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もくじ

ー 7年越しのテスト ライバルは強力
ー 開発のベンチマーク 僅差の戦い
ー スタイリングはスープラ 実用性も高く
ー 見事なしなやかさ サウンドには不満
ー シフト操作が喜び 足りない活気
ー 優れたハンドリング 荒れた路面は苦手
ー 純粋で完ぺきなスポーツカー
ー 難しい評価 今後にも期待
ー テスト車のスペック
ー 番外編:予算6000ポンド(82万円)以上 ユーズド・スープラをご紹介

7年越しのテスト ライバルは強力

いよいよだ。このテストが実現するまでに、実に7年もの歳月が流れている。

この間、多くのティーザー画像やスパイショットが公開され、厳しい管理の下でのプロトタイプ試乗と国際発表会を経て、ようやく英国へと上陸したのであり、ついに、ライバルたちとともにスープラを荒野へと連れ出し、思い切りその実力を発揮させる時が来たのだ。

これまでに行われたテストでも、スープラは大いなる可能性を感じさせてくれたが、近年もっとも待ち望まれたトヨタ製モデルに正確な評価を下すには、慎重に設定された試乗ルートでの数マイルでは不十分であり、このクルマがスポーツカー界の名だたるモデルを追撃しようと登場したことを考えればなおさらだろう。


もちろん、スープラも手放しで称賛されているわけではない。少なくともインテリアに関しては、想像以上に、二卵性双生児ともいうべきBMW Z4との類似点が明らかだ。

340psのストレート6ターボとZF製8速オートマティックトランスミッション、電子制御式リミテッドスリップディフェレンシャルに加え、電子制御システムとスイッチギアもBMW製となるが、その驚異的な機敏さを実現する、ワイドトレッドとショートホイールベースという完ぺきな組み合わせのアルミニウムとスチール製のシャシーは、日本側の発案だとトヨタは言う。

では、スープラとはどれほどのスポーツカーなのだろう?

それを知るための方法はひとつしかない。だからこそ、われわれは強力なライバルとともに、慣れ親しんだサウスウェールズに広がるテストコースへと向かっているのだ。

開発のベンチマーク 僅差の戦い

スープラの背後にもっとも迫るのはポルシェ718ケイマンだ。今回の比較試乗に連れ出したのは、登場したばかりのTであり、このクルマはシュトゥットガルト発エントリースポーツカーのなかで、現在もっとも純粋で動力性能の特化したモデルとして、20mm低くなった車高とトルクベクタリング型ディフェレンシャルを与えられるとともに、ループ状の布製ドアハンドルを採用するなどして、多少の軽量化も施されている。

フロントエンジン/リア駆動という伝統的なレイアウトを持つスープラを、ミッドシップレイアウトのケイマンと比べるのは奇妙に思うかも知れないが、スープラのチーフエンジニアを務める多田哲哉は、常にケイマンをベンチマークに開発を行ってきたと話す。

2.0ℓフラット4から300psを発揮するケイマンは、今回集まったなかではもっともパワーで劣る存在だが、1350kgという車重はもっとも軽量でもあり、さらに、このクルマにはキビキビとした操作感を持つ6速マニュアル(7速PDKはオプションとなる)が搭載される一方、スープラで選択可能なのはオートマティックギアボックスだけだ。


BMW M2コンペティションは真のクーペというよりも、小型のスポーツサルーンといった趣だが、強力なエンジンをフロントに積んでリアを駆動するという、フランスの自動車メーカー、パナールが考案したわれわれお気に入りのレイアウトを体現する1台というだけでなく、思想的にも遺伝子的にもよりスープラに近い。

さらに、410psのパワーを誇るM2は、このなかで圧倒的にパワフルなモデルでもある。ポルシェ同様、3ペダルを選択することも可能だが、今回はそれぞれ異なるトランスミッションでの比較を行うべく、オプションの7速デュアルクラッチを選択している。

まったく異なるアプローチの3台だが、その目指すところは同じであり、それはドライバーの脳を活性化させ、大いなるファン・トゥ・ドライブによって、最高の興奮をもたらすことにある。

約5万ポンド(684万円)という価格もほとんど変わらない。僅差の戦いになるだろう。

スタイリングはスープラ 実用性も高く

スタイリングとは極めて主観的な評価となるが、それでも、最初に目を奪われたのはスープラだった。このクルマが注目を集め、どこでも好意的な眼差しを贈られるのは、単にスープラが目新しい存在だからというだけでなく、創造性に富んだ美しい曲線と、大胆なラインの組み合わせがその理由だ。

