来月末まで代行を務める山内COO

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 「会社として即座に判断した。印象はよくなった」。日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)の辞任劇に、日産と取引の多いサプライヤーからは、日産のコーポレートガバナンス(企業統治)が機能したことを評価する声が上がった。一方、元会長カルロス・ゴーン被告の不正発覚後、経営が安定しないことに不安は募る。日産の次期トップの選定をサプライヤーは注視している。

 関東の中堅サプライヤーの幹部は「誰が次期トップになるかが、日産にとって運命の分かれ目になるだろう」と話す。16日付で辞任する西川社長の後任には、ひとまず山内康裕最高執行責任者(COO)が代行で社長兼CEOに就く。その後、日産の指名委員会が10月末までに次期トップを選定する。

 サプライヤーの最大の関心事は、次期トップが日産の社内・社外のどちらから選ばれるかだ。IT企業の台頭などで自動車業界が変化の波にさらされる中、車業界に限らず社外からの招聘(しょうへい)に期待するサプライヤー幹部がいるのは事実。

 一方で、日産の提携先である仏ルノーや三菱自動車とも取引するサプライヤーの首脳は「日産の経営には、ルノーとの関係など特殊性がある。外部の人材がどこまで理解できるのか」と指摘、外部招聘を疑問視する見方もある。

 サプライヤーは購買戦略の安定を強く求める。日産と取引の多い独立系サプライヤー首脳は「日産の一連の混乱に乗じて、ルノーが発言権を強め、ルノー主導の購買方針に変わりそうで心配だ」と懸念を隠さない。「購買畑が長い山内COOが代行CEOだけでなく、そのままトップを継続してほしい」(別のサプライヤー幹部)との声も漏れる。

 ゴーン被告の逮捕以降、ルノーとの主導権争いが激化したり、業績低迷が顕在化したりして、サプライヤーの懸念は強まっている。長年、取引関係にある大手サプライヤー首脳は「西川社長の辞任を(一連のゴーン問題の)終止符にしてほしい」と訴える。

 日産のトップ人事はサプライヤーの経営にも多大な影響を及ぼすだけに、多くのサプライヤーが固唾(かたず)をのんで見守っている。