(左から)神山智洋、宮野真守

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 俳優、声優、アーティストとして多彩なフィールドで活躍を続ける宮野真守。WEST.としての活動はもちろん、ソロでも俳優として確かな存在感を放つ神山智洋。演技、ダンス、そして歌唱力と三拍子がそろった二人が、劇団☆新感線の舞台にカムバックする。稽古がスタートし、“マモちゃん”“神ちゃん”と呼び合うことがこの日決まった宮野と神山に話を聞くと、さすがのエンターテイナーぶりで笑いのあふれたインタビューとなった。

【写真】カッコよすぎる!宮野真守&神山智洋、撮りおろしショット

◆久しぶりの新感線の稽古場で感じた“新感線あるある”が楽しい!

 2026年劇団☆新感線46周年興行・夏公演 SHINKANSEN☆RSP 怪奇骨董音楽劇『アケチコ!〜蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島〜』は、大正浪漫を感じる時代設定と江戸川乱歩が描いたようなほの暗い匂いが漂うスチームパンクの世界で、アケチコ五郎(宮野)と新田一耕助(神山)の2人の探偵をはじめ、一癖も二癖もある変な人物たちが、ある歌劇団のトップが絡んだ失踪事件の謎に迫る物語。生バンドの演奏で、歌あり、踊りあり、アクションありのドタバタ音楽活劇ミステリーを届ける。

 外部の作家としては4人目の登板となる福原充則が脚本、演出はいのうえひでのりが担当。宮野、神山のほか、石田ニコル、浜田信也、志田こはくがゲスト参戦し、古田新太、粟根まことら劇団員と、新感線ならではの世界観を作り上げる。

――稽古が始まり、現在の心境はいかがですか?

宮野:福原さんが「これぞ劇団☆新感線というものを想像して書いた」とおっしゃっていましたが、本当にその通りで。劇団☆新感線を好きな人が、劇団員の皆さんを思い浮かべながらセリフを綴っているんだろうなと台本を読んだ時点でその思いが伝わってきました。

皆さんがどんな風に本読みをされるのかワクワクしていたのですが、やっぱり面白くて。想像以上のやり取りが見られて、これは面白いものになるなと思いました。と同時に、今回演じるアケチコは「きっと宮野ってこういう風だろうな」というイメージから出てくるキャラクター性だったりすると思うので、そこをどう超えて、面白いキャラクター性としてちゃんと成立させられるのだろうかと勝手にプレッシャーも感じていました。

でも本読みで古田さんが、女装家のアンダルシアン・クーガーという役をすごくフラットに、ナチュラルに読まれているのがとても素敵で。今回古田さんと共演させていただくのは初めてなので、ここからいろいろ肉付けしていくのか? いや、しないのか? これが芝居の本質なのか?など推察したりして(笑)。そんな状況も面白く感じています。

神山:10年ぶりの劇団☆新感線ですが、皆さん両手を広げて迎え入れてくださるんですよ。それがうれしかったですね。すごくアットホームな空気感の中で、やっぱり緊張もしているし、めっちゃ構えて台本を読みながら、自分の中でこんな感じかな、あんな感じかなと考えながら読んでしまうんですけど、本読みの日にそうした考えてきたことを1回全部捨てようと思いました。実際にやっていかないと分からないこともいっぱいあるので。役の解釈は台本をもらって読み始めた時といのうえさんの演出が付いた今とでは180度変わりました。

本当にこんなに幸せオーラというか、多幸感にあふれた本読みというのはなかなかないと思います。みんな笑ってて、面白くて、もう出来上がってるやん!っていう感じで。たくさん刺激をもらっていますし、自分にできることは何なのかを探しながら稽古している最中です。

――宮野さんは4年ぶり、神山さんは10年ぶりの劇団☆新感線参戦です。久しぶりに感じた“新感線あるある”はどんなことでしょうか。

宮野:おなじみのスタッフの皆さんがいらっしゃるのですが、あの時のカンパニーグッズをまだ着ている!と思ったり(笑)。

神山:分かります! めっちゃ物持ちいいやん!って(笑)。

宮野:そういう場面でキュンとするんです(笑)。あとは歌稽古がミュージカルの歌稽古とは全然違うんですよね。歌唱指導の右近(健一)さんがすごく褒めてくださるのですが、ちゃんと歌えていたかな?と思っても「うん、完璧。何も言うことないです」と言ってくださってあっという間に終わったりするんです。そういうところでも新感線に帰って来たなと実感します(笑)。

