内外情勢調査会の全国懇談会で講演する大隅東工大栄誉教授

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 東京工業大学の大隅良典栄誉教授は3日、来週から始まるノーベル賞受賞者発表に先立ち、基礎研究のありかたや日本の研究環境について講演した。博士課程へ進学する学生が少ないことや研究力低下といった日本の科学の現状に触れ、「やりたいことを見つけて楽しくサイエンスをする人が1人でも増えることが、日本の未来を支える」と若者へエールを送った。

 大隅栄誉教授は、細胞が飢餓状態の時に細胞内のたんぱく質などを分解し、再利用を図る「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる仕組みを1992年に発見し、16年にノーベル生理学医学賞を受賞した。生命活動を明らかにするという非常に基礎的な研究成果だが、その後、オートファジーががんや神経変性疾患といった多くの疾患に関わっていることが分かってきた。

 現在オートファジーに関連する論文は年間8000報以上報告されるなど大きな研究領域になっているが、当初は年間20報程度だったという。大隅栄誉教授は「がんや神経変性疾患の研究につながると思ってオートファジーの研究を始めたのではない。基礎研究とはそういうもので、純粋な興味が後に大きな分野に発展していく」と基礎研究の重要性を訴えた。
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