【富士山】登山道閉鎖で事実上“閉山期間”にも関わらず後絶たぬ登山者の事故…現状と対策は(静岡)
冬の期間すべての登山道が閉鎖し、事実上の閉山期間に入っている富士山。そんな富士山に登り、事故に遭う人が後を絶ちません。対策はあるのでしょうか。
これは、2025年の大みそか、富士山御殿場ルートの映像。強風に阻まれ、かがんで動けないのは、静岡県警の山岳遭難救助隊です。この日は、遭難した神奈川県の38歳の男性を6合目付近で無事発見したといいます。
今の時期“閉山期間”中の富士山。にもかかわらず、おととい1月18日には単独で登山をしていた中国籍の専門学生が転倒して足首をけが。 自ら救助要請し、消防や救助隊が出動する事態に。
(富士宮市 須藤 秀忠 市長)
「これを無視して登ろうとしていることは遺憾であるし、事故を未然に防ぐためにも罰則制度といいますか、そういうものを徹底するよう県に要請したいと思っています」
遭難事故を防ぐための、制度作りの必要性について訴えました。
こうした事故は、時に、最悪の事態を招くことも。
12月29日には、下山中だった兵庫県の男性が滑落し死亡。
2019年には、富士登山の様子を生配信していた男性が山頂付近で足を滑らせ、滑落する様子が配信された後、連絡が途絶え、遺体となって見つかりました。
2024年には…。
(カメラマン)
「富士山の火口付近です。静岡県警とみられる隊員が担架で救助した登山者を搬送してい
ます」
静岡県警の山岳遭難救助隊が、行方不明となった都内に住む53歳の男性を捜索。富士山火口付近で行方不明男性を含む3人の遺体がみつかった事例も。
なぜ、閉鎖期間中にもかかわらず富士山に登る人がいるのでしょうか?
山頂への登山道は、道路法 第46条により、閉山期間中は通行禁止となっていて、通行した場合、6か月以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金が科せられる可能性が。
実は、通行禁止となっているのは、あくまでも登山道のみ。登山道を通行しない登山は法的に制限されていないのが現状です。閉鎖期間中の富士山の登山はどれほど危険なのでしょうか。
これまでに2度、エベレスト登頂に成功し、富士山の清掃登山なども行う、アルピニスト・野口健さんに話を聞くと…。
(アルピニスト 野口 健 氏)
「シーズンオフになるとほぼ全ての山小屋は閉めます。そうすると管理されていない山になるんですね。富士山登ってて山小屋やってません。悪天候になりました。ものすごく冷たい雨にさらされる。低体温になる。身動き取れなくなる。でも近くに誰もいない。そこで捜索願ということになると思う。管理されている山と管理されていない山というのはまるで別物であるという認識を持っていた方がいい」
こうした遭難が相次ぐ中、議論が活発化しているのが救助費用の有料化です。
2025年6月には、富士宮市の須藤市長が、閉山期間中の救助費用について、一部を自己負担とするよう法改正などを求める要望書を鈴木知事に提出。
(富士宮市 須藤 秀忠 市長)
「ダメだっていうものを、あえて危険を冒していくこと自体が、まったく法を無視する大バカ者だと私は思っておりますから、そういうのは厳しく取り締まったほうがいい」
静岡県も、救助費用有料化に向け山梨県と協議を進めていますが、現状、決まっていることはないということです。
この救助費用の有料化について、野口さんは。
(アルピニスト 野口 健 氏)
「山登りは基本的にレジャーですから、そこで起きた遭難に対しては登山者が自己負担するということにしないと、安易にレスキューを呼ぶということは僕は減っていかないんじゃないかと思う。(閉山期は)できれば登らないでと言っている中で、ある意味、強行するわけじゃないですか。閉山期に関してはレスキュー費用を請求するのは"あり"じゃないかというのが僕の考え方」
一方、山岳救助隊の経験もある、日本山岳ガイド協会の武川理事長によると…。
(日本山岳ガイド協会 武川 俊二 理事長)
「もともと山岳遭難は登山者の自己負担でずっとやってた。警察の救助組織が充実することによって警察が救助できるようになってきた。自己負担で救助をやらなくなって多くの命が救われるようになってきたというのが現状なんですよ。それを有料にすることに対しては、恐らく消防・警察は反対するはず。平等というものを保てなくなりますから」
一部の山の遭難救助だけを有料とすることは難しいとしたうえで、登山届の提出を義務付けるなど、安易な登山を規制することが先ではないかと話します。安全な富士登山のために、とるべき方策は…対応が急がれます。
