11月末頃よりSNSなどで盛り上がりを見せていた、日本フットボールリーグ(JFL)・奈良クラブによるホームゲーム入場者数の水増し問題について、奈良クラブが水増しの事実を正式に認めました。7日にクラブ公式サイトで公表された調査報告によれば、2015年より継続的に水増しの事実があったとのこと。2015年度は奈良クラブがJFLに参入した年であり、つまりは「参入以来ずっと水増しをしつづけていた」という極めて悪質なものでした。

<奈良クラブによる水増しの事実を公表するツイート>


水増しの手法も「入場者として認められていない人をカウントし、さらに最終的に集計された数字を割り増し」するという、ウソの二階建てと言うべきもの。こうした手法で2019年度は1試合平均で567人、通年で実に「8508人」もの入場者数水増しを行っていたのです。

何故このような水増しを行うかというと、JFLからJ3リーグへと昇格するためです。JFLからJリーグへと昇格するためには、参入に必要なJ3クラブライセンス取得に加えて、JFLで4位以内という成績面での条件と、平均入場者数2000人超という動員面での条件が課せられます。その入場者数の条件を満たすため、「なるべく多く見せたいとの気持ちが働き」水増しをしてしまったわけです。

今季のJFLでは東京武蔵野シティFCが成績面での条件を満たしながらも、入場者数での条件を満たせず、J3への昇格が見送りとなりました。そうした事例を鑑みるに奈良クラブの行為は極めて悪質であり、真っ当な競争とは到底言えません。2015年から5年間にわたり「入場者数面での不正」を繰り返してきたことに正当なペナルティを与えるなら、「昇格条件をクリアしたとしても昇格見送りとするペナルティ」を通算5回適用するくらいに厳しい姿勢で臨まなければ示しがつかないでしょう。このような軽々しい発想からの杜撰な手法でクリアされてもいいような有名無実な条件ではないのであると、改めて宣言するためにも。

そして、この入場者数の条件について、Jリーグとしても真剣に意義を考え直すべきでしょう。先の事例にあった東京武蔵野シティFCなどもそうですが、この入場者数の条件をクリアするためにタダ券をばらまき、とにかく頭数を集めようとする実態があります。東京武蔵野シティFCは成績面での条件クリアが見えてきた2019年度の終盤3試合において、クラブがツイッターで投稿したチラシ画像を見せるだけで入場できるという、実質「全員にタダ券配布」と言える施策を行いました。そこまでのホームゲーム12試合で15185名しかいなかった入場者を、残り3試合のホームゲームで「あと14815名」増やす必要があったのでなりふり構わぬ手に出たのでしょうが、度を超した施策であったことは否めません。

はたしてこのようにして条件を満たしたとして、本来その条件で見るべきものは精査できるのでしょうか。人がたくさんいればいいのなら、極端な話「入場したら5000円あげます」などという手法でも条件を満たすことができるでしょう。つまりは金さえあれば、地域で愛されたり、クラブが存在する価値を感じてもらう必要などなくなってしまうのです。

今後は、水増しの防止という意味でも、単なる入場者数ではなく「有料での入場者数」こそを条件として掲げていくべきではないのでしょうか。まずは反省の第一歩として、奈良クラブにはそうした先進的な取り組みに率先して挑戦してもらいたいもの。再発防止策として「入場口でのカウンター計測人員を増員し、正しい計測ができるよう努める」を挙げるなどという、入場口の職員に責任を押しつけるかのような姿勢ではなく、「世界最先端のサッカー解析」を目指すというクラブビジョンに恥じない「解析姿勢」を、入場者数に関しても導入してもらいたいものです。

文=フモフモ編集長