『俺のもつ焼ミナト』(手前の皿:左から)ナンコツ、カシラ、レバー、ハツ、タン (奥の皿)シロ 各275円 2日に一度、店主自ら芝浦を訪れ仕入れるモツは新鮮そのもの。部位ごとではなくタンからレバーまで丸ごと1頭分を仕入れている

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オフィス街ということもあり、昼は多くのビジネスマンで賑わう茅場町。しかし、この街が面白いのは夜なのです!江戸時代は酒問屋の街だった面影か、飲める店が点在。しかもコスパがいいんです。焼きとん、焼鳥、イタリアン……狙いを定めて飲み歩けば、帰るころには千鳥足!?

【もつ焼き】朝締め豚モツの無垢な旨さを三冷ホッピーで!『俺のもつ焼ミナト』

何気なく入った1軒で、心揺さぶられる味を見つけてしまった。

串を注文すると、傍らに置いてあったアルミのバットから取り出されたのが、まだ捌く前の豚のモツ。ピカピカのそれに目を奪われていると「今朝、締めたばかりなんだよ」と店主の千田裕之さんは誇らしげに披露してから包丁で切り分け、ちゃっちゃっと串打ちしていく。

「昼間の仕事があるから仕込みができなくってさ」と言うけれど、いやはや、そんな手仕事を眺めているのも飲んべえにとってはこの上ない肴だ。

近くでクリーニング店を営みつつ、店を開いたのが12年前のこと。学生時代に焼きとんの有名店で働いていた伝手で、問屋を通さず芝浦市場に足を運んで上物を仕入れている。

ほどなくやってきたレバー串に挑んでみればクセは微塵も感じず、甘みとコクは純そのもの。カシラもむちっとした弾力から、みずみずしいエキスがあふれてきた。

ナンコツ、カシラ、レバー、ハツ、タン、シロ各275円

『俺のもつ焼ミナト』(手前の皿:左から)ナンコツ、カシラ、レバー、ハツ、タン (奥の皿)シロ 各275円 2日に一度、店主自ら芝浦を訪れ仕入れるモツは新鮮そのもの。部位ごとではなくタンからレバーまで丸ごと1頭分を仕入れている

そこへすかさず三冷ホッピーをプッハー!旨いを超えた快感が身体の芯を突き抜けた。こんな店との出合いがひょっこりあるから、街歩きはやめられない。

『俺のもつ焼ミナト』店主 千田裕之さん

店主:千田裕之さん「串4本+小鉢+お酒で1400円の”おつかれさまセット”もあるよ!」

『俺のもつ焼ミナト』

[店名]『俺のもつ焼ミナト』

[住所]東京都中央区日本橋茅場町2-14-5

[電話]03-6661-6672

[営業時間]17時半〜21時(20時半LO)

[休日]土・日・祝

[交通]地下鉄日比谷線ほか茅場町駅3番出口から徒歩2分

【イタリアン】軽く1杯に食事も自由な雰囲気と端正な料理に唸る『Maripol(マリィポール)』

通りと通りをつなぐ狭い路地にふと控えめな看板を見つけた。中に入るとクラシカルな造りのカウンターにはひとり静かにグラスを傾ける紳士の姿。向こうでは妙齢の女性が賑やかにテーブルを囲んでいる。オープンから3ヶ月という新店ながら、もうすっかり街に馴染んでいる様子。

黒板を埋め尽くすメニューはイタリアの郷土料理がベース。

「骨髄のコンビーフ」はオッソブーコをイメージしつつ、メインでなく軽い温菜に。一方「蝦夷鹿のロースト」は干した野菜と一緒にペーパーで包み、オーブンで蒸し焼きにすることで互いの風味を交差させる。

蝦夷鹿・山のロースト干し野菜の紙包み2100円、牡蠣バター1380円

『Maripol(マリィポール)』(手前)蝦夷鹿 山のロースト 干し野菜の紙包み 2100円 焼き色をつけた鹿肉を干し野菜と一緒にオーブンへ。蒸し焼きすることでふっくらと仕上げる (奥)牡蠣バター 1380円 たっぷりの澄ましバターでアヒージョ風に。残ったソースで背徳のリゾットにいくのもあり!

