総務省

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テレビ局の将来像について議論する総務省の有識者会議は、同じ地域の民放テレビ局の経営統合を認める報告書案を了承した。特定地域で1つのテレビ局が複数の放送チャンネルを兼営・支配することが可能となる。

これまでテレビ局には「マスメディア集中排除原則」が適用されてきた。表現の自由と多様性の確保を目的に、特定事業者による複数局の支配を制限したもので、この原則を緩和することになる。

マスメディア集中排除原則は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)がアメリカの制度に倣って設けられたものだ。しかし、アメリカでは衛星放送やケーブルテレビなどメディアの選択肢が増えたことから、1999年の法改正により規制緩和された。

全国122の民放ローカル局の売り上げは、この20年、下落傾向にあり、2024年度は50億円以下の局が約半数となった。キー局の系列ネットワークに属する109局の売り上げは、キー局などの番組を放送することでキー局から得られる「ネットワーク配分金」を含む放送広告収入が9割以上を占めている。しかし、テレビ離れや人口減少などによる広告収入減少で経営は悪化している。

ローカル局再編成で経営基盤強化

ラジオは2011年以降、同一地域内での兼営・支配が可能になった。テレビについても規制を緩和し放送局の経営の選択肢を広げる。総務省にはローカル局再編によって経営基盤の強化につなげる狙いがあるようだ。

ローカル局は経営統合することで、組織や拠点の共通化によるコスト削減が可能になる部分はある。例えば、各ローカル局は東京に「東京支社」を抱え、社員を常駐させて、報道や広告営業のために動いている。こうしたバックオフィス部門を共有させれば、少しは効率化が図れる。しかし、総務省の調査でも、これだけでは劇的な経費削減は難しいとの声が出ている。

今回の総務省の規制緩和に先立ち、昨年4月には日本テレビ系列で大きな動きがあった。持ち株会社「読売中京FSホールディングス」が設立され、そこに札幌テレビ、中京テレビ、読売テレビ、福岡放送の4社が傘下に入って経営統合を進めている。日本テレビHDが読売中京FSHDの株式20%以上を保有している。

規制緩和は経済的な利益は大きいものの、特定の企業が複数のメディアを保有する懸念も指摘される。その1つがSBIホールディングスだが、北尾吉孝会長兼社長は昨年、メディア統括会社「SBIネオメディアHD」を設立し、「金融とメディアの融合」を進めている。また、昨年7月の決算発表会見でも、メディア企業の買収に関して「地方メディアも視野に入っている」と明らかにしている。

金融業界ではすでに地銀の大規模な再編が行われたが、金融に限らず他の業界で起きたことが、放送業界でも数十年遅れで起きようとしている。

文/横山渉 内外タイムス