サブロー監督(向かって右)と黒木知宏投手コーチ

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 ソフトバンク、オリックス、楽天が0.5ゲーム差でひしめく(21日現在)など、混戦模様のパ・リーグ。一方で、開幕から低迷、10敗一番乗りを喫し、最下位に沈んでいる(同)のがロッテである。サブロー監督が就任し、昨年の6位からの巻き返しを狙うマリーンズ。新指揮官は「昭和の野球」「厳しさ」をスローガンにシーズンに入ったが、今一つ波に乗れていない。加えて、カメラに捉えられたベンチ内での行動が波紋を呼ぶことになった。

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「リーダーの資質がない」

 4月21日時点でロッテは、9勝13敗の借金4。最下位に低迷している。

サブロー監督(向かって右)と黒木知宏投手コーチ

 問題となったのは、4月12日の西武戦(ベルーナ)。1点リードの9回2死二塁で源田壮亮を打席に迎え、カウントが3ボール1ストライクとなったところで、ロッテサイドは決断を迫られた。一塁が空いているため、源田を歩かせて次の打者と勝負する選択肢があるため、バッテリーの意見を聞こうとしたのだろう。黒木知宏投手コーチがベンチを出ようとしたが、サブロー監督がユニフォームの肩袖を掴むとそのまま引っ張って後ろにひっこめた。

 この決断は結果的に裏目に出た。源田に同点適時打を浴びると、延長戦の末にサヨナラ負けを喫した。こうした展開にファンもストレスを感じていたのだろうか。サブロー監督の黒木コーチに対する行為が映像で流れていたため、SNS上では「目上の黒木コーチにあの態度はない。ベンチから向かうのを制止するなら声を掛ければいいだけでしょう」、「リーダーの資質がない。どんな理由があるにせよあんな態度は許されない」など批判の声が殺到する事態になった。

バラバラになるのは一瞬

 サブロー監督は、2軍監督時代、1軍ヘッドコーチ時代を通じて「昭和の野球」を標榜。就任会見でも、「昭和の厳しいスタイル」への回帰を宣言していた。

 ロッテOBが起用の理由を解説する。

「前前任の井口(資仁)、前任の吉井(理人)は共にMLB経験があり、選手の個性を伸ばすメジャー式の指導法でしたが、結果として強さを持続できず、柱になる選手も育っていない。練習の質だけでなく量を求めるサブローの下で、個々のレベルアップ、総合力を高めたいというのが球団の狙いでしょう。手法は異なりますが、新庄監督が再建した日本ハムのように常に優勝争いに絡む球団を構築するのが理想ですね」

 もっとも、現在の球界はその新庄監督のようにモチベータータイプの指導者が評価される時代でもある。厳しさを前面に出すサブロー監督の就任には、期待の声もある反面、選手やベンチが委縮しないか、と不安視する声もあった。サブロー監督はPL学園の出身。PLと言えば、鉄拳制裁を辞さない厳しい練習と上下関係で有名だが、近年、同高出身のスター選手が監督に就任するものの、残念な結果に終わる例が相次いでいる。「昭和スタイル」への不安が、「鷲掴み騒動」で早々に露呈してしまったわけだ。

 前出のOBも、行動の影響について不安要素を語る。

「今の投手陣には、エースの種市(篤暉)など、黒木コーチを慕う投手が多いのでどう感じるか。“監督はああいう人なんだ”と思われたら距離が離れる。選手は敏感ですよ。(ボビー)バレンタイン(監督)の時も日替わり打線で勝っていたからチームはまとまっていたけど、個々の選手たちの仲は良くなかった。負けが込むと、バラバラになるのは一瞬です」

ジョニーに甘えていた

 なぜ、サブロー監督はあのようなふるまいに出てしまったのか。

 サブロー監督は49歳で、黒木コーチは52歳。2人は同期入団の間柄だ。現役時代に共にプレーした別のロッテOBは、2人の関係性についてこう語る。

「サブローはPL学園からドラフト1位、ジョニー(黒木コーチ)は社会人野球の新王子製紙春日井から逆指名によるドラフト2位で入団しましたが、仲良しでしたよ。ジョニーはマウンドに立つと負けん気が強いけど、普段は宮崎弁でおっとりとした話し方で先輩、後輩分け隔てなく愛されていた。サブローもジョニーに甘えていた。生意気な弟みたいなキャラクターで、ジョニーもかわいがっていました。今も関係性は変わらないと思いますよ。ユニフォームをつかんだ映像を見ましたが、サブローは他のコーチだったらやらない。距離が近い関係性だから出てしまった部分があると思います。本人は反省しているでしょう。ジョニーに謝ったんじゃないですかね」