神山:演出のいのうえさんがご自身で実際に動いて稽古を付けてくださるのは、他のカンパニーではなかなかないこと。実際に立ち稽古が始まって、いのうえさんの稽古を自分の目で見て肌で感じた瞬間に「うわ、新感線や!」って思いました。

宮野:シンキングタイムがあるんです、いのうえさんの。

神山:稽古が始まって10分後に1回休憩が入ります。いのうえさんが演出を考えるシンキングタイムに入るので。でもやっぱりいのうえさんはすごいですよ。頭の中がいろんな想像でいっぱいなんでしょうね。

あといのうえさんは「こういう風にセリフを言って」と、口伝えでイントネーションを教えてくださるんですけど、何度やっても「違う」「いや、違う」と言われて。自分では何が違うのかよく分からなくてなぞるのに必死になるんですけど、それも新感線だなと感じます。

宮野:いのうえ千本ノックね(笑)。みんなが好きな“劇団☆新感線節”みたいなものがあるじゃないですか。あれってやっぱり“いのうえ節”なんですよね。

◆あふれ出る“劇団☆新感線愛”の源は「エンタメが好き」ということ


――お二人の言葉から“劇団☆新感線”愛があふれていますが、それはどんな思いから生まれるものなのでしょうか?

宮野:やっぱり僕、エンタメが好きなんですよね。なので、46年間まっすぐにエンタメをやり続けるエネルギーはもう大大リスペクトでしかないです。観に行くたびにエネルギーを感じて、自分だったらあそこでどうできるかなと考えたりして、やっぱり僕は劇団☆新感線に出たいんだなと再確認してしまうというか。

小細工なしで全力で生きないと表現しきれない舞台があって、本当に疲労したらこういう体や声になるということが命がけでやることで分かり、そこに演じるということの答えがある。そういったことを劇団☆新感線の舞台からたくさん学ばせてもらったので、その経験が大きいのかもしれないです。舞台って3、4時間を通してその役の人生を生きるわけじゃないですか。4時間全力で生きて表現することの素晴らしさ、命の輝きみたいなものを感じて、僕は役者としてたくさん勉強することができたなと思います。

神山:新感線にしかないエンタメっていうのがあるんですよ。観ていてワクワクするし、長めの公演時間を感じさせないくらい没入感もある。そういうところがエンターテインメントの世界に生きる人として惹かれるというか。

メンバーに「質のいい中二病」って言われるんですけど、中二病気質なんです。チャンバラも好きですし、ヤンキーとかもめっちゃ好きで。

宮野:新感線に詰まっているやつだ。

神山:そうなんです。今回も雰囲気は違いますけどそういった要素もありますし、僕の好きが詰まってるんです。

あと、新感線で一番好きと言っても過言ではないのが、タイトルが出るところ。あれ、毎回ワクワクしません?

宮野:すごい分かる!

神谷:お、来た来た!ってなって惹きこまれるんですよね。今回も、なるほど!ここか!と思う場面で来るのでぜひ期待していただきたいです。

◆“マモちゃん&神ちゃん”でカンパニーを巻き込み空気感を作っていきたい


――初共演となるお二人ですが、今後どうコミュニケーションを取っていきたいですか?

宮野:神ちゃんが演じる新田一は本当にチャーミングなので、稽古場でちょっと顔を合わせるようなシーンだけでも楽しいんですよね。アケチコと新田一はバディではないので相談しながらやるというよりは、役の深め合いみたいなことができたら楽しそうだなと感じています。稽古場で神ちゃんの素敵な仕草やパフォーマンスを見て、いいなと思うことがたくさんあるからこそ、お芝居のこともたくさん話していけたらなと思います。

神山:お芝居のことはもちろんですけど、お芝居とは全く関係のないこともたくさん話したいですね。お互いの関係値ってやっぱりお芝居に出てしまうと思うんですよ。カンパニーの空気感を作り上げていくことは大事だと思うので、マモちゃんはじめ皆さんとフランクにいろいろ話していきたいです。まずはみんなでご飯に行きたい(笑)。

――神山さんから見た宮野さんの印象はいかがですか?

