先月28日に運用が始まった新たな防災気象情報ですが、災害の種類が河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4つにカテゴリーに分けられ、1から5までのレベルが付きました。

それぞれのレベルには、レベル3で高齢者等避難、レベル4で避難指示など、避難情報を紐づけています。

奄美で週末、まとまった雨も予想される中、新しい防災気象情報が始まってこの2週間、課題もみえてきました。

運用が始まった 新たな防災気象情報

先月28日に運用が始まった新たな防災気象情報。

県内では台風6号が接近した今月2日に初めて「レベル3大雨警報」、先週からの奄美地方の大雨で今月6日に「レベル4土砂災害危険警報」が初めて発表されました。

運用が始まって2週間。街では…

(20代 会社員)「あまり気にして見たことはない」

(10代 学生)「特別(警報)と危険(警報)がどっちが上なのか正直分かりづらい」

課題となる新しい情報の浸透

課題となる新しい情報の浸透。防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授は、もう1つの課題を指摘します。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)

「気象庁が出す気象情報と、住民避難に関する情報、市町村が本来出すべき避難指示や高齢者等避難というような情報を、ひもづけてしまったことが間違いだと思う」

気象情報と避難情報を紐づけていいのか?

つまり、気象情報と避難情報を紐づけていいのか?という点です。

新しい防災気象情報で、気象庁は注意報・警報などを5段階のレベルに振り分け、市町村が出す避難の情報と紐づけています。

例えば、気象庁が出すレベル3の警報なら高齢者等避難、レベル4の危険警報なら避難指示、最高の5・特別警報なら緊急安全確保に相当します。

市町村は気象庁のこうした発表をもとにして、実際に避難指示などの避難情報を出すかどうか判断します。

自治体は「警戒レベル4避難指示」も…気象台は「レベル2大雨注意報」

しかし、今月1日に奄美地方に接近した台風6号のケースでみると、奄美大島・瀬戸内町や与論町など10の自治体はその日の夕方までに「警戒レベル4避難指示」を出していました。

一方で、気象台はこの日、「レベル2大雨注意報」の発表にとどめていました。

気象台の発表にとらわれず 早めの判断

瀬戸内町は夜の避難は危険になるため、気象台の発表にとらわれず、早めの判断をしたといいます。

(瀬戸内町 土井一馬防災専門監)「何もなかったじゃないかと言われる可能性もあるが、空振り覚悟。何もなければそれでよしと思っている。ちゅうちょすることなく判断」

実際の避難情報に生じた“ずれ”

つまり、気象庁が発表したレベルと、実際の避難情報に生じた“ずれ”について、気象台は…

(鹿児島地方気象台 上園和幸防災気象官)

「気象台が出す注意報や警報は、(自治体が)避難情報を出すための参考情報、トリガーとなるような情報で、警戒レベルとイコールではない」

「市町村の対応が後手にまわるおそれもある」

井村准教授は、新しい防災気象情報によって、「市町村の対応が後手にまわるおそれもある」と懸念します。

(鹿児島大学 井村隆介准教授)

「行政が地域の実情、高齢者が多いとか、山がちだとか、早めに避難指示などいろんな情報を出せるよう法律としてはできているのに、気象庁(の情報)とひもづけることで、対応が後手にまわってしまう」

「(瀬戸内町などは)レベルにとらわれずに住民に対して避難の行動を促した、本来あるべき姿だと思う」

もう1つの課題…

そして、もう1つの課題が…。

洪水注意報と警報がなくなった点です。その代わりに「河川氾濫」の警報や注意報などが追加されました。

しかし、対象となるのは、県内では川内川・肝属川・万之瀬川・加世田川の4つの河川だけです。そのほか、中小の河川が氾濫しそうな場合は、大雨危険警報などとして発表されます。

8・6豪雨で氾濫を起こした川も

例えば、1993年の8・6豪雨で氾濫を起こした川も…

(記者)「こちら鹿児島市を流れる甲突川は河川氾濫ではなく、大雨の情報に含まれることになります。これに対して街の人の反応は…」

(80代)「この辺が氾濫しても?それ入ってないの?入っているのかと思った」

(70代)「(大雨警報などだと)そこまで(水位が)いかないと思ってしまう、油断しそうな気がする」

なぜ「大雨」の情報に?

なぜ、中小河川は「大雨」の情報に含めたのか?気象台は…

(鹿児島地方気象台 上園和幸防災気象官)

「大雨が降った時の浸水害・内水氾濫などと同じタイミングで中小河川の氾濫も発生するケースが多い。中小河川は大雨に関する情報の中で注意喚起」

(鹿児島大学 井村隆介准教授)

「『大雨』の情報の中にいろんなものが取り込まれ、かなり大きな問題。近年の地下空間の利用を考えると、とても大きなものが(大雨に)含まれた」

「避難指示が出ていなくても逃げなきゃいけない」

一方で井村准教授は、気象庁や市町村の情報だけに頼らないことも重要だといいます。

(鹿児島大学井村隆介准教授)

「(避難指示などが)遅れたからと言って法的に市町村に問えるかというとNO」

「逆に言うと、避難指示が出ていなくても逃げなきゃいけない、住民自身が」

災害から命を守るためには、避難のタイミングを自分で考え、判断することも大切です。