えた。

 しかし決定に至る間には、都と国と考えのずれも浮き彫りになった。その一つが居酒屋をめぐる対応だ。感染拡大防止を優先したい都は居酒屋も休業の対象とする考えを示していたが、経済活動への影響を懸念する国が「厳しすぎる」と難色を示したことで、酒類の提供を夜7時までにするなど、営業時間の短縮に留まることとなった。また、同じく都が休業要請すると見られていた、百貨店と理髪店については、“社会生活を維持する上で必要な施設”として対象から外されることになった。

 ただ、今回の休業要請をめぐっては、そもそも対象となる業態の基準が曖昧ではないかという指摘も相次いでいる。福岡県豊前市の40代女性が経営する美容室では、利用客の感染が確認されたケースがもあり、県内で5例目のクラスターの可能性が高いという見方もある。

 都議会自民党の「新型コロナ対策プロジェクトチーム」のメンバーでもある川松真一朗都議は「東京都と議論している間に、国の方針が二転三転したところが混乱した要因の一つでもある。例えば理美容に関して、東京都は髪の毛が伸びてしまうことは保健衛生面から良くないのではないかということで、100平方メートルを基準にして、それよりも広いところはダメだというルールだった。一方、国は理美容でクラスターは起きないのではないかという考え方だ。しかし最終的には社会的に必要ではないかといことになり、休業要請はしない、ということになった」と明かす。

 「しかし、東京都が対象のリストを出した日に福岡からこういうニュースが届いたということは重く受け止めなければならないし、確かにバシッと閉めてしまえば、こういうこと起こらないと思う。線引きをするのは非常に難しかったと思うが、医師会が“完全に人が出歩かないように”と訴えていたことからすると、協力金の額も含め、ちょっと緩いのではないかという、歯がゆい思いがある」。

 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「人と人との接触を8割減らすということであれば、クラスターが発生するかどうかの線引きをするのはナンセンスではないか。国が今やらなければならないのは、本当に必要最低限のところにしか行ってはダメだという空気感を作ることだ。それなのにクラスターの可能性がないから大丈夫、あるからダメというようなことを言えば、“8割”は達成できないのではないか」、2ちゃんねる創業者のひろゆき(西村博之)氏も「人が集まるようなお店は基本的には全て止めるくらいにしなければいけないのではないか。また、生活不安を抱えている人たちもいっぱいいるわけで、借金の取り立てなども当面は止めた方が良いのではないか」と指摘する。

 川松氏は「そういう課題もあると思う。人と接触しないということを言っているのだから、全てのお店を閉めるべきだというのが私たちの考え方だ。小池都知事は結果として国と調整した上で、“国にご理解頂いた”という表現をしているが、私たちとしては東京都が頑張って、もっと厳しい形でも良かったと思っている」とコメントした。

 また、東京都では、要請に応じた中小事業者に対しては、1社1事業のみの場合50万円、複数事業の場合は100万円の「協力金」を支払う方向で調整が進められている。一方、千葉県の森田知事は、県独自の補償は難しいという考えを示している。

 これについて、紗倉まなが「休業要請を受けていない施設が自主的に休業した場合、同様に協力金は交付されないのだろうか」と疑問を投げかけると、川松氏は「実際、色々なところから問い合わせが来ているが、細かいところの詰めができていないのが実態。例えば居酒屋は時間を区切って営業してもいいという緩い要請になっているが、要請通り夜8時に閉めたら協力金を払うのか、といった議論をまさにやっているところだ。個人的な考えだが、東京都にはオリンピックのための積み立て基金などが2000億円以上ある。今、東京の経済を支えなければ、来年オリンピックをやるための体力がなくなってしまうので、もっとそういうお金を突っ込んででもいいのではないか、という話もしている。また、5月6日までに要請を受けて頂いたというところを基準に、ゴールデンウィーク明けから申請を受け付けるという形になっているが、私たちは4月末でも相当厳しいのではないかと言い続けている。2月頃からインバウンド系が来なくなっていて、すでに厳しくなっている飲食店も多い。とにかく申請したらすぐに出るような仕組みが必要だ」と回答。

 「50万円についても、先週金曜日の都知事会見の時点ではもっと少なかったので、そんなことをやっても誰も救えないということで、1週間がんばって、ここまで上げてきたという経緯がある。とにかく世論が動かして、決断できる人たちがもっともっと泥を被っていけるようにしなければならないとかなり焦っている状態だ。そもそも5月6日までというのが国の出した緊急事態宣言の期限になっているわけだが、海外に目を向ければ、ロンドンではロックアウトの期限までに収まる気配がないという報道もある。東京も、この緩い状態で5月6日に終わるのだろうか。最後は政治決断でどこに持っていくかという、厳しい局面に小池都知事や我々は立たされていると実感している」。

 すると、ひろゆき氏は「東京都は来年の7月にまだオリンピックができると思っているのか」と厳しい質問を投げかけた。

 川松氏は「都民の皆さんの半数以上は、来年夏はできないだろうと考えていると思う。西村担当大臣と小池都知事がやり合っていて、国が邪魔している、都が突っぱねていると報じられていたが、国も都も患者を増やさないという点については同じ方向を向いている。ただ、経済補償や財源になると色々な立場が出てくる。私たちも国会議員や霞が関の官僚と毎日のように喧嘩し、大変な思いをしながらやっている。その意味では、とにかくオリンピックを、ということを考えている人は少ないと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)