性格9タイプの相性診断、“マンガ・キャラ”占い
組織の抱える最大の難問が人間関係にまつわる問題。人間を9つのタイプに分類し、分析するエニアグラムの第一人者、安村明史さんにコミュニケーションツールとしてのエニアグラムを教えてもらおう。
■先天的な性質は9つのタイプに分けられる
ビジネスパーソンにとって、取りつく島のない上司、何度注意しても同じ失敗を繰り返す部下、何度会っても打ち解けられない取引相手……といった他者との人間関係にまつわるストレスが最大の悩みの種でしょう。
エニアグラムとは「人間は9つの性格タイプに分けられ、私たちは皆、その9つのどれかに当てはまる」という考えに基づいたコーチング方法で、アメリカのみならず、わが国でも、法務省などの官庁、ホンダ、ソニー、ダイキンといった大企業が人事研修の一環として導入し、徐々に普及しつつある人材マネジメントツールです。
ここでいう9つのタイプは「気質」を表しています。「性格」や「人格」は年齢を重ねていくにつれて変化する後天的な特徴を示すのに対し、「気質」はその人が生まれ持った先天的な性質を指します。つまり本来の「自我(エゴ)」と同等です。
9つのタイプとは以下の通りです。
(1)完全主義者タイプ。正義感が強く生真面目な努力家。神経質で融通が利かない。
(2)博愛主義者タイプ。細かい気遣いで、自己犠牲を厭わない世話好き。押しつけがましい、八方美人。
(3)成果主義者タイプ。競争心が強く、能率、マネジメントを重視。仕事熱心で行動的。成功への意欲が強い。
(4)芸術家タイプ。ロマンチスト、感受性が強く、繊細な天才肌。豊かな創造力を持つ。ナルシシスト。
(5)研究者タイプ。探究心が旺盛。冷静沈着で学究肌。分析力に富む皮肉屋。内向的。
(6)サポータータイプ。責任感が強く、規則を厳守する。安全第一で疑い深い。新しい挑戦は苦手。
(7)楽天家タイプ。好奇心旺盛で楽天的な自由人。柔軟性があり、気分転換が上手。飽きっぽい。
(8)挑戦者タイプ。統率力があり自信家。他人に操られるのを嫌う。決断力があり、逆境に強い。
(9)平和主義者タイプ。マイペースで無欲。友好的で葛藤を嫌う。器が大きい。逃避的。怠慢。
わかりやすく伝えるために、それぞれの性格タイプに近い漫画のキャラクターを当てはめてみると、次のようになります。
(1)=星一徹
(2)=ドラえもん
(3)=峰不二子
(4)=スナフキン
(5)=名探偵コナン
(6)=マスオさん
(7)=サザエさん
(8)=ジャイアン
(9)=ウルトラマン
では、このキャラクターたちの相性を見てみましょう。最初にお断りしておきますが、完全に理解し合えない相性の組み合わせはありません。しかし、それぞれの人が大切にする優先順位が違うため、ぶつかってしまったり、疎遠になってしまう組み合わせはあります。また、相性は双方向だけでなく、片方向の場合もあります。とはいえ、最初から、この人はこのタイプだから思考方法が自分とは違うとわかっていれば、ある意味ストレスは溜まりにくいはずです。
■スナフキンタイプと星一徹タイプは反りが合わない
まず、完璧を求め努力を惜しまない星一徹タイプのよき理解者は大きな包容力を持つドラえもんタイプと緻密な名探偵コナンタイプ。反対に合わないのは楽天的すぎて真剣味が感じられないサザエさんタイプです。
ドラえもんタイプは温かい人柄でみんなを包みますが、スナフキンタイプはその親切心を、お節介と感じることがあるため、相性はそれほどよくありません。ジャイアンタイプにも好意を抱きますが一方的です。合うのは星一徹タイプ。常に成功を求める峰不二子タイプは、自分を輝かせてくれる相手を求めるので、ポジティブなサザエさん、前向きに挑戦するジャイアンタイプとの相性がよく、現状維持・安全第一のマスオさんタイプは物足りなく感じてしまいます。
自由をこよなく愛するスナフキンタイプは、楽天的なサザエさん、他人を批判しないウルトラマンタイプとの相性がよく、反対に星一徹タイプとは反りが合いません。
学究肌の名探偵コナンタイプと相性がいいのは真摯な星一徹。自分とは異なる明るいサザエさんタイプにも憧れを持ちます。一方、力でねじ伏せようとしてくるジャイアンタイプは天敵といえる存在です。
寄らば大樹の陰派のマスオさんタイプは星一徹、峰不二子、ジャイアンといった、ぐいぐい引っ張っていくタイプに憧れます。常識的なマスオさんが苦手なのは優柔不断なウルトラマンタイプ。時間のルーズさに腹が立ってしまうことも。
サザエさんタイプと相性がいいのは峰不二子、スナフキンタイプ。名探偵コナンタイプからは慕われるものの、一緒にいるのは難しい関係です。
お山の大将的なジャイアンタイプは、峰不二子、マスオさんタイプとの相性がいい。ドラえもんタイプからは好意を示されますが、なかなかいい関係を結べません。
