オランダ遠征の焦点だった中村俊輔と本田圭佑の融合は、ひとまず先送りとなった。

 ポジションの重なる選手を、いかにして併用していくのか。あるいは、いくつかの選択肢のなかから、ひとつの才能をピックアップするのか。古くて新しい問題である。

 同じようなテーマに、日本も直面してきた。

 フランスW杯を目ざす過程では、名波浩がボランチにポジションを下げることで、攻撃的MFの選択肢を増やした。加茂監督の当初の構想は、台頭著しい森島寛晃と前園真聖を2列目で起用しつつ、名波のパスワークを生かそうというものだったが、中田英寿の登場でさらにバージョンアップした中盤の構成となった。加茂監督から指揮権を岡田監督は予選突破後に小野伸二を加え、2列目から飛び出していく森島と、崩しのパスが出せる小野がW杯でのオプションとなった。

 日韓W杯のチームでは、中田英か中村俊かという二者択一で、フィリップ・トルシエ監督が頭を悩ませた。トルシエは中村俊を左アウトサイドへ置くことで併用をはかり、中田英の不在時には中村俊や森島をトップ下で起用した。しかし、度重なるケガから復活した小野伸二と三都主アレサンドロの帰化で、左アウトサイドが人材豊富となる。二人に弾き出されるような形で、中村俊が土壇場でメンバーから外れることとなった。

 結成当初からメンバーがほぼ固まっていたジーコ監督のチームでも、アジア予選突破後に新たなオプション作りが試されている。筆頭候補だったのは松井大輔だ。ル・マンへの移籍でサイドアタッカーとしての資質を伸ばした松井に、ジーコは興味を示している。松井もゴールという結果を残したが、最終的にはメンバーに残れなかった。

 さて、本田はどうだろうか。

 今回のオランダ遠征には参加していないが、4−2−1−3の「3」のサイドには、松井大輔と大久保嘉人がいる。中村俊とのライバル関係が強調される本田だが、ライバルは他にもいるのだ。「中村俊か、本田か」という選択肢ではない。

 本田のスタンスは明確だ。あくまでも自分の強みを発揮することで、代表での地位を築こうとしている。

「憲剛くんと俊さんとオレは、全然同じタイプじゃないと思っている。日本でやっていたころの自分を見ていた人はそう思うかもしれないですけど、個人的にはまったく違うタイプだと思う」

 ポジションの重なる選手との違いを聞かれた本田は、彼自身の考える中村憲剛と中村俊の特徴をあげながら、「僕はもう少しリスクを負ってプレーするプレーヤーになりつつある」と説明した。ガーナ戦後には、今後の課題にも触れた。

「いかに攻撃で脅威になるかを第一に考えたうえで、守備もやるようにしないといけない。チームと個人のバランスをどう考えるかだと思う」

 チームコンセプトをピッチで表現できるという意味では、松井や大久保が本田を上回る。海外クラブ所属の松井は、リーグ戦に常時出場するのが条件になるだろうが、それさえクリアすれば招集への障害はない。

 中村俊については、あえて触れるまでもないだろう。危機察知能力の高さで守備面の貢献も高い背番号10は、本田を二歩も三歩もリードしている。

 最終予選終盤からの充実度を考慮すると、中村憲と岡崎慎司も岡田監督の優先順位は高い。玉田圭司への信頼も揺るぎないものがある。本田が割って入る場所は、決して多くない。

 その一方で、彼の決定力と打開力はズバ抜けている。左足のパンチ力は魅力的だ。その攻撃性能をチームに落とし込めることができれば、W杯で上位に進出する可能性はアップする。

 さて、岡田監督はどんな選択をするのか。ユーティリティ性の高い選手を重用してきた、最終予選までのスタンスを継続するのか。攻撃のオプションをできるだけ多く持つ方向へ転換するのか。12人目以降の選択からも、目が離せなくなっている。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