料理長・水井篤志さんが料理に散りばめた”そう来たか!”と思わせる楽しい発想がワインをもっと進ませる。

そうそう、ワインは北から南までイタリア全州のボトルを揃え、3千円台からと手頃に用意されているし、もちろんグラスでも。この店は誰もが自由にのびのび過ごせる、とっておきの場所なのだ。

『Maripol(マリィポール)』料理長 水井篤志さん

料理長:水井篤志さん「シャルキュトリやパンもすべて手作りです」

『Maripol(マリィポール)』

[店名]『Maripol(マリィポール)』

[住所]東京都中央区日本橋茅場町2-3-7

[電話]03-6206-2112

[営業時間]17時〜23時(フード22時、ドリンク22時半LO)

[休日]日・祝

[交通]地下鉄日比谷線ほか茅場町駅2番出口から徒歩2分

【ビストロ】立ち飲みも食事も懐深く寄り添う心躍るワイン酒場『かめじま商店』

立ち飲みとしての気軽さも、レストランとしてのくつろぎも、さらにはクラフトビールやナチュラルワインのセレクトショップとしての楽しさも丸ごとぎゅっと詰め込んだ「大人が遊べる酒場」がテーマのひとつ。

カジュアルに”酒場”というけれど、キッチンから繰り出される料理のクオリティにいちいち驚かされる。

定番のレバームースだって、添えられているのがバゲットでなく自家製のパンドエピス。ほんのり甘くスパイシーな香りがレバーの風味を複雑に引き立てて、最強のワイン泥棒だったりする。

さらに金華豚のローストは、しっとり薄紅色に仕上げた火入れの妙はもちろん、添えられた春菊ソースのほろ苦さと青い香りが爽やかに春を告げてくる。

金華豚のロースト・ホタルイカのマリネ4600円

『かめじま商店』金華豚のロースト ホタルイカのマリネ 4600円 皿の中は春爛漫。ホタルイカは金華豚と一緒に頬張ればプチッと弾け、それ自体がほろ苦いソースにもなる

ワインはおまかせもありだけど、せっかくなら冷蔵庫から好みのボトル(抜栓料1人550円)を選んでみては?

ちなみに土曜の営業は12時から。静かなビジネス街でゆるゆる過ごすのももってこいだ。

『かめじま商店』テーブルやカウンター席のほか、スタンディングエリアもあり

[店名]『かめじま商店』

[住所]東京都中央区日本橋茅場町1-12-11・1階

[電話]03-6661-7253

[営業時間]16時〜22時(フード21時、ドリンク21時半LO)、土:12時〜18時(フード17時、ドリンク17時半LO)

[休日]日・月

[交通]地下鉄日比谷線ほか茅場町駅3番出口から徒歩1分

【和食】心を和ます家庭的な惣菜とダシ薫るおでん『煮炊きや おわん』

カウンターにずらっと並んだ色とりどりのおばんざいに目が釘付け。初手はこれらをつまみながらチビチビ行こう、なんて想像を巡らせるだけでニヤけてしまう。

おばんざい盛り合わせ1850円(若竹煮、ごぼうの梅煮、春雨のピリ辛中華和え、なすの焼き浸し、もずくの和え物、ニラ豚炒め)

『煮炊きや おわん』おばんざい盛り合わせ 1850円 (手前から)若竹煮、ごぼうの梅煮、春雨のピリ辛中華和え、なすの焼き浸し、もずくの和え物 (中央)ニラ豚炒め おばんざいは毎日6種類前後を用意。飾り過ぎない日常の味にほっとする。日本酒は食中酒になる味わいを中心に、その時々で入れ替えながら用意している

日々せっせと料理を作るのが管理栄養士の資格を持つ店長・紀伊野りかさん。野菜中心という健康面のありがたさに加え、酸味を効かせたもの、ピリ辛なもの、ちょっと甘いものと、それぞれにつけられた味の緩急がスムーズに日本酒を誘ってくる。

そうこうするうち、誰かがおでんを注文した。鍋の蓋を開けると小体な店内のすみずみまでダシの香りに包まれて、たまらない気持ちになってくる。カツオ節と昆布に調味は塩だけ。それでも練り物や大根などの具材のエキスがにじんだ汁はクリアな中にもコクがあり、なんなら水筒に詰めて持って帰りたくなる。

家庭的でありつつも、どこか洗練された料理たち、さらにこの店を取り巻く柔らかな空気感が訪れる人の心をふっと和ませてくれるのだ。

『煮炊きや おわん』店長 紀伊野りかさん

店長:紀伊野りかさん「1名様から飲み放題付きのコースあります!」

『煮炊きや おわん』

[店名]『煮炊きや おわん』

[住所]東京都中央区日本橋茅場町2-5-11

[電話]03-3669-2888

[営業時間]11時半〜13時半LO、17時半〜23時(22時LO)

