領土問題、国際司法裁判所に従い解決…中国メディア「安保理賞賛」
カメルーンとナイジェリアが、国境地帯にあるバカシ半島の領有権を巡り争っていた件で、実効支配していたナイジェリアは国際司法裁判所(ICJ)の判決などに従い、15日に同半島をカメルーンに引き渡した。中国国営の中国国際広播電台(中国国際放送)は、「国連安保理は、両国が平和的にバカシ半島問題を解決したことを賞賛した」などと報じた。
カメルーンは19世紀にドイツの保護領になり、第1次世界大戦によるドイツ敗北の結果、英国とフランスの植民地に分割された。カメルーンの西側のナイジェリアは19世紀末には全土が英国植民地になった。英国は自国が支配していたカメルーンの一部をナイジェリアに併合した。
植民地支配を受けた時代の影響もあり、両国は1960年代にそれぞれ独立してからも、複数の領土問題を抱えることになった。バカシ半島は1993年にナイジェリアが派兵し、南部を占領したことで紛争が本格的になった。その後も双方の武力衝突が発生した。
カメルーンは1994年に他の領土問題も合わせて国際司法裁判所に提訴。2002年にカメルーンの主権を認める判決が出た。ナイジェリアは当初、受け入れを拒否したが、後に両国による国境画定作業が始まった。両国は2008年に、国境策定についての協定を締結。協定で定められた移行期間が終了し、ナイジェリアは13年8月15日にバカシ半島をカメルーンに引き渡した。
国連安保理は同問題の解決について「カメルーンとナイジェリアが平和的にバカシ半島の紛争を解決したことを賞賛する」と表明。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も「国際法と隣国との友好協力を通じ、潜在的な危険があった国境紛争の平和的解決を実現したモデルケース」などと賞賛した。
新華社も、バカシ半島問題の解決を「安保理も歓迎」と報じた。中国国際放送、新華社という国営メディアがともに、同問題の解決について「安保理が評価」と紹介したことには、中国共産党・政府の公式見解が反映されていると考えてよい。
ただし新華社は、南シナ海の島嶼(とうしょ)の領有権を巡ってフィリピンが、国連海洋法条約にもとづき仲裁裁判所に中国を提訴した件について4月、「中国はこの種の問題で国際的仲裁の拘束を受けない権利がある」と主張する記事を発表している。
なお、バカシ半島周辺には石油資源が埋蔵されている。ナイジェリアが領有権を強く主張しはじめたのも、石油資源の存在が確認されてからだ。バカシ半島の貯油層はナイジェリア領内にも続いている可能性が高いとされ、今後、資源の利用を巡って両国が再び対立する可能性もある。(編集担当:如月隼人)