一部過剰とも言える演出や、ボンネットとドアに穿たれたフェイクのベントには興醒めだが、それでも全体としては素晴らしいデザインだと言える。

ドアにストライプのアクセントを与えられ、鮮やかなマイアミブルー(1658ポンド/22万7000円のオプションだ)に塗られていても、スープラの隣では、ケイマンですら単なる景色の一部であり、一方のM2が持つ膨らんだフェンダーと、どう猛さを感じさせるスタンスは十分魅力的だが、飾り気のないスリーボックススタイルのBMWに、他の2台ほどの洗練を感じることは出来ない。

長さのあるスープラのドアを開け、キャビンへと滑り込む(低いルーフには注意が必要だ)と、すぐにこのクルマはスポーツカーであることを主張してくる。

横方に広いフロント視界と、限定されたリアビューは、見晴らしの良いポルシェや、やや高くドライバーを座らせるBMWと比較すると奇妙な感じがするが、低く座らせるスープラのキャビンは居心地が良く、高いトランスミッショントンネルと同じく高さのあるウインドウラインに囲まれた、落ち着くことのできる場所でもある。


ケイマン同様、足を投げ出すようなドライビングポジションは、まさにこのクルマに相応しいものであり、M2のキャビンでも同じように寛ぐことは出来るが、他の2台を経験したあとでは、包み込まれるというよりも、単に座っていると表現したほうが適切に感じるだろう。

スープラでは、BMW由来のスイッチギアの質感がやや気になるが、キャビンの適切な位置に上手く配置されており、すぐにその出自など忘れてしまう。さらに、トヨタのTouch 2と呼ばれるインフォテインメントシステムにイライラさせられてきたひとびとも、BMWのより直観的な操作が可能なiDriveが搭載されていることには感激するに違いない。

なによりも、BMWとの共同開発を行ったことで、インテリア全体に見事な質感がもたらされており、ほぼポルシェ同等のクラス感を感じさせる。

ケイマン同様、非常に実用性に優れたモデルでもある。数多くのカップホルダーや大型グローブボックス、使い勝手の良いドアポケットに、幅の狭い大型ハッチバックドアの下には、290ℓのトランクスペースを確保している。

容量では劣るものの、ケイマンもふたつのトランクスペースを確保していることで、より多くの荷物を運ぶことが可能だが、もし、より多くのひとと荷物を運ぶ必要があるのであれば、4シーターのM2が唯一の選択肢となる。それでも、この3台すべてが日常における十分な使い勝手を備えたモデルだと言える。

見事なしなやかさ サウンドには不満

実用性についてはこれで十分だろう。ここからが本番だ。

まずはスープラだが、このクルマで最初に驚かされるのは、見事に路面不整に追従するそのしなやかさであり、衝撃吸収性能はやや硬く感じるが、より締め上げられた脚を持つ快活なBMWに比べれば、スープラはまるでエグゼクティブサルーンのようであり、どんな鋭い路面不整もものともしない、素晴らしいセッティングを与えられたアダプティブダンパーを備えたケイマンでさえ硬いと感じるほどだ。

3台すべてが、ロードノイズをほぼそのままキャビンへと伝えて来るために、どのクルマも決して安楽なモデルではないが、ウェールズへと向かう長旅では、しなやかで長い航続距離を持つスープラ(TFT液晶の表示によれば、113km/hでのエンジン回転数は1800rpmだった)が、もっとも快適だった。

だが、だからと言って、スープラがしなやかさを優先した快適なだけのモデルだなどと勘違いしてはいけない。このクルマは必要に応じてハードな走りにも見事に対応してみせる。

BMW製B58 3.0ℓユニットは、50.9kg-mの最大トルクをわずか1600rpmから発生させ、その幅広いトルクバンドによって、直線であれば至極容易にどこからでも驚くほどの加速を楽しませてくれる。


事実、低中速域であれば、よりパワフルなエンジンを積んだBMW同等の力強さを感じさせ、クロスした8速オートマティックギアボックスと、キビキビとしたスロットルレスポンス、さらには、接地性に優れたマルチリンクのリアサスペンションが、このクルマにさらなる魅力を与えている。

だからこそ、スープラのエンジンサウンドには納得できない。レッドライン手前、最後の500rpmではやや回転上昇が鈍るものの、滑らかでどこまでも回っていく様なエンジンであるにもかかわらず、ドライバーの耳に届くのは、まるでエンハンサーが付いているかのような、奇妙に合成されたようなサウンドであり、決して不快なわけではないが、このクルマの目指しているところを考えれば、より本物のエグゾーストこそが相応しいはずだ。

