栃木Cで新たなキャリアを刻む鈴木。古巣の横浜FCとの一戦では先制点の起点に。写真:滝川敏之

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 2024年のJFL昇格からわずか2年でJ2へと駆け上がった栃木シティ。今季もダヴィド・モーベルグや小池裕太、山下敬大らJ1経験者を補強。J2・J3百年構想リーグ(EAST-A)に挑んでいるが、苦境に直面している。

 開幕のベガルタ仙台戦は1−4で完敗し、続くブラウブリッツ秋田戦は0−1で敗れた。そして2月22日に行なわれた3節・横浜FC戦は1−5で大敗。開幕3連敗で、まさに“J2の壁”にぶつかっているのだ。

「みんなけっこう、J3のクオリティとの違いに困惑していると思います。J3とかJFLだったら、アバウトな感じでやっていてもうまくいっていたことが、J2相手だと簡単にはいかない。相手も自分たちを研究してきますし、ボールを持った時のクオリティが高いんで、この半年の間に早くそこに慣れないといけない」と強調するのが、元日本代表FWの鈴木武蔵である。

 32歳になった彼も今季から栃木Cに新天地を見出した1人。ここまでJリーグでは8クラブ、ベルギーのベールスホットでもプレーした百戦錬磨の男は今、自身の経験値を伝えようとしているという。

「僕も試合中や練習中に『こうしたらいい』と仲間に伝えていますし、早くJ1に行く仕様に切り替えないといけない。良い選手は揃っていますし、1勝すれば自信になると思う。今は難しい局面かもしれないけど、勝利という結果が勢いをもたらすと思うんで、早くそれをクリアしたいですね」と横浜FC戦後も冷静に語っていた。

 この日の鈴木は1トップに陣取り、序盤はフィジカル的な強さを活かし前線でターゲットになっていた。特に30分頃までは風上のなかで競り合いに勝ち、攻撃の起点に。15分には田中パウロ淳一のスルーパスに抜け出し、際どいシュートを放つ。そのこぼれ球を西谷和希が押し込み、先制点が生まれた。
 
「僕もああいったシーンをもっともっと増やせれば、チャンスを演出できる自信はあるので、そこは自分から引き出していこうと思っています」と鈴木は目をぎらつかせた。

 ただ、良い場面があっても、90分を通して安定感ある戦いができないのが、今の栃木C。前半途中から相手に修正され、大卒2年目のFW駒沢直哉に立て続けに2点を食らい、逆転されると、後半は終始、劣勢の展開を強いられる。鈴木も流れを変えるべくアクションを起こそうとしたが、奏功せず。84分に途中交代となった。

「前半の立て続けの2失点がすごくもったいなかったですね。直近3試合は後半の立ち上がりの失点とか連続失点がすごく多い。短い間隔で失点すると勝利が遠のいてしまう。そこは最低限改善しなければいけないところですね。

 後半の立ち上がりも、自陣で押し込まれてコーナーキックにしなくていいところで与えて、3失点目につながった。ああいう細かいところをもっと意識しないと。みんなで話し合って、敵陣に相手を押し返すようなプレーをしていかないといけないと強く思います」と、鈴木は改善点を指摘する。
 
 細部の詰めの甘さなどが響き、まだ結果を出せていない栃木Cだが、鈴木自身は決して悲観的にはなっていない。今矢直城監督の志向するサッカーに希望を抱いているからだ。

「今矢さんのサッカーは本当に強度が高いし、毎日ものすごく練習が厳しいんです。キャンプはボールを使ったメニューばっかりでしたけど、考えながらプレッシャーに行くとか、サッカーの厳しさで言えば、今までで一番キツいかもしれないです。

 そういう監督のもとでやれば、必ず成長できるし、良いチームになれる。今矢さんは(横浜F・)マリノスが優勝した2019年のポステコグルー監督時代を実際に支えていますし、あの時のような強度の高い戦いができれば、すごくいい。個人個人がパワーアップできれば、本当に良いチームになるんじゃないかなと感じています」
 
 こう語る鈴木はFWだけでなく、インサイドハーフでもプレー。様々な役割をこなしながら、栃木Cを成長させていければ、30代でのチャレンジも実り多いものになる。そう仕向けていくべきである。

 かつて2011年U-17ワールドカップで共闘した南野拓実モナコ)や植田直通(鹿島)、室屋成(FC東京)ら同世代の面々が高いレベルを追い求め続けているのだから、彼も負けるわけにはいかない。この先も湘南ベルマーレ、ザスパ群馬など難しい相手との対戦が続くが、自身のゴールとチームの勝利を貪欲に泥臭く追い求めていくしかないのだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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