日本―チュニジア戦で盛り上がる現地メキシコのサポーター(C)共同通信社

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【現地発 北中米W杯は今日もクレージーだった!】#9

【前回を読む】同じ“開催国”でも現地の反応は全然違う 米国・カナダと対照的にメキシコは全国民が沸き立っている

 ボンジーア! いや、今回はブエノス・ディアス! かな?

 日本はメキシコ・モンテレイでの第2戦でチュニジアに圧勝した。ボクも現地で観戦したけど、スタジアムは完全に日本のホームみたいな雰囲気だったよ。日本が事前キャンプ地をモンテレイにしたのは大正解だったね。

 街はとにかく日本一色で、空港から35キロ離れたスタジアムまでは「ようこそ日本のみなさん」の横断幕が続き、露店では偽物のメキシコ代表ユニホームと一緒に日本代表の偽物も山積みで売られていた。

 試合の2時間前くらいから「ハポン! ハポーン!(日本)」のコールが聞こえた。おそらく、ほとんどはメキシコ人だ。顔には日本の国旗、頭にはハチマキ、ナカタのシャツまで着ている強者もいたよ。

 スタジアムではメキシコ名物ウエーブも起こったけど、地元メディアによると、メキシコ戦以外でウエーブをしたのって、この試合が初めてなんだって。それもこれも全ては、日本が素晴らしいプレーを披露しているから。目の肥えたメキシコ人は、弱いチームのために時間を費やさないからね。

 日本は組織力のある勇敢なチームだ。ただね、第1戦のオランダ戦を見た時は、正直なところ、いつかどこかで見た映画みたいな気がしたんだ。相手に先制を許し、そこで日本は目覚め、必死で食らいついて追いつく。前大会のドイツ戦やスペイン戦も同じ展開だったよね。

 でも、そんなアンダードッグな戦い方はしなくていいんじゃないかな。日本には十分実力がある。その証拠に先制されても、たった数分で同点に追いついた。苦しんだ挙げ句の同点ゴールなんかじゃない。

 そろそろ日本が堂々とイニシアチブを取ってもいいんじゃないかなって思ったんだ。

 その矢先のチュニジア戦。日本は圧倒的な強さを見せた。開始すぐに先制。そのまま追加点を重ねた。

 でも忘れちゃいけないのは、今回のチュニジアはチームとは言えないほどの混乱状態だったってこと。初戦でスウェーデンに大敗後、代表監督が更迭された。1戦目で監督を交代させるなんて史上最速だよ。代わりに1試合10万ドル(約1600万円)といわれる契約でやって来たルナールは、経験豊富な監督だけど、彼の手にも負えなかった。

 世界が日本に注目するようになってきた。日本がこのW杯をクレージーにしてくれるのを楽しみにしている。だから、簡単に消えてはいけないんだ。がんばれ日本!

(Ricardo Setyon/ジャーナリスト)

▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ)埼玉県出身。通訳、翻訳家。1982年W杯でイタリア代表タルデッリに魅せられ、89年にイタリア・ローマに移住。「ゴールこそ、すべて」(スキラッチ自伝)など著書、訳書多数。