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発達障害を理由に不当に解雇されたなどとして、元従業員の男性が横浜市内の会社を相手取り、慰謝料など計300万円を求めていた訴訟で、横浜地裁(高木勝己裁判長)は1月29日、計80万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

判決は、会社による解雇を「障害者差別にあたる違法行為」と認定したが、原告の請求の一部は退けた。原告側はこれを不服として控訴する方針だ。

●会社側が男性を解雇した理由

判決などによると、男性は2018年、障害者の介護や自立支援サービスなどを手がける会社と期限の定めのない雇用契約を結んで働き始めた。

男性は雇用契約時に実施されたアンケートで、発達障害があることを記載せず、当初は会社側に明かしていなかった。

その後、3年ほど勤務を続け、2021年8月、勤務時間について会社代表と面談した際、自身に発達障害があることを告げた。

すると、会社側は、雇用契約時のアンケートで発達障害を申告していなかったことが、就業規則で禁止されている虚偽報告にあたるとして、男性に解雇を通知した。

●障害者差別解消法に違反するとして提訴

男性は2022年11月、解雇は不当であるとして、横浜地裁に提訴した。

訴状によると、男性側は、解雇は差別にもとづくもので、障害者差別解消法に違反すると主張。また、会社代表が同僚に対し、男性の同意なく発達障害であると伝えたことについても、男性の人格権を侵害したとうったえた。

一方、会社側は「解雇は差別的な動機でされたものではない」などと反論していた。

●判決「解雇は原告の人格権を侵害」

判決は、男性の解雇について、「原告が発達障害者であることを理由としてなされた差別的なものであり、原告の人格権を侵害する違法なもの」と判断し、慰謝料として50万円の支払いを命じた。

また、発達障害について、本人の同意なく同僚に伝えた、いわゆる「アウティング行為」についても、人格権を侵害するとして、慰謝料30万円の支払いを命じている。

男性の解雇はいったん、労働組合による団体交渉を経て撤回されていた。しかし、会社代表のもとで就労するよう求められたため、現在までに復職は実現していない。このため、男性は解雇撤回後の未払い賃金の支払いも求めていたが、判決では認められなかった。

●「障害者差別を正面から認めた判決」

この日の判決を受け、男性は東京・霞が関の厚労省記者クラブで記者会見を開き、次のように述べた。

「解雇が差別行為であると認められたこと自体は、当然だと思っております。しかし、復職の際の会社の対応については、裁判所の判断は十分ではないと考えています」

会見に同席した原告代理人の土田元哉弁護士は、「障害者差別を正面から認めた意義のある判決」と評価したうえで、「発達障害のようなセンシティブな情報について、職場でどう取り扱うべきか、その先例となるのではと考えています」と指摘した。

一方で、未払い賃金の請求が認められなかった点については不服として、原告側は控訴する方針だ。