根っこは情熱的な人

 サブロー監督の現役時代の印象深い活躍は、「つなぎの4番」で31年ぶりの日本一に輝いた05年だ。打率.313、14本塁打、50打点をマーク。ロッテを取材していたスポーツ紙記者は「私利私欲がない性格」と表現する。

「チームの勝利に貢献することにフォーカスし、個人成績に興味を示さなかった。4番で起用されても、状況に応じて進塁打を打っていましたしね。契約更改の場でも自分の年俸より、球場の施設の改善や優勝するための戦力補強を訴えていました。当時のフロント陣の中には、そんなサブローを煙たがる人もいました。11年のシーズン途中に巨人へ電撃トレードされた際は球団の苦しい経営事情で高年俸の選手を放出せざるを得ないという論調で報じられましたが、それだけではない。球団の上層部からみると、衝突を恐れずにモノを言うサブローの印象が良いとは言えなかった」

「チームの顔」だったサブローの放出に、ファンから批判の声が球団に殺到する事態に。11年オフに当時のフロント陣が刷新され、FA権を行使してロッテに復帰した。

 16年限りで現役引退後は楽天のファームディレクターなどを経て、23年にロッテの2軍監督に就任。昨年のシーズン途中に1軍ヘッドコーチに昇格し、今年から監督に就任した。昨年の秋季キャンプでは「昭和流キャンプをやろうと思っている」と練習量を増やして心身共に追い込むことを宣言していたが、実際はどうだったのだろうか。

「ロッテは伸び盛りの若手が多い。体力があるし、シーズンオフの秋は多少のケガをしてでも自分を追い込んだ方がいい。サブロー監督は練習量が必要だと感じたのでしょうけど、ブレーキはきっちりかけていましたね。20、30年前と同じ練習量を求めていたら今の選手は壊れちゃいますから。言葉は厳しいけど、内面は優しいですよ。ミスをした選手を頭ごなしに怒ることがないし、ファームに落とすときなどは選手としっかりコミュニケーションを取る。無愛想で近寄りがたい雰囲気なので、誤解されている部分があると思いますが、根っこは情熱的な人です。ロッテを立て直したい思いは誰よりも強いでしょう」(民放のテレビ関係者)

サブロー流の改革

 チーム体質を変えるため、サブロー流の改革が進められている。新しい主将にネフタリ・ソトが就任。助っ人外国人の主将就任は異例で、球団では1998年にフリオ・フランコが務めて以来28年ぶりだった。また、昨年頭角を現した捕手の寺地隆成は三塁がメインポジションに。開幕投手にはドラフト2位左腕の毛利海大を抜擢。新人の開幕投手は球団史上76年ぶりだった。

 今年の下馬評は決して高くない。ソフトバンク、日本ハムの上位2強に戦力面で劣るため、CS進出が現実的な目標になるだろう。寺地、藤原恭大、西川史礁、毛利、田中晴也、木村優人など期待の若手たちの一本立ちを期待し、2、3年後を見据えたチーム作りとなる。

 現在の低迷も、

「純粋に戦力が厳しい。新加入のジャクソンとかもぴりっとしないですしね。監督の采配のせいにするのは酷です。チームの雰囲気もそこまで悪くない。サブロー監督が厳しさを前面に出していますが、選手から不満の声は聴かない」(ロッテを取材するライター)

 ただ、

「気になるのは試合後のコメントで“起用した自分が悪い”みたいなニュアンスが目立つこと。あれは使い勝手の良い言葉ですよ。選手を責めていないようで、責めている。あともう少しファンサービスを考えて欲しい。試合前に場内アナウンスで名前を呼ばれても無表情で、試合中にガムをずっと噛んでいる。黙っていてもファンが来る球団ではないので、もう少しファンの気持ちを考えるべきかなと」

 サブロー監督は16年に現役引退のセレモニーで「私にはもう1つの夢があります。この千葉ロッテマリーンズを日本一の球団にすることです。その夢に向かって、勇往邁進してまいります」とファンに誓っていた。有言実行を果たせるか。

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デイリー新潮編集部