画像:朝日放送テレビ『エラー』公式サイトより
 志田未来は4月12日から放送が開始された新ドラマ『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で主演を務め、これで前クールで放送された『未来のムスコ』(TBS系)に続き、2期連続で主人公を担当したことになる。なぜ今、志田未来が“再注目”されているのかを考えたい。

◆天才子役という肩書には収まらない活躍

 志田といえば、2005年に放送されたドラマ『女王の教室』(日本テレビ系)で一躍脚光を浴び、『探偵学園Q』(同、2006・2007年)といった話題作にも出演。そして『14才の母〜愛するために 生まれてきた』(同、2006年)では、一ノ瀬未希という14歳で妊娠・出産を経験する難役を見事に演じきり、橋田賞の新人賞を史上最年少の13歳で受賞して世間を驚かせた。天才子役という肩書には収まらない活躍を見せ、10代前半にしてトップ俳優の地位を確立した。

 若くして主演を任されるケースが目立ったが、安定してドラマや映画に出演し続けているものの、徐々にメインどころを演じる機会は減っていく。もちろん、「仕事をセーブしたい」といった本人側の意向があった可能性もある。

 しかし、そういった可能性は一旦置いておいて、なぜ主演作品が減ったのかを考えると、やはり小さい時に活躍しすぎたことが挙げられる。子役時代に活躍した役者を見ると、どうしても過去のイメージに引っ張られ、今演じているキャラをフラットに見ることはできない。

 とりわけ、『14才の母』のインパクトはすさまじく、志田が演じる役を見るとどうしても“14歳で妊娠する役の人”というノイズがちらつく。視聴者の視点をぶらしてしまう。

◆20代で主演が減っていた、もう1つの要因

 また、主演作品が減った要因には、同世代の俳優たちの台頭も影響している。志田は現在32歳。有村架純、土屋太鳳、清野菜名、奈緒、松岡茉優、伊藤沙莉、吉岡里帆など、今や誰もが知る31歳〜33歳の層には、主役級の俳優がひしめき合っている。

 これだけ名だたる顔ぶれの中で、一番初めに頭角を現したのは志田だ。ただ、20歳前後が演じることの多い高校生や新入社員といった「フレッシュさ」が求められる役どころでは、あまりにキャリアが十分すぎる彼女は、制作側からすると逆に起用しづらかったのかもしれない。

 他の俳優たちが持つ「新鮮味」を10代のうちに使い切り、20代にして早くも「熟練の域」に達してしまった。今の活躍は、そんな早熟ゆえの葛藤期を経て、実年齢がキャリアにようやく追いついた結果と言えそうだ。

◆ ドラマ界が志田未来を手放さない理由

 次に、最近になって主演を任されるケースが増えた背景を考えたい。やはり『女王の教室』などの話題作から20年が経ったため、かつての役のイメージが薄まったことが大きい。今の志田を見て、『14才の母』の未希の面影がちらつくことはあっても、志田がやっている役と重ねることはもうない。また、年齢的にもアラサーの役を演じるケースがほとんどなので、フレッシュさを求められることもなくなった。

 そして何より、演技力の高さが一番影響している。『未来のムスコ』では、ある日未来からタイムスリップしてきた息子の母親になる売れない俳優・汐川未来を演じた。ひもじい生活を送る様子からは悲壮感がうかがえるが、どこかポップさがあって見ていられる。加えて、母親としての優しい側面も表現しており、安定した表現力を見せた。

『エラー』では、母親を誤ってビルの屋上から突き落として死なせてしまった中田ユメ(畑芽育)と友情を深める大迫未央を演じている。最愛の母親を失い、人生のどん底に突き落とされるも、何とかはいずり回って生きていこうとする未央の姿にはグッとくる。コメディタッチな『未来のムスコ』でのポップな母親役から一転、『エラー』で見せるシリアスな演技。この振り幅の広さこそが、今のドラマ界が彼女を手放さない理由だろう。