駒村多恵「母の同居介護を19年。キャスターの仕事と介護、どうしたら両立できるか考えて。今まで続けてこられた理由は」
朝の情報番組でお馴染みの駒村多恵さんは、仕事を続けながら、自宅でお母様を介護しています。「持続可能」をテーマに、両立を模索してきた日々を聞きました。(構成:菊池亜希子 撮影:川上尚見)
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「知ること」で不安が解消される
母の介護を始めて19年になります。娘の義務感で続けているわけではなく、やれるところまでやってみよう! と始めたら、案外、何とかなっているという感じです。
25年前に父が他界して以降、私は母と二人暮らし。洋服やアクセサリーが好きでお洒落な母に、撮影の日はいつもコーディネートを相談していました。アイテムを借りることも多く、今日も、このシャツとイヤリングは母のものなんですよ。
そんな母が進行性の病とわかったのは2007年。体調が悪いというので、一緒に病院を訪れたのがきっかけでした。医師からは「いずれ介護が必要になるけれど、今はまだ大丈夫」と。ですから、急に介護が始まったわけでなく、心の準備をする時間はあったように思います。
体を動かすことが進行を遅らせると聞いたので、公的機関が開催する体操教室など、楽しく体を動かせるアクティビティを探して、片っ端から申し込みました。母も楽しく通っていましたよ。行った先々で友達ができて、ときにはお茶して帰ってくることもありました。
このとき、私は32歳。当時は『ズームイン!!SUPER』という朝の情報番組に出演して忙しくしていましたが、介護があっても仕事だけは絶対に続けると心に決めました。金銭的な面でも大切でしたが、私が生きていくうえで、仕事は譲れないことだったのです。
母は私とこのまま一緒に暮らすことを望んでいましたし、私もそうしたいと思っていた。仕事と介護、どうしたら両立できる? 何が必要? と考えたとき、まず《相手》を知るべきだと思ったんです。
友人にもまだ経験者はおらず、私は介護についてあまりに何も知らなかった。だから、これから母がどうなっていくのか、そのとき何が必要なのかを知るために、介護福祉士の資格を取ることにしました。
介護福祉士は、介護に関する一定の知識や技能を習得していることを証明する、唯一の国家資格。幸い母は、病気がわかって数年は身の回りのことを自分でできる状態だったので、私も試験勉強ができた。
とはいえ、仕事は変わらずあるので、ふらふらになりながら、通信教育で2年、特養(特別養護老人ホーム)での実習を経て国家試験を受け、11年に資格を取得しました。
実習で食事介助や痰の吸引、排泄介助などを一通り経験できたことは大きかった。「知ること」は不安を解消してくれます。そんなわけで、母の介護が本格的になる頃には、私の準備は整っていたのです。いや、ギリギリ間に合った。(笑)
日々の暮らしをリハビリに
アクティブに過ごしていた母ですが、2〜3年経つと、徐々に転ぶことが増えて、要介護1と認定されました。
ある日、仕事から帰ったら、母がベランダで転倒していたのです。朝、私をベランダで見送ってくれたときに転んだらしく、そのまま6時間、起き上がれなかった……。倒れたまま動けなかった母の気持ちを思うと、今でもやりきれません。
季節が秋だったのは幸いでしたが、もし冬だったら、夏の猛暑日だったら、と考えると恐ろしく、日中も一人にできない段階にきていると実感したんです。
要介護として認定されましたが、私は日々の暮らしこそがリハビリになると考えていたので、母にはできるだけそれまで通りの生活を続けてもらいました。困ったことが起きたら、その都度対応するというやり方です。
たとえば、玄関で靴を履くのが難しくなったら、高めの椅子を探して置いたり。歩くのがつらくなってきたときは、廊下にいくつも椅子を置いて、疲れたらどこでも座れるようにしました。
ただ、これに関しては私、少しスパルタすぎたかな……。もう少し早く車椅子にすればよかった、と申し訳なく思っています。
ほかには、情報の入手にも苦労しました。最も効率よく幅広く教えてもらえるのは、地域包括支援センター。読者の皆さんも、お住まいの近くに必ずあるので足を運んでみてください。介護が必要になる前でも、いろいろ相談に乗ってくれる施設です。ただ、行政のものなので、踏み込んだアドバイスをもらうのは難しいことがあります。
私の場合、母に合うケアマネジャーさんを紹介してもらいたくて地域包括センターに相談したら、200人のケアマネさんが掲載された冊子を渡されて、「この中から選んでください」と。その先は立場上、助言してもらえないそうで、どうやって選べばいいの? ってなりました。
母には可能な限り積極的に動いて、今できることを維持してほしかった。そんなサポートをしてくれるケアマネさんにどうしたら出会えるか……。
当時私は、デイサービスの雰囲気を確かめるため事業所を見学していました。施設によって、リハビリを重視したり、レクリエーションを大切にしたり、方針はいろいろ。
その中で、本人の能動的な活動を重んじてくれると感じた施設の支援員さんに、「いいケアマネさん、ご存じないですか?」と聞いてみたのです。その方が「いいな」と思う人なら、わが家の介護に合うと思ったので。結果、大正解でした。
<後編につづく>
