ジョン・ダナハーのグラップリング・クラスは、まずはテイクダウンの技術練習と打ち込みから始まった

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水垣偉弥、日沖発、漆谷康宏、久米鷹介、伊藤健一、チーム・カルバーシティ(※仮称)は22日(日・現地時間)にUFCが開かれた南部ジョージア州アトランタから、東部ニュージャージー州へ移動、じっくりと体を休めた。そのニュージャージーでは、BellatorFCでエディ・アルバレスと戦った青木真也のセコンドとして米国を訪れていた北岡悟が合流し、翌日から東部のMMA&BJJジム巡りは6名で行うことに。

23日(月・同)には、マンハッタンのヘンゾ・グレイシー柔術アカデミーを訪ね、グラップリング・クラスに参加することから始まった。

MSGにほど近いヘンゾのアカデミー、ヘンゾ自身は不在だったが、GSPが崇拝する組み技コーチ=ジョン・ダナハーが指導する月曜・午後1時半からノーギ・クラスには、前UFC世界ライト級王者フランク・エドガーを筆頭に4名のUFCファイター、D-1レスリング米国王者、日本人初のヘンゾの黒帯=山路大輔、ロンドン五輪出場が決定している柔道家、そしてグレイシー一門など、錚々たる面子が揃う。

一般練習生加えると、55名もの参加者が見られたグラップリング・クラス。スタートはダハナーの技術指導からだった。シングルレッグダイブからのコンビネーションで、差し上げテイクダウン、谷落し、小外、大腰と柔術だけでなくレスリング、柔道の技を交えた立ちレスリング。グラウンドはパスからダース、さらに腕十字へと展開するコンビネーションは、MMAでも見られる攻防だったが、質・両とも圧倒的だった組み技クラスを終えた北岡悟に話を訊いた。

――ヘンゾ・グレイシーのアカデミーで行われたグラップリング・クラスに出て、どのような印象を持ちましたか。

「良い練習ができました。ヘンゾのところのグラップリングもそうですが、夜に少し見学したヒカルド・アルメイダのところの柔術クラスも、レスリングを大事にしているように感じました。レスラーがこの世界にしっかりと混ざっていましたね。レスリングは柔術、グラップリング、MMAでどう考えても必要な部分で、本当の意味で混ざってきている。ミックスなんだという気がしました」

――確かにノーギ・グラップリングは、ノーギ柔術ではなくなってきていると実感できました。

「レスリングと柔術、そして柔道が混ざっていて、MMAファイターも好きにやっていいっていう雰囲気がありました。ノーギの大会にMMAファイターが出場して、バチバチやり合っている。そういう環境があるようで……それが米国では普通になっているんでしょうね。本当の意味での交流の場になり、技術がミックスする場になる。

日本もそうなることが可能だったんですけど、できなかった。MMAファイターがノーギのトーナメントに出た時に感じた空気と、そこが違うように思います」

――技術練習は、今まさに勝つために必要な技術をしっかりと基礎と組み合わさっている、そんな風にも見えました。

「柔道五輪出場者、出場する人、レスリングのD-1王者、UFCの元チャンピオン、これからUFCに出るファイター、そこに普通の人が一緒にいる。老齢の方、女性、凄いです。本当に凄いと思います。負けています」

――スパーは5分×5R、北岡選手はD-1レスラー、グレゴー・グレイシー、山路大輔選手らと手合せをしました。

「テンションが合せられなくて、乗りきれない練習になってしまいました。打ち込みの相手が最初のスパーの相手になるという形だったのですが、それが一般の方で。打ち込みの時とか、凄くやさしく対応してくれたりした人を相手に、プロの自分がガンガン攻めることはできない。すると次の相手がD-1レスラーで、思い切りやってきた……。その温度差が凄くて、疲れた時に、グレゴー行けって感じで言われて……、『えっ』ってなって。その次が山路さんで、練習できるように助けてくれた人で……。