神山:本当にアケチコが魅力的で。声のお仕事もされているので声を使うのが本当にお上手なんですよね。僕の想像していたアケチコ像よりはるかに素晴らしいアケチコで見ているだけで楽しいです。どちらかというと新田一はアケチコに噛みついていく感じなのでその関係性をどう見せていくか、アケチコを立てつつ新田一をどう演じるか、今めちゃめちゃ考えてる段階です。

――古田新太さんとは、お二人とも初共演となります。上演発表時のコメントで古田さんは、宮野さんを「変態」、神山さんを「真面目」と評していました。

宮野:ご本人にお聞きしたのですが深かったです。僕が思っていたイメージの“変態”の意味合いだったのでうれしかったですね。

最初は「だってマモ、脱ぐの好きやろ?」と言われて(笑)。ライブで服をバッとはだけさせていたのを見たらしく、「いや違うんです。あれは仕事です(笑)」と。その後に、役者が持つ変態の意味合いをお話していただいたので、なるほどな、ありがたいなと思いました。その思いに応えられるように、変態でありたいなと思いましたね(笑)。

今回の作品はミステリー、探偵ものということで変装があるのかな?と皆さんいろいろ想像すると思うのですが、どんなものにも変われるというのは本作のキーポイントなのかなと思います。

――今回脱ぐシーンは…

宮野:ないです、ないです! 古田さんが「マモ脱ぐの好きやろ?」とおっしゃるかもしれませんが、今のところはないです(笑)。

――神山さんはいかがですか?

神山:きっと舞台を拝見してご挨拶させていただいた時の印象だと思うんですよね。

でもメンバーにも「真面目が服を着て歩いている」と言われたりもするので当たっていると思います。

――真面目な質のいい中二病なんですね。

宮野:新田一にぴったりかも!

神山:福原さんがあて書きだとおっしゃっていたので、もしかしたら福原さんもそういう風に思ってくれていたのかなと点と点が線で繋がりました。ありのままで演じた方が新田一を捕まえることができるかもしれないですね。

――最後に、今回の物語は黒ダイヤ歌劇団のトップ争いをめぐる事件が描かれますが、お二人がこれだけは誰にも負けない!ここはトップだ!と思っていることはありますか?

宮野:大喜利ですか…。

神山:違う、違う!(笑)

宮野:なんだろう…。“気にしい”なところですかね。

――気遣いの人というイメージはあります。

宮野:人にどう思われているのか、すごく気になってしまうので、自分にとっては欠点だと思っています。ただ、これが今までの自分を形成しているのかな、自分のハングリー精神にも繋がっているのかなと、この仕事をやっているからこそのポジティブ変換はできますが、あまり自分では気持ちよくはないですね。今自分が喋ったことを、どう思われたのかな?と考えてしまって…。

神ちゃんは身体能力? グループの振り付けもやられていて、アクロバットもできて。立ち稽古をしていてもやっぱりすごいなと思います。

神山:いやいや…。でも僕、球技苦手なんですよ。バッティングセンターに行っても全然当たんないですし、サッカーのリフティングもダメですね。自分の体を使って何かするのはできるんですが、道具を使って何かするのはめっちゃ苦手。不思議ですよね。動体視力がないんですかね。あと、僕泳げないです。

宮野:僕も泳げない! じゃあ、トップだと思うものは?

神山:う〜ん。甘いもの好きとかですかね。

宮野:あんなにブラックコーヒー好きなのに?

神山:一緒に飲むのはブラックコーヒーや無糖の紅茶がよくて。甘いものはずっと食べられる。メンバーからは「やってる、やってる。無理してキャラ作ってる」って言われるんですけど、そんなことなくて本当に大好きなんです。

宮野:ケーキ1ホールもいけちゃう?

神山:全然いけます。おすすめの差し入れスイーツもいっぱいあるので期待していてください!

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)

 2026年劇団☆新感線46周年興行・夏公演 SHINKANSEN☆RSP 怪奇骨董音楽劇『アケチコ!〜蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島〜』は、東京・EX THEATER ARIAKEにて6月12日〜7月12日、福岡・キャナルシティ劇場にて7月24日〜8月8日、大阪・フェスティバルホールにて8月20日〜30日上演。