さらに、このクルマのドライバーは、M2が積むBMWモータースポーツ謹製S55直列6気筒のような、天井知らずの回転上昇と、トップエンドでの力強さ、そして思わず何度でも聞きたくなるようなメカニカルサウンドを求めずにはいられないだろう。

シフト操作が喜び 足りない活気

同じく、スープラのトルクコンバーター式オートマティックギアボックスを、M2のデュアルクラッチ式トランスミッションのように、巧みに扱うことが出来たらとも、思わずにはいられない。

シフトアップでは、スープラもクイック且つスムースな変速を見せるが、ダウンシフトでは、車両のバランスを崩しかねないほどの引っ掛かりが感じられ、M2のほぼシームレスなシフトチェンジや、ケイマンのキビキビとした6速マニュアルギアボックスを使って、見事なヒールアンドトゥーとともにダウンシフトすることに慣れたドライバーにとっては、まったく受け入れることなど出来ないだろう。

短いストロークで正確な操作が可能な、見事なケイマンの6速マニュアルでは、シフト操作そのものを楽しむことができ、例え他の2台について行くには、常に忙しくシフトチェンジをする必要があるとしても、ドライバーにとってはそれすらも喜びとなる。

初期の718ケイマンが積んでいたフラット4エンジンは、決して高い評価を受けていたわけではなかったが、強力なターボチャージャーが生み出すトルクのお陰で、効率的にパフォーマンスを発揮することに成功していたのであり、最近のアップデートに伴いガソリン・パティキュレートフィルターなどが採用されたことで、少なくとも2.0ℓエンジンからは、力強さが失われてしまったように感じられる。


38.7kg-mという最大トルクは2150rpmから発揮されるというが、今回のテスト車両では少なくとも3500rpmに達するまで、十分なトルクを感じることは出来なかった。

さらに、今回のテストコースでは、ケイマンに乗って十分な加速を得るには、ときに1度のシフトダウンでは足りず、がっしりとしたシフトノブを握って二度三度とダウンシフトを繰り返している間に、スープラとM2の2台は地平線上に見える小さな点となっていた。

このパワー不足は、極端に遅いスロットルレスポンスがさらに強調しており、スポーツやスポーツ+を選んでも足りない活気は、思わず間違ってブレーキペダルを踏んでいるのではないかと錯覚するほどだった。

4000rpmを越える辺りで、ようやくこのボクサーユニットは本来の実力を発揮し始め、7000rpmへと一直線に回転上昇を続けるが、それでも、そのスポーツエグゾーストから聞こえてくるのは、まったくつまらない平凡なサウンドでしかない。

優れたハンドリング 荒れた路面は苦手

それでも、われわれはウェールズに広がる渓谷の奥深くまで辿り着いたのであり、荒れた路面のブラインドコーナーでは、一瞬たりとも気を抜くことなど許されない。そして、確かに動力性能は重要だが、ここで試されるのはハンドリングであり、特にスープラの持つ能力には驚かされることとなった。

小さなフロントウインドウから伸びるボンネットの視覚効果によって、このクルマは他の2台よりも大きく感じられるものの、スープラは従順で見事なドライビングを楽しませてくれる。

3台でもっともクイックで重みのあるステアリングで、正確にアペックスを狙うには慎重な操作が必要とされ、スープラはケイマンほどのドライバーとの繋がりは感じさせてはくれないものの、それでも、ミシュラン・パイロット・スーパースポーツ(M2も同じようなタイヤを履くが、サイズはより低扁平なものだ)が発揮するグリップの状態は、ステアリングを通して十分にドライバーへと伝わってくる。

実際、公道上でアンダーステアを感じることはほとんどなかった。この見事なハンドリングとショートホイールベースの組み合わせによって、スープラでのコーナリングは、ポルシェよりもゆっくりとして、より大きなロールを伴いつつも、十分な機敏さを感じさせながらアペックスへと向かって行く。

そして、コーナーでは、その有り余るパワーによって、スロットル操作でのラインコントロールも可能であり、比較的柔らかいリアサスペンションと、275サイズのタイヤによって、十分なトラクションを得ることができる。


もちろん、必ずそうしなければならない訳ではないが、ドリフトも可能なスープラであれば、望めばコーナー出口でより積極的な姿勢を創り出すことができ、すべてはドライバー次第だ。さらに、ブレーキも素晴らしい。ケイマンほど強力でフィールに溢れているわけではなく、低速では急な効きを見せることもあるが、高速からのブレーキングでは、見事なペダルフィールと力強い減速力を発揮する。