なんか、気を遣い過ぎじゃってダメだなぁって(苦笑)。これは問題だと思いました」

――出稽古なんで、その辺りのさじ加減は必要になってきますしね。『日本から来たのか、オゥ』って無料で練習に参加させてくれる人に、無礼なことはできない。

「ちょっと、考える部分ではありますね。ありがとうございました――って感謝している世界ですし。一般の人とやり、その後、プロと手を合わせるということで、塩梅の仕方が分からなくて」

――近くの人と適当に組んで……というのがスタートで、北岡選手は一般の人と。伊藤選手と漆谷選手なんて、折角の機会なのに日本人同士で組むことになっていました(笑)。ただ、北岡選手はUFCファイターとガッツリやるという感じでも、なかったですね。

「う〜ん、腕試しをするために青木の試合後にこっちに残ったんじゃないんで。変化、風を入れたくて練習するのが目的なんです。僕にとって大切なのは菊野戦で。渡米前に一旦、やり込んでいて、そこに風を入れるための練習だから、絶対にケガもしくたないですしね」

――菊野克紀戦を控え、海外での出稽古に臨むに当たり、なかなか難しい面もあるような北岡選手です。

「ケガをしたくないけど、良い練習はしたい。そういう部分で、最初の練習は難しい面があった練習でした。日沖君や久米君と、スパーをしていないですし、彼らとスパーをしたいというのもあります。

いずれにせよ、昼のグラップリングに50人以上も集まっている光景を見ると、また差が出たなっていう気持ちにはなりました。みんな、細かい技をやっているし……。もう、どうしようもなくなったと思います」

――ところで北岡選手は、20日のベラトールFCにおける青木選手の敗北後、出稽古に合流しました。青木選手がエディ・アルバレス戦で完敗したことについて、どのような気持ちなんでしょうか。

「一度勝っていたというのは、もう関係なかった話だと思います。凄く強い相手に、たまたま型にはまった勝利で――、青木自身もそう捉えていたでしょうし。今日、日沖選手とも話したんですが、昔と青木のスタイルが変わったように思いました。

僕もそうなんですが、以前は『何でもいいから極めれば良いんでしょ』って思っていた。この競技が進化したというのもあるけど、そういう風には戦っていない」

――スタンドの右フックも、打撃でプレッシャーを与えて、組みにつなげたいという部分の表れだったように見えました。

「ソレは違うと思います。アレはつなげる右フックではなかった。つなげられるモノではなかったです。セコンドについていて『つなげるんだよ』って叫んでいたんです。でも、あれはもう泳がされて、打たされていたものです。

一発当たったんですが、違うと思うんです。僕は彼に負けて、彼が今回負けたことについては、ソレはソレ、コレはコレだと思います。レベルでいえば、エディ・アルバレスはトップファイターだし、僕が青木に負けて反省したこと、青木が今回の敗北に感じていることは同じ部分もあり、違う部分もある。

今、青木と一緒に練習しているんですけど、帰国後もそうだし、その日常にないものを、この1週間の滞在で何か持って帰ることができればと。そういう意味で、ヒントを持ち帰りたいです。1週間残ったことで強くなれるなんてないんで、1週間残ることで日本に戻って強くなれる何かを掴みたい」

――きっかけ、だとか。

「ハイ、答は出なくていいんで。答は日本で築きあげていくもので。日米の環境や層の違いなどに関して、焦燥感を持つことは見当違い。それぐらい差がついてしまったので、自分の問題として捉えること、それで精いっぱいです。青木の敗北に関しては、自分に照らし合わせることができる素晴らしい経験を、青木にさせてもらったと思っています。僕を選んでくれたことも感謝しています」
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■北米出稽古紀行
水垣偉弥@マーク・ヘンリー地下ジム
久米鷹介@ATTアトランタ
伊藤健一@Cooler
日沖発@アリアンシ柔術
漆谷康宏@ATTアトランタ