和をもって貴しとするウルトラマンタイプ。意見を押し付けてこないマスオさん、独自の世界観を持っているスナフキンタイプに惹かれますが、マスオさんへの好意は一方的なことも。逆に時として禍の種をまき散らす峰不二子タイプは敬遠しがちです。
■日本人の約6割は挑戦を回避したがるマスオさんタイプ
9つのタイプは均等に存在するわけではありません。日本人の約6割はマスオさんタイプです。マンガのキャラでは飛雄馬、のび太くんもマスオさんタイプ。命じられたことを着実に遂行することに安心、喜びを得ます。チャレンジ的なリスクは回避して、コツコツ努力して積み上げていくのが得意です。だからジャイアンタイプのリーダーを好むのでしょう。日本経済新聞に連載されている「私の履歴書」を分析したところ、創業経営者の6割がジャイアンタイプでした。
9つのタイプは、己を突き動かすエネルギー源別に3つに分けることができます。エネルギー源にはガッツ(本能)、ハート(心)、ヘッド(思考)の3つのセンター(中枢)があります。
ガッツセンターには(1)星一徹、(8)ジャイアン、(9)ウルトラマン。ハートセンターには(2)ドラえもん、(3)峰不二子、(4)スナフキン。ヘッドセンターに属するのは(5)名探偵コナン、(6)マスオさん、(7)サザエさんが属します。
ガッツセンターの人たちは、他者の言葉を耳では聞いていません。話を体全体で感じ取るタイプで、「私は〜と感じる」という言葉をよく使う傾向にあります。また、「現実に抵抗すること」にこだわる傾向にあり、自分の領域とそうでないものとの間に壁を設けることで、自分が完璧であるという感覚をつくろうとします。さらに共通しているのが、「激しい怒り」を抱えている人が多いことです。
ハートセンターの人は情報を心・感情で受け止めようとします。自分のイメージに対して大きなこだわりを持ち、たとえ偽りであっても自分でつくり上げた自己像に執着し、自分のことを低く評価する人に対してはあまり関心を払いません。感情を表に出しすぎるタイプで、「私は〜と思う」という言葉をよく使う傾向にあります。
ヘッドセンターの人は、他者とは距離をとり、感情に流されず論理的思考をするので「私は〜と考える」という言葉を好んで使います。
相性のいい人が集まる組織は、人間関係はスムーズにいくかもしれませんが、発想の意外性や深みが生まれません。できればセンターの違う3人がうまく連携することが望ましい。諺にあるように三人寄れば文殊の知恵とはよくいったものです。
■相性を知って人間力向上業務も活性化
苦手な人とは、どう付き合えばよいのでしょう、とよく質問を受けますが、まず、前提として「すべての人は正しい」と考えてください。
気質とは人間の自我、つまりエゴです。エゴは価値観という言い方もできますが、価値観に善悪や優劣はないという考え方を持つことが大切です。マスオさんはマスオさんで生きていいし、ジャイアンはジャイアンの生き方をすればいい。ジャイアンにマスオさんになれ、といってもなれないのです。なれるのはよりよいジャイアンであり、よりよいマスオさんです。多様性というのは人間においては自我の違いなのです。能力の多様性は本質の多様性でもあるのです。
人間はどうしても自分のタイプを基準に物事をとらえてしまいます。ですから、自分では正しいと思ったメッセージが誤っている場合も多い。
ある企業の創業者が、「昇進は実力主義! やる気のある若者募集!」と威勢のよい求人広告をしたのですが、何回採用してもみんな辞めてしまう。分析してみると反応して応募してきたのはジャイアンタイプばかり。お山の大将が大勢集まってもうまくいくはずがありません。誰にメッセージを発するかで言葉の選び方、訴えるポイントは変わってきます。
人との接し方も一緒です。目を見て大きな声で話せ、といわれることも多いのですが、これが通用するのはガッツセンターの人々です。ハートやヘッドセンターの人は目を合わせたり、大きな声には萎縮してしまいます。
そもそも、なぜ苦手かというと、自分と全く逆のものを持っているからです。星一徹タイプにとってサザエさんタイプは、ものすごくいい加減に見える。しかし実は不足している点、学ぶべきものを、サザエさんが持っているということなのです。つまり、自分の先生。先生というのは苦手なものです。学ぶべきものがこの人にあるから苦手と感じるのか、と気が付けば、前向きな関係が結べるはずです。
がんばってコミュニケーションをよくしようと努力する必要はありません。互いの気質を理解することによって、人間関係、信頼関係、コミュニケーション力が高まり、組織としての業務も活性化するのです。
(エニアグラムコーチング代表取締役社長 安村明史 構成=遠藤 成)