[休日]土・日・祝

[交通]地下鉄日比谷線ほか茅場町駅2番出口から徒歩2分

【焼鳥】丁寧な串打ちと焼きの技が伝わるお値打ちコース『日本橋 鳥久(とりきゅう)』

シンプルがゆえに丁寧な仕込みと焼き手の技量が試される焼鳥。やってきた串を目にした瞬間、旨さを確信した。なぜなら身は整然と串に並び、ほどよい焼き色をまといながらパンッと張っている。いざ、とばかりに頬張れば紀州備長炭のおだやかな香りから、表面よりもなお熱々の肉汁が飛び出してきた。

満腹やきとりコース4378円(もも肉、鳥久だんご、ぼんちり、手羽、うずら、砂肝、レバー、ささみ)

『日本橋 鳥久(とりきゅう)』満腹やきとりコース 4378円 (手前の皿:左から)もも肉、鳥久だんご、ぼんちり、手羽 (奥の皿:左から)うずら、砂肝、レバー、ささみ (ささみ)本わさびをのせ香り高く。 (砂肝)塩の加減も絶妙で身の味を引き立てる。(もも肉)ネギとシシトウも入って食感にアクセント。(ぼんちり)強めの脂を白髪ネギでさっぱりと

とりわけ名物の串が「だんご」。親鳥と若鶏を粗挽きにして、つなぎ無しでまとめ上げたそれは、ランダムな食感の面白さから鶏の滋味がぐっと膨らんでくる。

にしても昨今、高級化が進む焼鳥でサラダや〆までついたコースがこのお値段というのもありがたい。口開けからほぼ満席という人気ぶりも大いに納得だ。

ふと気づけばスタッフは接客も焼き手も東南アジアの若者が中心。というのもこちらの店主は縁あってミャンマーに日本語学校を立ち上げ、両国をつなぐ役割も担っているのだ。一生懸命に働く彼らの姿に、こちらも活力をもらえそう。

『日本橋 鳥久(とりきゅう)』焼き手 アウン・リン・ウーさん

焼き手:アウン・リン・ウーさん「日本酒のほか、焼酎もたくさん揃えています」

『日本橋 鳥久(とりきゅう)』

[店名]『日本橋 鳥久(とりきゅう)』

[住所]東京都中央区日本橋茅場町3-8-10リベラ茅場町ビル地下1階

[電話]03-6661-0451

[営業時間]11時半〜14時(13時半LO)、18時〜22時半(21時半LO)※土は17時半〜

[休日]日

[交通]地下鉄日比谷線ほか茅場町駅2番出口から徒歩3分

夜の茅場町へ繰り出す前に!公園で癒される

住所はギリ兜町になるけれど、茅場町駅からすぐの場所にあるのが「坂本町公園」だ。

『坂本町公園』

この場所は江戸時代には熊本藩細川家の屋敷として利用されていた土地で、明治期の武家地収公にともなって官有地へ。そして明治22年、東京における最初の市街地小公園として開設された由緒ある公園なのだ。

関東大震災や昭和の空襲などの災害時には、住民の避難場所としても活用され、さらに2021年には大々的にリニューアル。5000平米を越える広々とした園内にはガラス張りの「兜町・茅場町まちかど展示館」も造られ、祭りの時に使用される神輿や山車を直近に眺められる。

『兜町・茅場町まちかど展示館』

また園内にはなだらかな丘や小川も整備され、都心とは思えぬ田園風景を再現。しかも、この公園ならではなのが、ゴザの無料貸し出しを行っていることだ。

園内は飲食も可能(常識の範囲内で)なので、天気が良ければ周囲の店で弁当やコーヒーなどを購入し、ゴザを敷いてピクニック気分を楽しめる。午後のひと時をゴロ寝して過ごすのもいいだろう。これからの季節にぴったりだ。

『坂本町公園』ゴザの無料貸し出し

『坂本町公園』

[施設名]『坂本町公園』

[住所]東京都中央区日本橋兜町15-3

撮影/小島昇、取材/菜々山いく子

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

※画像ギャラリーでは、茅場町で出合った絶品料理の画像をご覧いただけます

※月刊情報誌『おとなの週末』2026年5月号発売時点の情報です。

【画像】親鳥と若鶏の合い挽き串が旨い! 夜飲みが楽しい茅場町のオススメ店5選(39枚)