期末改編期に入った3月25日、民放各局はそろって特番を放送した。フジテレビは19時〜22時48分まで、明石家さんま(64)の「ホンマでっか!?TV」の4時間スペシャルを持ってきた。ところが、視聴率はレギュラー放送よりも低い8・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)だった。お笑い怪獣こと、さんまの人気に陰りって、ホンマでっか?

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ちなみにこの日、他局はどうだったかと言えば――。

●日本テレビ
「日テレ系音楽の祭典Premium Music 2020」(19:00〜22:54):12・5%

●テレビ朝日
「あいつ今何してる?3時間SP」(19:00〜21:54):11・6%
「報道ステーション」(21:54〜23:15):17・8%

●TBS
「世界くらべてみたら3時間SP」(19:00〜22:00):8・9%
「水曜日のダウンタウン」(22:00〜22:57):5・9%

 さんまの「ホンマでっか」より「水ダウ」の低視聴率が気になるが、民放プロデューサーはこう言う。

明石家さんま

「実は『水ダウ』の視聴率が低いのは、今に始まったことではありません。リアルタイムでは低いのですが、タイムシフト(録画)視聴率は高く、SNSでの話題性も高いんです。つまり『水ダウ』を除くと、『ホンマでっか』は民放4局の中で最低だったということになる。それに通常の放送なら10%前後を取っているにもかかわらず、特番にしてみたら逆に落ちた。“特番にすれば数字は上がる”のが定説ですから、これにはフジのスタッフもショックだったでしょう」

 もともと「ホンマでっか」は、09年10月より月曜23時からの30分番組としてスタートした。

「深夜のバラエティにもかかわらず、視聴率は10%台前半を獲っていました。そのため、翌年には現在の水曜21時のゴールデンの1時間番組に昇格。ウラには『相棒』(テレ朝)が放送されている時間帯ですから、もともと高視聴率は期待されていなかったとはいえ、さんまさんとゲストや専門家集団とで繰り広げられるトークが人気で、10%前後を獲っていました」(同)

 そして25日は、前週(18日)にウラの「相棒」Season18の最終話が放送され、「ホンマでっか」は数字を伸ばすはずだった。

「さすがに4時間放送は、長すぎたと思います。“ホンマでっか”という切り口や、専門家集団の喋りやキャラが、持たなかったのだと思います。それと最近よく耳にするのが、さんま人気の陰りですね。今年1月26日(18:30〜)に放送された『じもキャラGP〜お笑い怪獣と異人さん〜』(テレ朝/ABCテレビ)という2時間半の特番も、意外な数字でした。全国の地元で有名な素人を登場させ、さんまさんがトークで料理する企画でしたが、視聴率はわずか5・5%。ゴールデンではあってはならない数字です」(同)

嫌いな芸人1位

 雑誌「日経エンタテインメント!」が毎年調査している「一番好きなお笑い芸人」ランキングでは、さんまは調査開始の02年から17年まで、14回連続(12年と13年は休止)でトップだった。サンドウィッチマンにトップを奪われ、2位に落ちたのは2年前のことだ。

「昨年もさんまさんは2位でした。トップのサンドウィッチマンとの得票数には、2年前よりも開きが見られた。それよりも驚いたのは、『一番嫌いなお笑い芸人』ランキングで、2年前にトップだった石橋貴明(58:とんねるず)を抜いて、トップに躍り出たことです。しかも、嫌いの理由のトップは“ネタがつまらない”だったんです」(同)

 喋り倒すさんまの芸風は、昔も今も、まったく変わっていない。

「そうですね、『ホンマでっか』に限らず、『踊る!さんま御殿!!』(日テレ)や『さんまのお笑い向上委員会』(フジ)にしても、彼の司会ぶりは今も天才的と言っていい。さんまさん1人で大勢の出演者をイジって笑いを取るスタイルは、なかなかできるものではありません。我々の間では、相変わらず面白いという声がほとんどです。それをつまらないとは……。そして、さんまさんの笑いに若者離れが見えるという声も聞きます。事実、昨年の“嫌いな芸人”調査を世代別に見ると、25〜34歳の男性で、さんまさんはトップだったそうです」(同)

 25〜34歳と言えば、平成生まれが多い。いわゆる“お笑い第7世代”と同世代だ。

「霜降り明星のせいや(27)が、ラジオで発言したのがきっかけとなり、“第7世代”は今や定着した感があります。もともと明確な○○世代なんてなかったと思うのですが、放送作家の高田文夫さん(71)によると、演劇の世界で新しい波を“第3世代”と呼んだことにちなんで、お笑いでもダウンタウン、ウッチャンナンチャンたちの新しい世代を“第3世代”と呼んだことがあったそうです。そこから逆算すると(ビート)たけしさん(73)やさんまさんなどの漫才ブーム世代は第2世代、それ以前の第1世代がドリフやコント55号になるんだとか」(同)

 もっとも、第4,第5、第6世代という明確な区分はないらしい。高田先生曰く、《そこへズバッと線をひいて「第7世代」と言い切ったところが霜降りの勝利》(「週刊ポスト」20年2月7日号)だそうだ。

「今、さんまさんは、その第7世代を取り込もうとしているように見えます。彼の番組には、霜降りはじめ、EXIT、四千頭身などの第7世代がゲストとして出演しているでしょ。さんまさんは昔から若手芸人との共演に積極的で、“チームさんま”“さんま劇場”という形で笑いを取ってきましたからね。お笑いに限らず、大勢の若手の中から面白いキャラを見つけ、イジってそのキャラを育ててきた、素人イジりのスペシャリストです。定番の笑いネタを仕込んでお笑いギャグで笑いを取ってきたわけです。中でも今、一番相性がいい芸人は陣内智則(46)でしょうね。彼にはイジりやすいネタ(離婚)があり、さんまさんにもツッコめて、フォローもできる。さんまさんの笑いを一番理解している芸人だと思います。もっとも、そうした大先輩のイジりにどう答えていていいのか戸惑っているのが第7世代の芸人であり、イジりを嫌うのが第7世代の視聴者のようです」(同)

 さんまは、性別年齢非公表のモノマネタレント・りんごちゃんに対し、執拗に年齢を聞き出そうとし、「おっさんやないか、アホ、お前」とツッコんだことがSNSで大顰蹙を買ったこともあった。

「嫌いな芸人2位のタカさんもかつて、人気だったキャラ・保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)を復活させてフジの社長が謝罪したこともあった。セクハラやパワハラに対して非常に敏感なのが若い世代です。ベテランはそこに気づいて、第7世代とも組めなければ、今後は厳しいかもしれません」(同)

 他人を傷つけない笑いのパイオニア・志村けんさん亡き今、お笑い界はどこへ行く。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月4日 掲載