こちらは、南米チリのセロ・パチョン(パチョン山)で撮影された「小マゼラン雲(小マゼラン銀河)」。きょしちょう座(巨嘴鳥座)の方向、地球から約20万光年先にあります。


【▲ チリのセロ・パチョンで写真家のPetr Horálekさんが撮影した「小マゼラン雲(小マゼラン銀河)」(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/P. Horálek (Institute of Physics in Opava) - https://noirlab.edu/public/images/iotw2615a/)】

小マゼラン雲は、私たちが住む天の川銀河の周囲を公転している60以上の衛星銀河(伴銀河)のひとつで、大マゼラン雲(大マゼラン銀河)に次いで大きな銀河です。南半球の暗い夜空では、ちぎれた天の川のような淡い雲として、肉眼でも観察することができます。


NOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)によれば、かつての小マゼラン雲は天の川銀河ではなく大マゼラン雲の衛星銀河だったと考えられています。


天の川銀河の大半の衛星銀河と比べて、小マゼラン雲では現在も急速なペースで星が形成されています。画像に見られる無数の星々の青い輝きが、その活発な星形成のプロセスを物語っています。


チリ北部の澄み渡る夜空の下で撮影

チリ北部は世界でも有数の晴天率を誇り、最も乾燥していて暗い夜空が広がる場所として知られています。そんな場所にそびえるセロ・パチョンの山頂は、宇宙の謎に迫るうえで絶好の環境となっており、NOIRLabが運用するSOAR望遠鏡やジェミニ南望遠鏡、ベラ・C・ルービン天文台などが設置されています。


色鮮やかな星々と広大な宇宙の奥行きを感じさせるこの画像は、そのような極めて条件の良い澄み渡る夜空の下、望遠鏡ではなく大口径の望遠レンズを取り付けたカメラで約4時間かけて撮影されました。


撮影者のPetr Horálekさんは、NOIRLabのオーディオビジュアル・アンバサダーを務めるチェコの写真家です。大学で理論物理学と天体物理学を学んだ天文学者でもあり、光害(ひかりがい)の啓発や自然な夜間環境の保護活動を行う「ダークスカイ・インターナショナル(DarkSky International)」のチェコ代表も務めています。彼が生まれた1986年に発見された小惑星(6822番)は、彼にちなんで「Horalek」と名付けられています。


なお、Horálekさんは同じセロ・パチョンで大マゼラン雲も撮影しており、以前にNOIRLabから画像が公開されています。南天を代表する二つの天体を見事に描写したHorálekさんの作品は、私たちに宇宙の美しさを届けてくれています。


活発に星を生み出す大マゼラン雲 南アメリカの夜空で輝くその姿を撮影(2025年11月24日)

冒頭の画像はNOIRLabから2026年4月15日付で公開されています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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