単にボディサイズを拡大させたGT86(日本名:86)ではないが、まったく共通点がない訳ではなく、ファン・トゥ・ドライブな走りを、比較的高い速度域で味わうことが出来るのがスープラなのだ。

そして、それは荒れた路面での挙動にも通じており、こうした場面では、トヨタがスープラで目指したものが試されることになる。まったく予想外というわけではなかったものの、例えもっとも硬いスポーツのセッティング(スープラでは選択可能なモードは限られており、スポーツとノーマルのふたつだけだ)を選んでも、縦方向の激しいボディの動きを抑えるのに、このクルマのアダプティブダンパーはやや戸惑いを見せる。

それは、パッシブダンパーを採用しているBMWも同様であり、10点満点中、9点の評価が与えられる素晴らしいモデルではあるものの、少なくともこうした道で激しいドライビングを試してみれば、その重量と高い重心位置によって、時おりバンプストッパーに底付きする様子を見せ、荒れた路面が落ち着きを失わせる。

純粋で完ぺきなスポーツカー

それでも、M2はスープラやケイマンとは違ったドライビングを試す気にさせる。410psのパワーとショートホイールベース、強力なフロントグリップと強固に固定されたリアアクスルを持つこのBMWであれば、ステアリングだけでなく、アクセルでのラインコントロールに魅力を感じ、ドライ路面では、電子制御をオフにして、人生最大のドリフトを試してみたいという気持ちがドライバーを支配するだろう。

だが、いかにコンペティションが優れたモデルだとしても、不快な乗り心地に文句を言いつつ、突然のオーバーステアを楽しみたいと言うのでもなければ、ウェット路面では慎重さを失うべきではない。

それでも、スープラとM2の2台が逆立ちをしたとしても、ケイマンの持つ洗練とバランス、コントロール性や機敏さには敵わないだろう。


特にスープラに乗った後では、最初はスローに感じられるステアリングは、ターンインでは思ったよりも多くの操作を必要とするが、はるかに優れたフィードバック性能を備えたこのややスローなステアリングこそが、シャシーの荷重移動をより正確にコントロールし、穏やかなイナーシャを伴う優れた回答性と、前後へ均等にコーナリングフォースを配分することを可能にしていると、すぐに気付くだろう。

さらに、少しアクセルを抜くことで、ごくわずかな荷重移動も自在であり、もちろん、アクセルによるラインコントロールも可能だが、パワーを上回るグリップを備えたケイマンであれば、ドライバーは過度なスライドを恐れる必要もない。

何よりも、M2がバンプストッパーへの底付きを見せ、スープラが落ち着きを失うような荒れた路面であっても、ケイマンであればまったく恐れる必要はない。

公道でスポーツ+は硬すぎるが、スポーツであれば、こうした路面でもケイマンは何事もなかったかのように前進を続け、フラットな姿勢のままコーナーをクリアするのであり、シャシーに深く組み込まれた魔法のようなその盤石のコントロール性には、思わず呆然としてしまうだろう。

ケイマンこそが、今回集まった3台のなかでは、もっとも機敏でドライバーとの繋がりを感じさせる、ファン・トゥ・ドライブなモデルであり、ハンドリングだけであれば、もっとも純粋で完ぺきなスポーツカーだと言える。

難しい評価 今後にも期待

では、これによってポルシェの勝利となるのだろうか? ことはそう簡単ではない。今回集まったのは、完ぺきではないかも知れないが、いずれも素晴らしいモデルであり、この3台に優劣をつけるのは、本当に難しい。

ケイマンのシャシーは素晴らしく、これまでであれば、それだけで魅力に欠けた4気筒エンジンをカバーするには十分だっただろう。だが、今回のテスト車両が積んでいた、まったく力強さを欠いたエンジンを見逃すことは出来ない。コーナーでどれほどケイマンが素晴らしくとも、この弱々しく、耳障りなサウンドを響かせるエンジンを許すことなど出来ない。

刺激に溢れたM2はケイマンとは対照的な存在だ。特にマニュアルギアボックスとの組み合わせであれば、この強烈なエンジンに飽きることはなく、その暴力的なハンドリングは純粋で子供らしい喜びをもたらすだろう。

それでも、このクルマのシャシーは、より控え目なスタンダードモデルの持つ特性を塗り替えるには至っていない。素晴らしいモデルではあるものの、この3台のなかでは、M2はつねに純粋なスポーツカーというよりも、究極のサルーンモデルであるかのような感じを抱かせ、その点でわずかにケイマンには及ばない結果となった。


