正しい側のない戦争ーーイラン紛争で揺らぐ国際秩序
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中東で続くイラン紛争は、なぜ終わらないのか。日本のエネルギーや同盟関係にはどんな影響があるのか。アメリカ・中国・中東・欧州の専門家4人が多角的に議論した内容を元に、揺れ動く国際秩序と日本の針路を読み解いた。
※この記事は、YouTubeチャンネル『たかまつななのSocial Action!』のために3月29日に収録した内容を元に作成しました。
「正しい側のない戦争」を、どう考えるか
中東の紛争は、日本に住む私たちにとって遠い出来事に映りがちだ。しかし専門家たちは、この問題を「どちらが正しいか」で語ることへの慎重さを共通して示した。
中東が専門の坂梨祥氏は、「私たち一人ひとりがこれをどういう戦争と捉えるかは、実は専門家にとっても難しい問題で、この戦争をどのように語ればよいかということは、すでに正解があるような簡単な問題では全然ないわけですね」と述べた。
「どちらが正しいか」ではなく「自分はどう考えるか」。その問いを持つことが、この議論の出発点となる。
■終わらない戦争、揺らぐ同盟
戦争が長期化する背景には、当事国間の深刻な不信と、停戦がかえってリスクを高めるという構造がある。
アメリカ政治が専門の中林美恵子氏は、「始めてしまったものは、覆水盆に返らずの状況です。トランプ大統領が今やめますと言った後どうなるかと考えるとですね、おそらくイランは今まで以上に反米になります。イランとアメリカ、イスラエルの間には、とてつもない不信感がもう根付いてしまっている。ということを考えると、イランも相当のものを確約される、取らないとなかなかやめられない状況になっている」と指摘する。
こうした混乱は、同盟国にも深刻な影響を与えている。ヨーロッパ国際政治が専門の東野篤子氏は、ヨーロッパ諸国が直面している問題をこう述べる。「今、一番困っているのは、『同盟の信頼性と管理の問題』なんです。(イラン紛争前とは)比べ物にならないぐらい、同盟というものが、もう、信頼できない。でも、解体しちゃうわけにいかないから、どうやって管理するんだろうっていうことなんですね。」
■ホルムズ海峡が封鎖されたら、日本はどうなるか
日本は石油の約95%を中東に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過する。封鎖は、日本のエネルギー供給に直接的な打撃を与える。
坂梨氏は備えの現状をこう示す。「原油に関しては8ヶ月分の備蓄がありますが、発電などに使う天然ガスに関しては3週間分くらいしかありません。さらには、プラスチックの原料になるナフサなどは備蓄制度自体がないなど、ホルムズ海峡が実際に封鎖された場合を想定しての具体的な準備というものは、必ずしも十分に進められてきたとは言えません」と警鐘を鳴らす。
さらに中林氏は、通貨秩序への影響も指摘した。「イランは中国の人民元でこの通行料を取ろうということも言っているようです。つまり過去50年間ペトロダラーと言われて原油はドルで決済されてきたんですけれども、これが人民元に取られるという歴史的な大転換をも意味するわけです」と述べた。
■変わりゆく国際秩序
今回の紛争は、アメリカ主導の国際秩序が抱える矛盾を浮き彫りにしている。
ヨーロッパ国際政治が専門の東野篤子氏は、混乱の中で存在感を高める国としてこう分析する。「誰が勝者で、誰が敗者なのかという話なんですけれども、これ明らかに中国が勝者でしょうと。数十年前までは考えられなかったような中国が最も正論を吐いちゃうみたいな、そしてみんなは正論を言えないみたいな状況が訪れており、中国は正論を言うだけではなくて、この状況を中国の良いように使う自由が他の国よりもずっとある」。
※この記事は、YouTubeチャンネル『たかまつななのSocial Action!』のために3月29日に収録した内容を元に作成しました。
「正しい側のない戦争」を、どう考えるか
中東の紛争は、日本に住む私たちにとって遠い出来事に映りがちだ。しかし専門家たちは、この問題を「どちらが正しいか」で語ることへの慎重さを共通して示した。
中東が専門の坂梨祥氏は、「私たち一人ひとりがこれをどういう戦争と捉えるかは、実は専門家にとっても難しい問題で、この戦争をどのように語ればよいかということは、すでに正解があるような簡単な問題では全然ないわけですね」と述べた。
「どちらが正しいか」ではなく「自分はどう考えるか」。その問いを持つことが、この議論の出発点となる。
■終わらない戦争、揺らぐ同盟
戦争が長期化する背景には、当事国間の深刻な不信と、停戦がかえってリスクを高めるという構造がある。
アメリカ政治が専門の中林美恵子氏は、「始めてしまったものは、覆水盆に返らずの状況です。トランプ大統領が今やめますと言った後どうなるかと考えるとですね、おそらくイランは今まで以上に反米になります。イランとアメリカ、イスラエルの間には、とてつもない不信感がもう根付いてしまっている。ということを考えると、イランも相当のものを確約される、取らないとなかなかやめられない状況になっている」と指摘する。
こうした混乱は、同盟国にも深刻な影響を与えている。ヨーロッパ国際政治が専門の東野篤子氏は、ヨーロッパ諸国が直面している問題をこう述べる。「今、一番困っているのは、『同盟の信頼性と管理の問題』なんです。(イラン紛争前とは)比べ物にならないぐらい、同盟というものが、もう、信頼できない。でも、解体しちゃうわけにいかないから、どうやって管理するんだろうっていうことなんですね。」
■ホルムズ海峡が封鎖されたら、日本はどうなるか
日本は石油の約95%を中東に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過する。封鎖は、日本のエネルギー供給に直接的な打撃を与える。
坂梨氏は備えの現状をこう示す。「原油に関しては8ヶ月分の備蓄がありますが、発電などに使う天然ガスに関しては3週間分くらいしかありません。さらには、プラスチックの原料になるナフサなどは備蓄制度自体がないなど、ホルムズ海峡が実際に封鎖された場合を想定しての具体的な準備というものは、必ずしも十分に進められてきたとは言えません」と警鐘を鳴らす。
さらに中林氏は、通貨秩序への影響も指摘した。「イランは中国の人民元でこの通行料を取ろうということも言っているようです。つまり過去50年間ペトロダラーと言われて原油はドルで決済されてきたんですけれども、これが人民元に取られるという歴史的な大転換をも意味するわけです」と述べた。
■変わりゆく国際秩序
今回の紛争は、アメリカ主導の国際秩序が抱える矛盾を浮き彫りにしている。
ヨーロッパ国際政治が専門の東野篤子氏は、混乱の中で存在感を高める国としてこう分析する。「誰が勝者で、誰が敗者なのかという話なんですけれども、これ明らかに中国が勝者でしょうと。数十年前までは考えられなかったような中国が最も正論を吐いちゃうみたいな、そしてみんなは正論を言えないみたいな状況が訪れており、中国は正論を言うだけではなくて、この状況を中国の良いように使う自由が他の国よりもずっとある」。
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