先発出場した本田は序盤の詰めの甘さを指摘<br>(Photo by Kiminori SAWADA)

写真拡大

南アフリカ対日本戦の数時間後、地元テレビ局『SABC』のニュース素材として使われた映像には、制作者の苦労がにじみ出ていた。監督に復帰したパレイラの初戦とはいえ、選手交代のシーンが連続するハイライト映像は、なかなかお目にかかれるものではない。南アフリカにはチャンスもピンチも少ないゲームだったわけで、つまりそれは日本も同じということになる。

日本にとっては、アウェイゲームの難しさを再確認させられる一戦だったに違いない。

この試合を裁いたのは、アンゴラの審判団だった。ホームチームと同じ地域からレフェリーを招くのは、テストマッチでは珍しいことでない。10月10日の日本対スコットランド戦を担当したのも、韓国の審判団だった。そして、金相佑主審が吹くホイッスルに、何らかの作為が込められることはなかった。

アンゴラからやってきたロンバルド・バルタザール主審の笛は、南アフリカへの温かい配慮を感じさせた。うっすらとしたホームタウン・デシジョンが読み取れたのだ。

分かりやすいのは16分の場面だろう。右サイドから仕掛けた本田が、ペナルティエリア内で倒された。PKでもおかしくない場面だったが、岡田監督は両手を拡げて抗議することになる。

後半開始早々にも、指揮官はテクニカルエリアで怒りをあらわにしている。中村俊と松井が交代出場の準備を整え、試合の流れが切れるのを待つ。相手DFと競り合った岡崎が反則をとられる。これも明らかなファウルではなかったが、とにかくゲームは止まった。

ところが、交代が認められない。

主審は交代選手の存在を目視した。僕にはそう見えた。気づかなかったわけではなかったはずだが、中村俊と松井はここからさらに2分以上も待つことになってしまった。

ふたつの特徴的な場面以外にも、南アフリカへの心配りはあった。一つひとつは小さなものでも、積み重なれば総量は大きくなる。本来なら不要な場面でディフェンスに戻ることを強いられ、それによって攻撃へ注ぐはずのパワーを削がれてしまう。主審の判定がのど元に刺さるトゲのようになり、攻撃が迫力不足に陥ったところはある。

とはいえ、それも勝敗を決定付ける要素ではなかった。「こちらが優勢だった前半立ち上がりの時間帯で、1点取るのが理想的な展開でした」と本田は言う。

決定的なシーンをいかに作り出すか。そこでしっかり得点を奪えるか。スコアレスドローに終わった原因はいくつもあるが、突き詰めれば相手を確実に仕留められなかったこと──決定力を欠いたことは避けて通れない。多くのチャンスを作ることで勝機を拡げるとしても、目前の決定機をムダにしていいわけではないだろう。

この試合がW杯本大会であれば、二度のチャンスを生かせなかった岡崎は批判の的になっている。アウェイゲームならではのジャッジに直面したのは間違いないが、それでも勝ち切る勝負強さが欲しい。この日の南アフリカの出来を考えれば、ベスト4入りを目ざすのであれば、なおさらである。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