この結果、最後に残ったのがスープラだ。確かに、この勝利はライバルたちの欠点がもたらしたものかも知れないが、それでも、このクルマには印象的なパフォーマンスが備わっている。より強力なケイマンSが相手であれば、結果は違ったものになったかも知れず、実際、スープラが本物の偉大なモデルになるには、まだ10%ほど足りないものがある。

もっと魂を震わせるような本物のエンジンサウンドと、もう少しだけ優れたダンピングコントロール、そして見事なギアボックス(マニュアルはどうだろう?)があれば完ぺきだった。

これが意味することは、些細な欠点はあるものの、スープラとは独自の魅力とキャラクターを備えた素晴らしいスポーツカーであり、今回のテストでこのクルマが見せてくれた数々の優れた資質は何も変える必要がないということだ。

何も用事がなくとも思わずステアリングを握りたくなる存在であり、毎日の生活を共にするのもまったく問題はない。

まさに、スープラは今回素晴らしいパフォーマンスを披露することに成功した。だが、多田さんと彼のチームには、まだまだ多くのやるべき仕事が残されてもいるのだ。

テスト車のスペック

トヨタGRスープラ・プロ

■価格 5万4000ポンド(738万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 249km/h(規制値) 
0-100km/h加速 4.3秒 
■燃費 12.2km/ℓ 
■CO2排出量 170g/km 
■乾燥重量 1495kg 
■パワートレイン 2998cc直列6気筒ターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 340ps/5000-6500rpm 
■最大トルク 50.9kg-m/1600-4500rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック 

ポルシェ718ケイマンT

■価格 5万2055ポンド(712万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 274km/h 
0-100km/h加速 5.3秒 
■燃費 11.5km/ℓ 
■CO2排出量 186g/km 
■乾燥重量 1350kg 
■パワートレイン 1988cc水平対向4気筒ターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 300ps/6500rpm 
■最大トルク 38.7kg-m/2150-4500rpm 
■ギアボックス 6速マニュアル 

BMW M2コンペティションDCT

■価格 5万3260ポンド(728万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 249km/h(規制値) 
0-100km/h加速 4.2秒 
■燃費 10.3km/ℓ 
■CO2排出量 201g/km 
■乾燥重量 1550kg 
■パワートレイン 2979cc直列6気筒ターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 410ps/5250-7000rpm 
■最大トルク 56.1kg-m/2350-5200rpm 
■ギアボックス 7速デュアルクラッチオートマティック 

番外編:予算6000ポンド(82万円)以上 ユーズド・スープラをご紹介

初代/2代目スープラ


初代スープラは、より見慣れた存在だったセリカのホイールベースを延長し、ロングノーズを与えたモデルに過ぎなかった。

それでも、1981年に登場した2代目には、鋭いスタイリングとリトラクタブルヘッドライト、さらには、膨らませたフェンダーが与えられており、英国には181psを発揮する2.8ℓツインカムエンジンに、ロータスの手が入ったサスペンションという、非常に魅力的な組み合わせのモデルが導入されている。

基本的には丈夫だが、非常に古いモデルであり、慎重にすべてのチェックを行う必要がある。まともな車両を手に入れるには6000ポンド(82万円)が必要だろう。

3代目スープラ


3代目スープラの角ばったスタイリングはいまでこそ華奢に見えるが、80年代当時、この4シーターのグランドツアラーはどちらかと言えば、力強さが印象的なモデルであり、強力な3.0ℓ直列6気筒ターボを積んで、0-97km/h加速をわずか6.1秒でこなすモデルの存在も、そんなイメージに相応しいものだった。

すべてのスープラがそうであるように、アフターマーケット市場に愛されたモデルでもあり、いまではノーマル車両を見つけ出すのは至難の業となっている。

ターボエンジンではヘッドボルト周りに不具合が出やすく、錆には注意が必要だ。6000~1万ポンド(82~137万円)がスタートプライスとなる。

4代目スープラ


決して英国で大人気になったわけではなく、1996年を最後に正式販売を終えているが、確固たる意志を持ったモデルとして、4代目スープラはいまではまるでアイコンのような地位を手に入れている。

先代よりも短く、低いボディは、はるかに軽量でもあった。3.0ℓ自然吸気直列6気筒とシーケンシャルツインターボが設定されていたが、英国に導入されたのは、ターボモデルだけであり、6速マニュアルか4速オートマティックギアボックスを選択することができた。

パフォーマンス? 0-97km/h加速はわずか4.6秒、最高速は「たった」249kmに制限されていた。